京都医塾生物科です。
このページでは「慶應義塾大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“慶應義塾大学医学部”の受験を考えている方
・“慶應義塾大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2022年度
形式:記述式
時間:2科目120分
配点:100点
出題の傾向と特徴
受験生にとっては初見の、高い読解力が要求される実験考察問題が多く出題されるのが特徴的です。難しい問題にも積極的に取り組み、正答しやすいように問題文や実験結果を整理する力を養っておく必要があります。分子遺伝や生殖・発生、動物の反応の分野では、分野をまたいだ複合問題も多く出題されるので、全分野の学習を満遍なく進めることが大切になります。
【頻出の出題単元】
生殖・発生、遺伝情報、細胞、動物の反応の出題が多く見られるほか、進化・系統と関連付けた複合問題の出題が増えています。
【制限時間に対する問題量】
実験考察問題、論述問題が多いため、素早く考えをまとめて書き始める必要があります。どこかの大問で手間取ると全体を解き切れなくなることもあり得ますので、確実に解ける問題を選択して手早く解答していくことが重要です。
2022年度(最新の過去問)の分析
2022年度は少し大問ごとに難易度の差がありましたが、論述問題で書くべき内容の分量が多く、時間にはあまり余裕がなかったものと思われます。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【Ⅰ】
細胞の構造と共生説に関する問題でした。
問1や問3、問5のような知識問題は確実に正答しておきたい所です。問2の「意義」や問6の「現象の意味」などの論述については、文章を書き始める前に一度論点をまとめてから取り組み、内容が求められているものからずれないように気を付ける必要があります。問4の「あなたの考えを記述せよ」という形の問題は、解答に複数の可能性が考えられるためどこから取り組み始めるかを考えるのが非常に難しかったものと思われます。共生藻類と葉緑体を比較する、というよりは、共生藻類と「共生したシアノバクテリア」を比較する、という観点で考えると手がかりを見つけやすかったかもしれません。問7は核も共生によって生じたとする新しい説をもとに考察を求められる問題でしたが、図から似ている現象に発想を向ける、という部分が容易ではなかったかもしれません。受精に着目できさえすれば、求められている所には辿りつきやすかったものと思われます。
【Ⅱ】
メセルソンとスタールの実験について詳しく扱った問題でした。
知識として実験の内容や意義を知っているものも多く、その点においては解答しやすいと感じた問題も多かったのではないかと思います。ただ、問4や問8のように、実験全体ではなくその中の1つの実験だけに着目してその重要性・意義を述べる、という問題は、考え慣れていないと初見では難しく感じたのではないでしょうか。典型的な題材であっても、常に「これは何のための実験なのか」を考えるようにしておくと、こういった時に解答を作るきっかけが見えてくるでしょう。
【Ⅲ】
多細胞動物の細胞外マトリックスについての問題でした。
題材そのものが見慣れない内容だったため、全体的に難しく感じられる大問であったかと思います。その中でも問1や問3-1など、典型問題の中でも扱われるような内容については確実に解答しておきたい所です。問2のグラフ描図問題は、明確な判断をして書くのが難しいところではありますが、2-1と2-2でどのように違いが生じると考えているか、という点が相手に伝わる形で書くことが大切です。
【総評】
知識問題で失点している余裕はありませんので、基礎知識は完璧に理解し覚えておきましょう。実際の論文のデータを基にした実験考察問題が多いため、歴史的に重要な実験の内容については詳しく学んでおくと役に立ちます。また、「あなたの考え」を問われる問題が多く、論述での説明が求められることも多いため、普段から論理的な考察に積極的に取り組んでおくことが大切です。自分で理解した内容を他人に分かりやすく伝えるための論述についても、あらかじめ数多く練習を積んでおくとよいでしょう。
≪2022年度の目標値≫
生物を得点源にしたい受験生… 7割
他教科を得点源にしたい受験生… 5.5割
まとめ
というわけで、今回は慶應義塾大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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