医学部受験をする上で欠かせないのが模試の存在です。
しかし、数多くある模試の中から最適な模試をどのように選んで受験すべきか、なかなか分からないという人も多いと思います。
ここでは、医学部の模試の選び方や受け方のポイント、模試のメリットとデメリット、そして模試の活用方法について解説していきます。
目次
各医学部予備校が行っている模試とは
各医学部予備校が行なっている模試は大きく2つに大別されます。
1つ目は共通テスト対策の模試(いわゆるマーク模試)、そして2つ目は国公立大学二次試験や私立大学入試対策の模試(いわゆる記述模試)です。
マーク模試は、国公立大学医学部や大学入試共通テストの受験が必要な私立大学医学部を受験する人向けの模試となります。
2021年度から、センター試験に代わって共通テストが実施されるようになったこともあり、過去問のサンプルも多くありません。
そのため、問題形式に慣れるためにもマーク式の模試は積極的に受けるべきでしょう。
記述模試では、学部に関係なく受ける価値のある良問ぞろいの模試や、大学ごとの医学部の問題の傾向に沿った専用の模試があります。
また、医学部二次試験対策模試では全国全ての医学部を対象とするものがあり、自身の学力やその特性に最も合った医学部を判断できる模試もあります。
医学部模試を受ける事のメリット
試験本番の雰囲気を疑似体験できる
試験本番のように時間制限のある中で問題を解くため、緊張感をもって試験に臨むことができます。
試験本番では、そのような状況の中でいかにミスなく問題を解き、高いパフォーマンスを発揮できるかが鍵になります。
最初に受ける模試では緊張したり勉強が不十分だったりして思うような力を発揮できないかもしれません。
しかし、模試を何回も経験することで試験への「慣れ」を生み出すことができます。
模試を受けることは自身のパフォーマンス向上につながるのです。
自分の今の実力が分かる
模試の最も重要な特性として今の自分の実力を分析できるという点があります。
どれだけ基礎がしっかりついているか、苦手な科目、また科目ごとの苦手な分野、苦手な出題形式などを把握することができるのです。
模試では学校の定期テストでは解くことのできない問題が揃っています。
すると、本当に自分がその問題を理解しているか、普段の勉強では気づきにくい弱みを見つけることができます。
また全国の多くの受験生が模試を受けるので、自身の志望校の合格可能性がどれくらいであるかを知ることもできます。
大学毎の出題傾向や予想問題が分かる
また、各大手予備校が開催している、いわゆる「本番模試」や「オープン模試」を受ければ、自身の志望する大学の出題傾向や予想問題を把握することができます。
また、これらの模試では本当にその大学を志望している学生が多く受けている可能性が高いので、自分のリアルな位置と合格できる可能性を知ることができます。
その結果を受けて試験本番までに何を勉強すればいいのかを把握し、修正することが可能となります。
時間配分の感覚が身に付く
また模試では本番に近い出題傾向と質、点数配分がなされています。
そのため、問題数に対しての時間配分の感覚を養うことができます。
また、問題のレベルは易しい問題から難しい問題まで揃っているので、どの問題にどれだけ時間を使うべきかという感覚も養うことができます。
時間配分を間違えると取れていたはずの得点を逃すこととなり合否に大きく影響を与えてしまいます。
そのため、本番同様の雰囲気の中で問題を解く練習を積み、そのような実力以外でのミスを減らすことが大切です。
医学部模試を受けることのデメリット
費用がかかる
模試を受けるデメリットは費用がかかるということです。
だいたい一回の模試で5,000円~7,000円ほどかかります。
そのため、本当に自身にとって必要な模試を精査し、最小限の模試を受けるというのも良いでしょう。
また、多くの高校では河合塾や駿台などの模試を全生徒に受けさせます。
その機会を大事にし、計画性を持って勉強すると、個人で模試に申し込む回数を減らすことができます。
判定結果によっては、一喜一憂してしまう
また、模試では基本的にAからEまで判定が出ます。
模試の結果は現時点での実力を表すものなので、最初はE判定でも入試本番で合格するというケースは珍しくありません。
しかし、判定で一喜一憂してしまうと、勉強に悪影響を及ぼすこともあります。
例えば、A判定が出ると安心して勉強がおろそかになったり、逆にE判定が出るとまだまだ努力すれば志望校に合格する可能性は十分にあるのに志望校の難易度を下げてしまったりなどです。
判定を見て一喜一憂するのではなく、判定をもとに自分のすべきことを客観的に把握することが大切です。
自分だけで判断するのではなく、周りの先生や講師に相談して意見をもらうのも一つの手です。
医学部模試を受け方のポイント
模試の判定を気にしすぎない
先述の通り、模試というのはあくまで現時点での実力を表すものです。
受験直前の模試でない限りは、判定を気にしすぎる必要はありません。
高校3年生の1年間は偏差値が伸びる期間なので最初はE判定であっても最後にはA判定に持っていくことが十分に可能だからです。
受験生の中には、1年間で偏差値を10以上伸ばす人もいます。
E判定だからといって努力の可能性を閉ざしてはいけません。
