京都医塾生物科です。
このページでは「近畿大学の生物」2024年の出題を分析します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“近畿大学”の受験を考えている方
・“近畿大学の生物がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2024年度
形式:記述式
時間:理科2科目120分
大問数:3(2022年まで4)
配点:理科2科目200点
出題の傾向と特徴
2023年度から大問数が4問から3問に減少しました。小問数は2022年度が6,8,9,4の合計27問、2023年度が8,11,6の28問、2024年度が5,7,5の17問と減少しましたが、小問の中に細かい問題(いわゆる枝問)があり、分量としては大きな減少ではありません。記述問題の数は一昨年が8、昨年が7、今年が6で減少傾向にありますが、その分100字や150字の長文を書かせる問題が増えています。記述問題のウエイトは大きいと言えます。問いの難度としては基礎知識を答える問題が非常に多く、記述問題も多く、従来少なかった計算問題も複雑なものが出題されています。以上から、全体として「難度は昨年と同じ」と言えます。
【頻出の出題単元】
2021年度以来、出題はおもに代謝・遺伝情報・発生・動物の反応・体内環境など医学にかかわりの深い分野が占めています。進化・分類・生態の分野からは2020年度に植物の反応、2021年度に共生説が出題された程度です。この傾向は今後も続くものと考えられます。
【制限時間に対する問題量】
長文による論述問題が多く出題され、大問1の計算問題も手間がかかりますので、これらの経験値に左右されると思います。これらの問題を手早く解くことができ、かつ教科書レベルの一問一答や空欄補充を迅速に処理できれば時間内にすべての問題に解答することは十分に可能です。
2024年度(最新の過去問)の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【1 代謝】
前半は呼吸の各段階について細かい知識を問う問題で、空欄補充が21か所もある(つまり1つ1点でも合計21点)ので疎かにできません。この大問の山場は後半の「アミノ酸を基質とした呼吸商の計算」です。ほとんどの生徒にとって初見の内容でしょうが、呼吸商を正確に計算できればそこから後は「鶴亀算」の要領で各アミノ酸の比率を出すことができます。記述問題は水溶性・脂溶性のホルモンの受容形式の違いに関するもので教科書レベルです。
【2 遺伝情報】
電気泳動法によるDNA塩基配列の解析とABO式血液型を組み合わせた出題です。ただし血液型を免疫の観点から扱う問いはありません。前問と打って変わって空欄補充は無く、考察中心の問題となっています。難度で言えば電気泳動と遺伝子の知識があれば正解に至るのはそれほど困難ではありません。記述は電気泳動の仕組みについての25字のものと、O型遺伝子の突然変異と発現についての50字のもので、中程度の内容です。この問題を得点できるかが生物の出来を左右すると言えるでしょう。
【3 免疫】
獲得免疫・免疫寛容・自己免疫疾患などに関する問題です。空欄補充は無く、知識問題と考察問題が半々となっていて、3つの大問の中では一番難易度が高いと言えます。記述問題は免疫寛容ができる仕組み(100字)、NK細胞とマクロファージが異物を排除する仕組みの違い(100字)、複数のウイルスの接種による発症率の違いを予防接種の仕組みを参考にして考察(150字)となっていて、特に3つ目の記述は長文で内容も高度です。
【総評】
数年前までの近畿大学の出題は「空欄が多く読みにくい」、「免疫の細かい知識が要求される」という特徴がありましたが最近は知識問題に偏った傾向となっていました。今年は大問1で空欄補充が復活し、免疫の細かい知識が要求される出題も大問3で復活したと言えます。結果として総合的な力が試される入試問題になっていて、基礎知識を覚えていない受験生は不利というか、合格の見込みはほとんどないと言えます。教科書を丁寧に何巡も読み返し、基礎的な単語はすべて書けるようにすること、そして標準難度の問題集、特に記述問題に多く取り組むことで満点近い得点も狙えます。
≪2024年度の目標値≫
生物を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割
まとめ
というわけで、今回は近畿大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。