私立大学医学部は、学校ごと教科ごとに出題傾向が独特な大学も多く、過去の入試問題の傾向分析は必須です。このページでは「東京慈恵会医科大学医学部」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“東京慈恵会医科大学医学部”の受験を考えている方
・“東京慈恵会医科大学医学部の出題傾向を知りたい”という方
にオススメの記事です。是非ご覧ください。
東京慈恵会医科大学医学部 2022年度の過去問分析総評
英語
東京慈恵会医科大学の英語は、前提としてある程度の速読力が必要です。一定以上の速度で英文を読むことを苦にしない受験生ならば、時間的には間に合うでしょう。問題では、選択肢の正確な読み取り、英検準1級程度までの語彙力、標準的な動詞の語法の知識、複数の節が絡む文構造の正しい把握、難問の見極め(と回避)を、バランスよく求めています。そのぶん小手先のごまかしがきかない試験となっていますので、日ごろからバランスよく英語を学習していく必要があるでしょう。
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数学
第1問、第2問は基本的な問題です。素早く、かつ正確に解き切りましょう。
第3問は一見すると複雑な問題ですが、1つずつ調べてみると、m とその約数について、どのような法則が成り立っているのか、すぐに気づけるはずです。
第4問 (1) は、非常に簡単な問題ですから正解したいところです。(2) については、式をどのように立てるのかが見えづらく、途中計算も煩雑です。どの文字に注目して立式するのかをまず明確にしたうえで、最終的に目指すべき形を意識しながら式変形を進めましょう。関連事項として、多変数関数の最大・最小を求める問題のセオリーである、1つの文字だけを動かし、残りは固定するという方法も、改めて確認しておきましょう。
第4問(2)を除くと、計算量が少なく難易度も易しめの年でした。第1問、第2問で得点のベースを作り、残り2問に臨みましょう。
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化学
「まずは空所補充をさせながら、問題の全体像をつかませ、多彩な内容の小題が続いて各問題のテーマを味わい尽くして終わる。」2022年度の小題は第1問と第2問が問5まで、第3問と第4問が問6までで構成され、例年通り国公立大学の入試問題でよく見るスタイルを貫いていました。内容は第1問と第2問の理論化学がともかく重く、全体のバランスを取るためか、第3問、第4問の有機化学、有機高分子化学が比較的よく見るタイプの問題でまとめられかなり取り組み易かったため、第3問、第4問は完答で満点、という受験生も多かったのではないでしょうか。
例年通り、各々の問題は学習のための素材として、時間を気にせず十二分に料理するのであれば、いくらでも利用価値があります。ただ、受験本番で制限時間内に合格点を取るという観点からは、全てを理解しようとせず、各設題のヒントを最大限に利用、例え初見の問題であったとしても何度も解いている基本、標準問題の延長上にある事を踏まえて、過去に経験している問題に帰着させて解く事です。例えば第1問は普通の蒸留装置(2017年出題)との相違点(蒸留管内に突起が有り、2本の温度計を用いている)の意味を考え、低沸点の物質が受器に得られる事に気付けば、相図の見方が定まり、共沸混合物(濃硫酸で蒸発乾固によって溶質のH2SO4を得る事ができない等、耳にはしている筈)についても誘導に乗って解答が可能だと思われます。問5(ⅱ)に関しても、水溶液中で塩が酸性を示す理由がNH4ClはNH4+の加水分解で電離平衡がからみ、NaHSO4はただの電離なので電離平衡は無関係等の問題の類題と捉えれば解りやすいかと思われます。
以前にも問題分析で書きましたが、基礎の学習が充分出来ていて、応用系の問題に数多く当たれる方は難問を集めた問題集で時間制限付きで腕に磨きをかけるのがいいでしょう。ただ、基礎学力に不安を残している方はきちんと基礎を固めた上で、旧帝大の過去問等、良問を解きまくるという方針も思考力を磨くと言う点で、有りかと思います。数多く出題されている論述問題の対策にもなりますし。(2022年度の論述問題は第3問の抽出に用いる事ができる有機溶媒の条件の1題のみで字数制限も無し、と寂しい出題でした。)また、過去に出題された問題の類題が出題される事もあるので、過去問の演習も欠かせません。(2022年度の有機高分子の問題は2018年度の有機・高分子の問題(こちらはアドレナリン、天然ゴムがテーマで、かなり重たいです。多段階中和の滴定曲線を扱ったり、アミノ酸、タンパク質の問題を併せて出題したり、リサイクルの問題に言及したり、と類似点が多いです。)のコンセプトだけ引き継いでの使い回し劣化版とも言えるでしょう。第1問、第2問の理論化学が重いため、全体としては決して易化したとは言えません。いずれにしても、かなり柔軟な思考、発想、分析、推理、応用の能力を必要としますから、生半可な覚悟では臨まない事です。健闘を祈ります。
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生物
近日公開予定
物理
例年、難易度はやや難~難であり、全私立医大の中で慶応義塾大学と並び最も難しい大学の1つです。通り一遍の典型題が出題されることはほとんどなく、身の回りの現象や医学知識を深く掘り下げながら、誘導に沿って適切な物理モデルを構築していくという問題構成が好まれます。2022年度も、この通りの出題となりました。そのため、物理としての常識を一通り弁えていることは当然として、その上で題意をつかむ読解力と思考力が高いレベルで要求されています。加えて、計算も煩雑であることが多いので、総合的に見て相当に高い学力を具える必要があると言えるでしょう。
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京都医塾の入試問題分析と相性評価
京都医塾では、毎年すべての入試問題を全教科の講師陣が実際に解いて、その大学の問題傾向を分析し、年ごとの傾向変化もしっかり把握しています。
その上で、入試直前期、受験校を決定する一助とすべく、すべての生徒に対して、『生徒ひとりひとりの学力分析(学習の習熟度やクセ、分野ごとの得意不得意など)』と『各大学の入試問題傾向分析』とを照らし合わせて、相性評価を作成いたします。
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