京都医塾数学科です。このページでは「金沢医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“金沢医科大学”の受験を考えている方
・“金沢医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)
形式:マーク
制限時間:60分
配点:100点(筆記試験全体の配点は350点)金沢医科大学の数学は「60分・マーク式」という形式が続いています。
また、2016年度以降の6年間は大問数が4題と固定されてきたことも特徴です。
出題の傾向と特徴(6年分)
形式に加え、大問数も固定されてきた2016年度以降の6年分についての傾向をまとめます。
【毎年恒例の出題単元】
第1問にさいころを用いた「確率」の問題が6年連続で出題されています。特に、金沢医科大学の確率の問題は、場合の数・確率の大原則である「数え上げ」を意識させる問題が続いています。難しい設定の問題を学習するよりは、さいころや硬貨を用いた簡単なゲームを読むような基本問題を丁寧に学習することを優先しましょう。おススメの教材はセンター試験の過去問です。
また、「微積分(特に数Ⅲ)」も毎年出題されています。こちらも、面積や体積を求める典型問題が多いので、まずは教科書レベルの問題を確実にこなせるようになりましょう。
【頻出の出題単元】
毎年恒例の単元を除くと、数Bから「数列」「ベクトル」の出題が目立ちます。確率が数A、微積分が数Ⅲであることを考えると、バランスを取るために数Bからの出題が増えることになるのではないかと推測されます。
「数列」は、等差数列・等比数列から和の計算まで、基本から学習することが肝要です。漸化式の出題も見受けられますが、焦って漸化式だけ学習しても効果は薄いです。教科書順に学習し、数列の基本を理解してから漸化式の学習に取り組みましょう。
「ベクトル」は“始点を揃える”こと、また、“共線条件” “垂直条件” 等の基本知識を徹底するようにしましょう。いろんな設定の問題が出題されているように見えますが、序盤から中盤にかけては、どの問題も似たようなことを聞いていることが多いです。終盤は、図形的な考察が必要かどうか判断する必要がありますが、まずは基本的なところを機械的に処理できるように訓練しましょう。
最後に、“意外と良く出題されているな”と感じるのが数Ⅲの「2次曲線」です。焦点の座標や準線の方程式などの超基本事項から問われることもある単元なので、基本事項の確認は必須です。「2次曲線」の基本知識は、図と一緒に覚えてしまうと忘れにくいので、図を描きながら基本事項のおさらいをするようにしましょう。
【制限時間に対する問題量】
例年、標準的な問題が多く出題される大学ですが、高得点を狙うには制限時間が厳しく感じる受験生が多いでしょう。
演習を重ねて計算スピードを上げるのはもちろんですが、普段から素早く解ける解法選択を心掛けるようにしましょう。
2021年度(最新の過去問)の分析
ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問 確率】(標準)
3.出題の傾向と特徴 で述べたように、第1問は数え上げ中心の確率が続いています。2021年度もその例に漏れず、同傾向の問題が出題されました。
決して難しい問題ではないのですが、数え上げが中心であるが故、短時間で解き切ることは容易ではありません。
満点を取れなくでも合格は十分可能なので、場合の数・確率が得意でない人は時間を掛け過ぎないように注意しましょう。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…4問中3問は正答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…後半の(3)(4)は数え上げが大変になるので、(1)(2)を確実に得点しよう。
【第2問 微積分(数Ⅱ)】(易)
数Ⅱの微積分が出題されました。数Ⅱ特有の「1/6公式」を利用できるかどうかで解答時間が大きく変わります。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…素早く完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…完答したい。
【第3問 数列】(標準)
オーソドックスな群数列の問題が出題されました。群数列の問題では、“答えが1だけズレていた”というミスが出やすいですが、(2)(3)はとりわけ気をつけるべき問題で、注意力が試されました。
典型的な問題ではありますが、単純計算の能力が必要です。最後まで制限時間内に解き切るには、確かな訓練量が必要だと言えるでしょう。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答も狙えるが、第2問や第4問を素早く処理することで、第3問に時間を余す必要はあるだろう。
他教科を得点源にしたい受験生…(1)~(3)を丁寧に取り切りたい。
【第4問 微積分(数Ⅲ)】(易)
第2問に続き、数Ⅲからも微積分が出題されました。基本的な面積・体積の易しい問題なので、優先的に解くべき問題と言えるでしょう。
入試問題は、必ずしも前から解く必要はありません。数Ⅲの微積分を対策してきた受験生は、この問題から解いて落ち着きたいところです。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…完答したい。
【総評】
難解な問題は皆無なセットなので、計算力や解法選択の素早さで得点が変わるでしょう。
特に、第2問で「1/6式の利用」がサッと選択できた人は大きく時間が稼げたはずです。
このように、1つの解法選択で全体の得点は大きく変わるので、普段から“素早く解ける方法”を意識することが大切になります。
まとめ
6年間という長いスパンの中で、はっきりとした特徴があり、難問も少ないため、対策が立てやすい大学の1つと言えるでしょう。
また、60分のマーク式という形式を考えると、“とにかく素早く答えを出す”能力が重要になります。
形式上、証明問題は出題しづらいはずなので、“数値を合わせる”ことを意識した訓練を積むように心掛けましょう。
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