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2024年度関西医科大学医学部の数学過去問対策・分析

京都医塾数学科です。

このページでは「関西医科大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“関西医科大学医学部”の受験を考えている方
・“関西医科大学医学部の数学がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2024年度(最新の問題より) 
形式:記述式(各設問の答えは解答用紙の指定欄に記入し、枠内に答えの導出過程を記入する形式となっています)
制限時間:90分
配点:100点(筆記試験の総得点は400点)

出題の傾向と特徴(過去6年分)

【出題内容と問題の難易度】

記述式の問題では思考力を問う論証問題が出題されます。また、複雑な計算が必要となる微分法・積分法の問題も出題されます。そのため思考力と計算処理能力との両方が必要となります。

また関西医科大学は「入試過去問題活用宣言」に参加しています。過去の国公立大学の問題を積極的に活用する傾向にあります。

総じて「国公立大学の医学部受験者」を意識した内容であると言えるでしょう。

【頻出の出題単元】

どの単元からも幅広く出題されますが、数学Ⅲ「微分法」「積分法」からの出題が多いです。これらの単元は関数を微分して増減表を書いたり、グラフを描くために極限を計算したり、「手順通り基本に忠実に解く」ことが問われる単元です。また三角関数や指数関数も登場することから、数学ⅠAⅡBの内容の理解度も問われます。どれも計算量が多くなる単元でもあるので、これまでの問題演習の経験の多寡が影響するでしょう。また、数学Ⅰ「集合と命題」や数学Ⅲ「複素数平面」などの受験生の多くが苦手であったり演習が不足したりしている単元の出題もしばしば見られます。苦手単元や未習単元を減らす必要があります。

【制限時間に対する問題量】

計算力が問われる問題が多く、時間内にすべての問題に解答することは非常に難しいです。そのため、手をつける問題を取捨選択し、効率的に得点する必要があります。加えて典型的な問題も出題されるため、今まで問題を解いてきた経験が解くべき問題の見極めに活きると言えるでしょう。

2024年度(最新の過去問)の分析

 ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 データの分析・複素数平面】(難易度:やや難)

(1)は絶対値が1である複素数を公比とする等比数列の和を求める問題です。複素数平面で1のn乗根の扱い方を覚えていれば求まります。(2)は分散と相関係数を公式・定義を用いて求める問題です。途中で積和の公式を用いて項を打ち消す工夫が必要となり三角関数や複素数平面に不慣れな人には難しいでしょう。

 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} \cos(2k\theta) \)は難問ながら有名問題です。こちらを一度解いたことがある人は正解できたでしょう。

≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい
他教科を得点源にしたい受験生…(1)まで

【第2問 整数・数列】(難易度:難)

底を\(-2\)とする広義の進法の問題です。負の数を底としているため、桁が増えても値が増えるとは限りません。丁寧に調べる必要があります。「ただ一通りに表せる」ことの証明は独特の記述が必要なため、初見では手が付かないと思います。(3), (4)は具体的な整数を\((-2)\)進法で表す問題ですから、(2)の証明ができなくても手をつけることができます。具体的な数値計算は得点したいところです。

≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(1), (3), (4)
他教科を得点源にしたい受験生…(1), (3)

【第3問 複素数平面】(難易度:やや難)

 複素数平面上の軌跡の問題ですが、実数\(x, y\)で表すと放物線と円を考える問題です。典型的な円は複素数のまま表せる必要がありますが、見慣れない図形は\(xy\)平面で表すようにしましょう。また、円と放物線の共有点では半径が小さいときに解の存在範囲に注意する必要があります。また、消去する文字によっては方程式の解の個数と共有点の個数が一致しないので気を付けて下さい。

≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい
他教科を得点源にしたい受験生…曲線\(C, D\)を\(x, y\)の方程式で表す

【第4問 平面図形・図形と方程式】(難易度:やや難)

 三つの円が外接し、さらに共通接線を考える問題です。図形を考えるときには

・ベクトル ・座標 ・平面図形 ・複素数平面

のいずれで解き進めるかの判断が重要となります。今回は接点や円の中心などを原点とした座標平面で考えるとよいでしょう。また、2円が接しており共通接線を考えるときは、中心を結んだ線分を斜辺とする直角三角形を利用すると見通しがよくなります。(4) ADの長さを求めるには相似を利用するため、図を丁寧に描く必要があります。(1)から(3)までは図を間違えなければ標準的な問題です。

≪2024年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい
他教科を得点源にしたい受験生…(3)まで

【総評】

着実に積み上げてきた知識または計算処理能力、あるいはその両方を問う問題が多く出題されました。全体的に例年と比べて難化した印象です。各大問の計算問題で得点し、論証問題で少しでも得点を上積みできるかがカギになります。

まとめ

 多くの大問に応用問題が含まれますが、決して難問ばかりが出題されるわけではありません。入試の過去問などの応用問題ばかりを解いて準備するのではなく、基本知識が備わっているかを問う問題の練習により基本知識の抜けをなくすことが合格への最短経路となります。

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