決してふざけている訳ではありません。いや、ふざけているのか?(年寄りが書いているので、若い人には通じ難い点が多々あるかと思います。ご容赦の程を。)
小噺
静岡県のとある化学会社の小さな営業所(もちろん架空です。フィクションのため、実在するいかなる団体、人物とは一切関係ありません。)に勤める美人OLのミィちゃん。(ちなみに若い頃のピンクレディーのミィちゃんにそっくりだとか似てないとか。(だから静岡※1 なんだけど。)社員が出払った後はいつも所長と二人きり。朝から晩まで忙しく働いているミィちゃんを尻目に所長はまあ、働かない。昼間からまぁ、たこるたこる(静岡県東部の方言※2で、たこる=サボる)競馬新聞に赤鉛筆(学生時代に初めて塾講師のアルバイトしたとき、校長がそんな感じでしたが)とまではいかないものの、まあ、仕事をしているようには見えない。今日も朝から欠伸ばかり何度目?気付くと机に突っ伏して寝てるし。「無視無視。今日こそは退勤時間までに仕事を片付けて定時で帰ってやる!」黙々とルーティンの仕事をこなしていくミィちゃん。あ、そう言えば都倉さんからの発注の承認を所長にもらっておくよう、阿久さんに頼まれてたんだっけ。書類を携えて所長の机に向かうミィちゃん。「お、いい所に。ミィちゃん、お茶!」 プツン!「仕事しろー!」気が付くと大事な書類で所長を思い切りはたいていたミィちゃん。「もう、ミィちゃんたら、不意打ちなんだからぁ~。」
本文
どうも、京都医塾化学科の榊原です。一体全体何の話を始めたのか、「???」だったと思いますが、何の事はない。化学の授業で、特に暗記的色彩の強い無機化学、有機化学で語呂合わせ等を多用するのですが、無機化学非金属元素15族「窒素」の学習で、ハーバー・ボッシュのアンモニア合成法の学習後、オストワルト法の説明が一通り終わる頃、一連の化学反応式の説明で、
4NH3+5O2 → 4NO+6H2O ・・・ (1) ※3
2NO+O2 → 2NO2 ・・・ (2) ※4
3NO2 + H2O → 2HNO3+NO ・・・ (3) ※5
ミ ィちゃんったら 不 意 打ちなんだからぁ~
なんてやってます。(1)は化学初学者向けの未定係数決定(未定定数)法の練習として、化学反応式の練習問題でよく見かけますが、生成物を知っていれば、完全燃焼の化学反応式を組み立てる要領で、目算法でも十分作れます。また、(3)も生成物を知っている事が前提ですが、窒素原子の酸化数に着目すれば、NO2中のN原子;+4,HNO3中のN原子;+5,NO中のN原子;+2より、NO2が3人いれば、2人が犠牲(電子e-を残り1人のNO2に渡してHNO3に変わる) になる事によって、残り1人を救う(電子e-を2個貰ってNOに戻る) 事ができると考えれば、自ずから係数が決まるので、無理に語呂合わせに頼る必要など無いんですけどね。大学受験は時間との勝負(Festina!)だったりするので、いきなり書けるに越したことは無いと思うのですが... (ごめんなさい。化学物質をいきなり擬人化して1人、2人、・・・とか断りなしによくやってしまいます。って、説明はいらないですよね。)
あ、タイトルの「お酢と割ると」ですけれど、そもそも「オストワルト法」が出てこない人に「僕、ハイボールが好きでよく炭酸割り飲むんだけど、‘お酢と割ると’、酸っぱくてしょうがないよね。」なんてヒントを出したりするんですけど、反応は様々です。※6
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(註)
※1 ピンクレディーは1970年代後半~活躍のアイドル(歌謡デュオ)で、現在でも「サウスポー」が野球の応援に使われていると思うので、全く知らないという事もないでしょう。(と勝手に思ってます。)彼女らの出身地が静岡県なので。現在の有名人だと女優さんで長澤まさみさん、広瀬すずさん、広瀬アリスさん、...等々。いつか化学ネタで登場させようと思っているのですが...広瀬すずさんは主演映画で周期表の歌を歌ってたし、元素記号Sn(スズ)あるし、ま、一番登場させやすいかな? 百田夏菜子さん(ももいろクローバーZ)は周期表ネタで昔使ってたんですけどね。って、いつもそんな事考えている訳ではありませんよ。
※2 静岡県の方言で一番有名なのは「こばっちょでちんぶりかえる=隅っこでふてくされる(すねる)」だと勝手に思っていますが、「ラブライブサンシャイン !! 」の影響で「ずら」とか「だら」とかの方が有名になってたりするんでしょうか?
