育児休暇中の国語科講師、石田です。
育児休暇を利用して、日々知識のインプットに努めております。
せっかくなら、普段と勉強内容を大きく変えてみるもの一興か、と思いまして、今回は『化学基礎を勉強してみた』をお送りします。本記事は第二弾ですので第一弾をお読みでない方はこちらをどうぞ
化学にまつわるある冗談
ジハイドロゲンモノオキサイドとよばれる化学物質をご存じでしょうか。別名をDHMOといいます。過剰摂取によって、頭痛や嘔吐、意識混濁、ひいては死に至る危険性もあるとか。そんなおそろしい化学物質が、身の回りのさまざまなところに使われているというのです。私たちの生活になくてはならない水道水にさえ含まれているという話も・・・おそろしいですね!
・・・ここだけ切り取られたらヤバいコラムですが。「ジ-ハイドロゲン-モノ-オキサイド」の「ジ」は「2」、「モノ」は「1」の意です(ポケモンのジヘッド、モノヘッドと同じ。頭が二つのポケモンと、一つのポケモン。知ってますかね?)。「DHMO」の「D」は「DE=ジ=2」、「M」は「MONO=モノ=1」です。
では「ハイドロゲン」は何か?「水素」です。「オキサイド」は何か?「酸素」です。
つまりどういうことか?「ジ-ハイドロゲン-モノ-オキサイド」とは、「2の水素と1の酸素」、要するに「H2O」だということです。水じゃん!
この話、僕は一切知らなかったのですが、先日理系出身の妻からジハイドロゲンモノオキサイドって知ってる?人体に有害らしいよ?と(冗談で)言われて、なんのことかわからなかったんですね。普通にダイオキシン(物を燃やすときに出る有害物質)の仲間かと思いました。
そして、この認知の仕方は、化学の言語について無知な人間としては至極真っ当な理解の仕方であったと確信しています。化学にまつわるカタカナ語のインプットやフレームがないところに、ゴテゴテした物物しい複合語を口頭で叩き込まれたら、誰でも混乱して、とりあえず既知のことばの中から音的に似ているだけの「ダイオキシン」から無理やりイメージを類推したり、「ジ」「ド」「ゲ」といった音の恐ろしげな響きに気圧されて、なんとなく恐怖感・拒否感を感じてしまうのではないでしょうか(音がイメージを喚起する、いわゆる「音象徴」という考え方です)。
開き直るようですが、前提知識なしに感覚で情報を受け取ると、誤解や適切でないイメージが生じるものだと思います。僕がこの話をきいて、講師として感じたのはむしろ、「相手がどこまで知っているのか?こちらが前提だと思っている事柄は共有されているのか?」と問い直すことの重要さです。前提知識の蓄えなしに新しい情報を与えられた場合、生徒は生徒独自の論理で合理化し、あるいは表層的な理解をし、そのまま次に進んでいってしまうかもしれません。反応を見ながら、復習を交えながら、石橋を叩いて渡るように授業を進めることが理想ですね。
話は変わりますが、また同時に、理系分野のひとが当然としている基礎知識を学習しておくことの大切さも感じました。自分が文系だからといって、「理系やし、知らん」という態度では、理系のひとが前提化しがちな情報を察せないために、「まああの人はよくわからん話してるけど、こっちはこっちの都合で考えるし・・・」みたいなディスコミュニケーション状態に陥るのではないかと思います。
以上、他愛無い冗談の話ではあるのですが、単なる冗談というわけでもなく、なにか今の世にある分断を象徴するような事例なのではないか、と思った次第です。
mol
今回はmolの話をするつもりだったのでmolの話をします
mol(物質量)というのは、化学基礎の中でも鬼門だそうです。たしかに。僕が高1生のときは、あんまよくわからんながらやり方だけ身につけて乗り切ったような(そして今完璧に忘れている)。
molとは〜とかやり出すと化学科の先生にダメ出しを食らうのでやりません。勉強する中で、mol計算についてなるほど!と思ったやり方をひとつご紹介します。
例題:メタンCH4 3.2gの物質量は何molか。
考え方:まずは分子量を求めるところからです。なぜなら、分子量は質量(g)と一致しているので、分子量を調べれば1molあたりの質量(g)が分かるからです。
メタンの分子量=16 →モル質量は16g/mol
今回考えるのは「メタン3.2gの物質量は何molか」。ここから、単位変換をしていきます。
単位変換の要諦は、「分母分子で単位を掛け合わせて消していくこと」。
3.2gからgを取っ払ってmolをつける。これがやりたいことです。
gとmolの関係は、「モル質量」という形で判明済みです。1mol=16gです。ということは1g=1/16molです。
↓ということで
3.2(g)×1/16(mol)/1(g) これでgが消えてmolが残るはず!
=0.20mol これが答えです!
以上で僕が何を学んだかというと、化学基礎のmol計算は、単位変換の考え方が大事ということです。
例えば、「1年は何日ですか?」という問い。これも単位変換です。思わず常識的に「365日!」と即答してしまいそうですが、これが「1年は何秒ですか?」になれば、「えーと、1年は365日で、1日は24時間で、、、」というふうに複数の単位を経過していきます。ミスの温床になりそうですね。
理系教科の講師から、理科科目では単位変換計算が大切という話をうかがいました。間違いが起こらないよう、いちいち単位を書くなどして、慎重に作業する必要がありそうですね。
以上、いかがだったでしょうか。