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2023年度金沢医科大学医学部の化学過去問対策・分析

2023年度金沢医科大学医学部の化学過去問対策・分析

京都医塾化学科です
このページでは「金沢医科大学の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“金沢医科大学”の受験を考えている方
・“金沢医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方

オススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2023年度 
形式: マーク式
制限時間:理科2科目で 90分
配点: 75点

出題の傾向と特徴

例年、小問集合形式で、7問~9問程度で構成されています。その中で、理論化学分野の出題割合がやや多く、次いで有機化学分野、無機化学分野となっています。全体を通して、基本的な問題が多い代わりにやや問題量が多く、テンポよく解答を進めていく必要があります。

【頻出の出題単元】

理論化学の出題割合が多いですが、理論化学分野に関しては、様々な分野から満遍なく出題されています。その一方で、無機化学分野では気体の製法や性質、金属の性質と反応などが出題されやすく、有機化学分野では脂肪族・芳香族から満遍なく出題されており、構造推定として出題されていることが多いです。また、天然高分子化合物も、ほとんど毎年出題されており、頻出単元と言えるでしょう。

【制限時間に対する問題量】

2020年度入試から理科2科目で90分と、理科2科目での解答時間が以前より30分短くなりました(以前は理科2科目で120分)。問題量自体も制限時間から考えると少々多い上に、理論化学や有機化学の出題割合が多く、計算問題や構造推定など、時間のかかる出題も多いです。知識問題や簡単な計算問題など、手の付けやすい問題から手際よく解答していくことが必要になります。

2023年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【理論化学分野】 (1)から(5)まで

(1):原子の構造や性質についての正誤問題でした。いずれも、語句の定義や大小関係が暗記できていれば、容易に選択できました。
(2):非共有電子対を持たない分子やイオンを選ぶ問題でした。それぞれの電子式が書ければ、容易に選択できました。
(3):結晶の分類と、ダイヤモンドと黒鉛の構造の違いに関する問題でした。いずれも基本知識のため、確実に正答したい問題です。
(4):水の電離度を求める問題でした。水のモル濃度と、水素イオンのモル濃度から求めることができますが、水のモル濃度の考え方は出題されにくいため、面食らった受験生も多かったのではないでしょうか。
(5):還元される原子を選ぶ問題でした。基本問題のため、確実に正答しておきましょう。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生… 9割
他教科を得点源にしたい受験生… 8割

【無機化学】(6)のみ 

(6)(ⅰ)~(ⅳ):アルミニウムに関する問題でした。(ⅰ)~(ⅲ)では、地殻中に存在する元素の割合(クラーク数)や、アルミナの溶融塩電解、アルミニウムの反応などが出題されており、いずれも基本問題でした。(ⅳ)では、溶融塩電解に関する計算問題でしたが、数値が大きく、割り切れない数字ばかりであったため、やや計算が煩雑な問題でした。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生… 9割
他教科を得点源にしたい受験生… 8割

【有機化学分野】(7)、(8) 

(7)(ⅰ)~(ⅲ):エチレンと、その反応生成物に関する問題でした。(ⅰ)、(ⅱ)では、エチレンの性質の正誤問題、反応生成物の分子式と、いずれも基本知識で容易に解答できる問題でした。(ⅲ)では、高分子化合物の計算問題でしたが、高分子の計算問題の中では比較的易しい問題でした。
(8)(ⅰ)~(ⅲ):アミノ酸の官能基、重合の反応名、アミノ酸の性質の正誤問題と、アミノ酸に関する基本知識が問われました。いずれも確実に得点したい問題ばかりのため、忘れてしまっていた知識は必ず確認しておきましょう。
(8)(ⅳ)(a)~(d):(ⅳ)は、ポリペプチドに関する計算問題でした。あまり例を見ない問題であったため、手が出せなかった受験生もいたのではないでしょうか。小問ごとの誘導に乗って解答できれば、比較的簡単に解けましたが、アミノ酸1分子あたり窒素原子が1個含まれているということから、窒素含有率をアミノ酸の個数に変換する(b)を正答できたかどうかが、この問題の出来を分けました。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生… 7割
他教科を得点源にしたい受験生… 5割

【総評】

理論化学からの出題がやや多いですが、無機化学や有機化学からも幅広い単元から出題されているため、全分野に渡って満遍なく知識を身に付けておく必要があります。難易度としては基本的なものが多いため、基本知識や解法が素早く思い出せるように、典型問題や問題集などでアウトプットの練習をして、練度を高めておくと良いでしょう。2023年度に関してで言うと、(4)、(8)(ⅳ)(b)以降の問題以外は、いずれも正答できるような状態にしておきましょう。

まとめ

というわけで、今回は金沢医科大学の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:榊原 久芳

  • 役職
    化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    30年
  • 出身大学
    京都大学理学部
  • 特技・資格
    吹奏楽(中高の6年間ユーフォニアムを吹いてました)、放射線取扱主任者試験合格
  • 趣味
    映画鑑賞
  • 出身地
    静岡県
  • お勧めの本
    はじめての量子化学

受験生への一言
「個々の分子の振る舞いが現象としてどう表れるのか」が理解できれば、「気体・溶液」、「化学平衡」の単元も怖くありません。まずは理論を正しく理解する事です。正しい考え方ができるようになれば、解き方の幅も広がって、一つの方法に固執する事もなくなります。ともかく「常に頭を使え」という事です。