医学部卒業後、医師になってから自分はどんなキャリアを歩んでいくのか、どこかのタイミングで別の道を選ぶのか…自分の未来を考えたことはありますか?
昨今、複数の職種を武器に自分のキャリアを積んでいく人も増えています。そこで今回の【スーパードクターに聞く】では、医師でありながら起業された異色のパラレルワーカー中田航太郎先生(株式会社ウェルネス 代表取締役)にインタビューをしました!
- 現在のお仕事について
- 起業のきっかけ
- 忙しい時代を生きる人へのアドバイス
- ドクターと社長の両立
- 今後の目標
また、後編では、医学部合格を真摯に見つめてきた中田先生の受験にまつわるエピソードをお伺いしています。
それでは、医学部卒業後、なぜ医師でありながら起業をされたのか?お話をきいてみましょう。
目次
起業について
京都医塾:中田先生が起業された会社と現在のお仕事の状況について教えて下さい。
中田:予防医学をテーマにしたパーソナルドクターというサービスを行うべく起業した「株式会社ウェルネス」の代表取締役を務めながら、週2日 臨床医をしています。
パーソナルドクターとは
京都医塾:パーソナルドクターとはどのようなサービスですか。
中田:パーソナルドクターとは、その人にあった「予防」を実現し、健康状態の改善を測っていくサービスです。ユーザーと一緒に健康上の課題を設定し、改善するまで手厚くサポートをしていきます。現在の日本の医療は、自分で症状を感じた人が治すために行うことが主。かかりつけ医というと、病気になった時に診てもらう先生というイメージが強いです。パーソナルドクターでは、予防医学の考えに基づいて自分の健康について一緒に向き合ってくれる、人生に寄り添ってくれる先生を目指しています。
起業のきっかけ
会社の設立
京都医塾: 「株式会社ウェルネス」を設立したきっかけを教えて下さい。
中田:研修が終わって医師として仕事をはじめた頃に、将来自分のクリニックを作るのか会社をつくるのか悩んでいました。自分のクリニックを持って医師として救える人は数百~千人なのであれば、会社を作って人を巻き込んで、世の中に情報を発信して救える人数が増えるのじゃないかと考え起業しました。
なぜ予防医学を選んだのか
京都医塾:たくさんの人を救える道を選択されたんですね。そこでなぜ予防医学を選ばれたのですか。
中田:今、日本の医療は病気になってから治すのが主流です。昔、仕事が忙しく健康診断にも行っていないビジネスマンの方とお話をしたことがあるんです。その方は、川崎病の既往歴があり、定期的に病院にかからないといけないけど、仕事で忙しく病院に行くことを忘れていた。その人が倒れた際、あのとき病院に言っていたら…もっと早く煙草をやめていたら…など後悔の念を多くお持ちでした。これは、自分の体に対して理解がないことが原因だと思います。もし、あと3年で死にますよと医師に言われたら話をきくだろうけど、そのさじ加減がドクターにしか分からない。これが今の日本の医療なんです。医療を専門にしていない人たちがどうしたら自分を守れるか、そこから予防医学にたどりつきました。
京都医塾:たしかに私も病院にかかるのは症状が出てからですね…人の意識から変えていこうということですね 。
中田:アメリカでは予防医学が発展していて、大学では予防医学の授業もありました。患者さんと向き合ってメンテナンスをするドクターがたくさんいる国があるのに対して、日本ではまだまだ病気を治す医療が主流。具体的にどういう風にしたら良くなるのかあまり深く考える人が少なく、健康であることに対する優先順位が低いです。「それなら、日本で一番初めに予防医学をやってやろう」という想いがあります。自分の体にちゃんと責任を持って自分の体のことを理解して、できることは全部やっているんだから病気にかかったとしても、確率的に仕方のないことだと思えるような社会になればいいなと思っています。
忙しい時代を生きる人へのアドバイス
予防医学の観点からアドバイス
京都医塾: たとえばパーソナルドクターではどのようなアドバイスをされることが多いのでしょうか。
中田:まず、皆さんに言えることですが、主食を意識して食べてみて下さい。漠然と白米を食べている人が多すぎます。白米には糖質以外のビタミンや食物繊維等の栄養が含まれていないので、もはやお菓子を食べているのと変わりません。実は、野菜不足よりも、全粒粉穀物を食べていないことのほうが、人の寿命を縮めています。玄米や全粒粉、オートミールなどの噛み応えのあるものを主食にしてみてはいかがでしょうか。毎日食べているものだからこそ、主食を変えてみてください!
京都医塾:確かに白米は何も考えずに食べていました。京都医塾の生徒に向けてアドバイスを頂けますか。
中田:1日15分程は歩くこと!そして座っている時間が長くなればなるほど死亡率が高くなるので、このインタビューが終わったら、まずみんなで立ちましょうか(笑)
マルチタスクのシングルタスク化
京都医塾:そうですね、このインタビューが終わったら真っ先に立ち上がりたいと思います(笑)
他に何かありますでしょうか。
中田:他は最近話題のマルチタスクについてですかね。脳がマルチタスク状態にあるとものすごいエネルギーを使って疲れてしまうので、マルチタスクのシングルタスク化を目指してください。まずは抱えているタスクの因数分解をして、やらないといけないことをあぶり出して順位付けしていきましょう。そうすると一個一個処理することができるので、楽になりますよ。
ドクターと経営者の両立
京都医塾:ドクターと経営者の両立について、大変なことはありますか。
中田:特にないですね…。しいてあげるとすると、もう少し自分の会社に時間を使えるなあということでしょうか。ただ、今はちょうどバランスがいい状態にあるので、今後少しずつ会社の比率を増やしていけたらいいなと思います。
京都医塾:中田先生 にとってメリットの方が大きいということですね 。
中田:2つの職場で、医師の現場で病気になった人、自分の会社ではそうでない人を診れることは自分にとって大きなメリットですね。健康な人の考え方を知りながら医師を勤められるのはいいことです。あとは、仕事を2つしているので、心理的安全性が高いことですかね。
今後の目標
京都医塾:今後の目標はありますか?
中田: パーソナルドクターという概念を当たり前のものにしたいです。それと、予防医学という文化を根付かせたいですね。自分の健康に対してある程度以上に知識があって、どういう風に生きて行けば将来後悔なく人生を終えられるのかとか、20~30年先をどう楽しく生きて行けるのかを考え時代をることができる時代を作ることがゴールです。
京都医塾:ご自身の会社で働く医師を育てていくということでしょうか。
中田: 病気にならないように、健康でパフォーマンスが高くなるように患者さんの人生をささえていくような医者が増えるんじゃないかと思っています。その時に、先駆け的な存在でありたい。ウェルネスに入れば、ドクターとして新しい人生を歩めるようなプラットフォームを作っていけたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
予防医学は国内でまだ浸透していない考え方です。高齢者をはじめ体力の低下した方が大怪我や大病をした際、体力や回復力がないことから寝たきりとなるケースがあります。また、治療中は自由に動けないこともありますので、「病気にならないために予防する」という考え方は生活に密着したとても重要な考え方ではないでしょうか。
今回のインタビューが皆さんの将来像を具体的にする参考になれば幸いです。
次回、後編では中田先生の医学部受験にまつわるエピソードや、未来の医師に求められることなどを聞いていきます。お楽しみに!