またA判定をとったからといって油断することも禁物です。
たまたま自身と相性のいい問題が出て高得点が取れた可能性もありますし、あくまで判定は目安であるため、そのA判定を保つ努力をすることが大切です。
志望する医学部を明確にしておく
模試を受ける際は自身の行きたい医学部を明確にしておきましょう。
判定を気にしすぎるのは良くないと述べたばかりですが、模試の判定は志望校を絞るうえでは大切な判断材料になり得ます。
また国公立大学医学部の場合、医学部によって共通テストと二次試験の配点比率の違いがあるため、記述模試の結果が良ければ二次試験を重視する大学で有利になることもあります。
共通テスト対策の模試と二次試験対策の模試の両方の結果を見て志望校のランクを上げたり下げたりすることも考えておく必要があります。
受けっぱなしにしない
模試を受ける上で最も大事なのが受けた模試をそのままにしないということです。
模試というのは良問が揃っており、復習を行うことによって自分の弱点に気づいたり、勉強法の見直しにも使えます。
自分が問題を解くなかで、どこでつまずいたのかを分析し、次の模試に生かしましょう。
模試の復習は模試を受けた当日にすることをおすすめします。
自分が問題を解いているときにどのようなプロセスでその回答を導き出したかを思い出しながら復習することができるためです。
とにかく、模試の受けっぱなしは勿体無いので必ず復習をして有効活用しましょう。
医学部模試の活用方法
間違い・苦手を確認、分析する
医学部模試の活用方法は間違いと苦手を分析し、勉強計画に活かすことです。
模試といってもすべての分野が満遍なく出るわけではありません。
様々な単元の中から選ばれた分野のトピックが問題として出題されるので、模試によって自分の得意分野との噛み合わせが良かったり悪かったりします。
それによってはっきりと自身の苦手分野を分析できるので、どの部分を強化して勉強すべきなのかが明確になります。
模試の結果が返ってきたら、間違ってしまった問題を確認し、なぜ間違ったのかをきちんと分析してください。
特に自身が受験した際の手応えと結果に大きな差がある問題は、注意して分析する必要があります。
また、模試の結果には平均点や偏差値、各教科の配点グラフ、分野別の配点グラフが搭載されており、どの教科の何の分野が苦手なのかがひと目でわかるようになっています。
一問一問目を通して分析するのが理想ですが、それをできなくとも大まかに何が得意で何が苦手なのか把握するようにしましょう。
分析結果から、今後の対策を練る
次に模試の活用方法として最も重要なことが、分析結果から今後の対策を練るということです。
例えば、英語の試験で並び替え問題が苦手だと分かったなら、文法事項の見直しをしよう、などという明確な勉強目標が生まれます。
このように必ず自身の結果を分析して自身の勉強計画を見直しましょう。
また、判定結果によって今後の志望校選びを分析しそれに向けた対策を練ることも可能になります。
例えば、数学と理科の成績は良いが英語の成績は良くないといった場合、英語の強化に努めることはもちろんのこと、英語の配点が低い医学部を狙うというのも一つの戦略となります。
今後の勉強計画の見直しと志望校選択の見直しを、医学部模試を通じて行っていきましょう。
おすすめの模試とは?
受験人数が多い医学部模試
模試を受ける一つの理由として、今自分が全国でどれくらいの位置にいるのかを知るということが挙げられます。
そのため、受験人数が多ければ多いほど、自分がどの程度の実力を持っているかを細かく測ることができます。
また受験人数が多いということはそれだけその模試の信頼度が高いということでもあります。
志望する医学部の受験生が受けている模試
また、自身の志望する医学部が決まっている場合、同じ医学部を志望する受験生が受けている模試を受けるようにしましょう。
その医学部の傾向や対策をつかむことができるだけでなく、競争相手のいる中で自身がどれくらいの位置にいるのかを測ることができます。
この模試で上位の成績を取ることができればかなり合格の可能性が高いといえます。
まとめ
いかがでしたか?
医学部模試には共通テスト対策のマーク模試と、国公立大学二次試験や私立大学入試の対策となる記述式の模試があります。
模試では、本番と同じような雰囲気で問題を解くことができるだけでなく、自分の現在の立ち位置を測ることができるというメリットがあります。
受験生にとって、緊張感を持って時間制限のある中で試験するというのは、本番に向けて試験慣れするためにも重要です。
そして、模試をうまく活用することで自身の弱点を分析したり、今後の対策を練ることができます。
そのうえで、模試の結果に一喜一憂するのではなく、間違えた問題をきちんと復習し、勉強計画を見直すことが大事です。
自身の志望する大学が固まった際には、志望する医学部の受験生が受ける模試を受験することでゴールまでのより正確な距離を図ることができます。
最後に、模試は日頃の勉強の成果を発揮する場所でもあります。
自身の苦手と向き合い、日々努力を重ねて勉強を続けてきた人が模試で成績を向上させることができます。
模試の日を設定し、目標をたて、モチベーションをうまく保ちながら勉強して医学部合格を目指しましょう。