※3 まだ20年は経たないと思うんですが、昔勤めていた大阪北摂地区に教室を展開していた学習塾で、地元の公立高校の定期テスト対策講座の化学の授業で、試験範囲にオストワルト法が含まれていたときにその場の思い付きで「仕事しろ―!」と板書したのが最初で、それ以来ずっと愛用しています。そこそこ大きな塾で、教え子は延べ人数で数百人に達するので、その子らが広めてくれたのか、至極単純な語呂合わせなので、別にルーツが存在するのか定かではありませんが、一昨年位前に数名の化学科の非常勤講師相手に別の非常勤講師に教わって、おかげで化学反応式がすらすら書けるようになったと、輪の中心で目を輝かせて得意げに話す女子学生(当時私はその生徒の担当では無く、その生徒は教わった先生だけのオリジナルだと思っている様で)にショックを受けた事があります。今回この文を目にした同僚の化学講師にも、自分は「あんさんのミス!(お前のミスで迷惑したぞ!まともに)仕事しろー!ファッキン!」と教えているという事。(登場する化合物の順番や、触媒の白金まで一気に覚えられるので一石三鳥!?)私自身は化学反応式で並べる物質の順番など自ずから感覚的に決まると思っている古い人間なので、必要ないと思いつつも、係数を覚えても物質と結びつかないという学生に、し「ごとー」の「おー」の音が酸素のOと繋がっているんだ、し「ろー」の「ろー」の音はフランス語の「De l‘eau s’il vous plaît?=お 水 下さい。」の「水」だろう、とかかなり無理のある、苦し紛れの説明をしてい ます。(語呂合わせに意味を持たせても仕方ないんですがね。)
※4 ここは特に語呂合わせとか必要ないんじゃないかと思って、ここだけ語呂作ってません。NO → NO2 で、酸素Oが1つ増えるだけだから、O2をパピコ(真ん中で2つに割って2人で食べられるアイス。別に1人で食べてもいいけど。)みたいに2つに割ってNO2人で分ければ? で済ませていますね。
※5 ※3の学習塾は京都にも教室展開していまして、洛西ニュータウンの校舎で担当していたクラスの生徒に当時 (1) の語呂合わせしか使っていなかったため、(2),(3)まとめて語呂合わせにできないか、募集をかけた事がありまして、その時に応募してくれた唯一の語呂合わせが「ミィちゃん、不意打ち」でした。ミィちゃんって誰?との問いかけに、即座にピンクレディーが出てきましたから、若いのに何故知っているの? と驚いた事を覚えています。あ、冒頭の文章は簡略版をその場のノリで肉付けしつつ、授業で前振りとして話していたりするのですが、文章に起こしたのは初めてですね。お話としてはまだまだ工夫の余地が..って二度とお披露目する予定はありませんが。
※6 演示用のガラス製の試験管やビーカーの類を手にして、「押すと割るどー!、押すと悪どー!」なんて馬鹿な事をやってた事もありますが、反応は想像に難くないと思います。協力的な生徒もいたりするのですが、同情というか憐れむような視線が痛い痛い。まあ、冷ややかな視線に快感を覚えるきらいがある方にはいいのかもしれませんが、あまりお勧めはできませんね。尚、最近はオストワルト法と濁らないのが一般的なようです。人名を用いない「アンモニア酸化法」はあまり用いられないようですが、「アンモニアソーダ法」と紛らわしいからでしょうか。(「ヘスの法則」を「総熱量保存の法則」と答えさせる問題には出会った事があるのですが。)