京都医塾化学科の森岡です。
今回は化学の学習をする上で大切にしてほしい言葉の定義についてお話していきます。
この記事を読むことで、言葉の定義の重要性や、分かりにくい言葉の意味が分かるようになります。
言葉の意味、曖昧なままにしていませんか
例えば、次の言葉の違いが分かりますか?
- 酸と酸性
- 負極と陰極
- 電気陰性度と電子親和力
- イオン化エネルギーとイオン化列
これらの違いがきちんと答えられた人は正しい基礎が身に付いていると言えます。
しかし多くの受験生はこれらの違いが曖昧なままになっているように感じます。その結果として、例えば「負極」と答えるべき問題で「陰極」と書いてしまったという事態に陥ってしまいます。
では、それぞれの言葉を詳しく見ていきましょう。
➀酸と酸性の違い
酸については教科書に載っている定義は2つあります。
アレーニウスの定義では酸は水中で電離して水素イオンを出す物質、ブレンステッドの定義によると相手に水素イオンを渡す物質です。
説明がちょっと長いですが、酸性との違いを意識するために注目するべきは「物質」という部分です。
ここをしっかりと意識した上で、次の酸性の説明を見てください。
酸性とは、H+がOH-よりも多い水溶液の状態です。
注目すべきは「状態」という言葉です。
つまり酸は「物質」を指し、酸性は「状態」を指す言葉です。
この違いが分かっていれば、
「塩化水素HClという物質は酸性である」という表現が間違いであると気づくはずです。
また、
「塩化水素という物質は酸なので水に溶かすと電離して水素イオンを放出し、その結果として水溶液が酸性になる」という表現が正しいと分かるはずです。
②負極と陰極の違い
負極とは、外部回路に電子を流し出す極のことを指します。
つまり、負極という言葉は電池について使います。
ちなみに、小学生や中学生の時にはマイナス極と呼んでいたものを、高校化学では負極と呼んでいるだけと考えると分かりやすいですね。
一方で陰極とは、電池から電子を流し込まれる極という意味になります。
もっと簡単に表現すると、電池の負極とつながっている極が陰極ということになります。
以上より、電池の問題では負極・正極という言葉を使い、電気分解の問題では陰極・陽極という言葉を使うことになります。
まとめ
いかがでしょうか?
言葉の定義がきちんと分かっていると正しく答えられることが分かってもらえたでしょうか?
どの分野であっても、学習のスタート地点は新しく出てくる言葉を正しく捉えることです。
地味な作業ですが、確実に身につけるようにしましょう。
ちょっと長くなってきたので、
③電気陰性度と電子親和力と➃イオン化エネルギーとイオン化列の違いについては続編でお伝えしていきます。
お楽しみに!