医学部に入学し、卒業して医師免許を取ることで、医師として働く資格を得られます。
そんな中、一旦臨床の現場から離れ、大学院に進学し、研究に勤しむ医師が多いことも事実です。
医学部にまだ入っていない方にとって、大学院に進学するメリットをあまり感じられないのではないでしょうか。
今回の記事では、医学部の大学院の概要や入る理由、主なメリットについて解説します。
既に医学部を卒業後、大学院に入って研究を行いたいと考えている方も、ぜひ本記事の内容を自分のキャリア設計の参考にしてみてください。
目次
医学部の大学院とは
医学部における大学院は、その他の学部における大学院と少し異なります。
他の学部では、4年間大学に通い、学士を取ったのちにそのまま学び続ける形で大学院に進学します。
一方で、医学部では6年間の通学により学士を取得した後、医学部の大学院では、4年間在籍し、博士論文を書くことで修士を飛ばして博士の学位が授与されます。
また、医学部の大学院に入学し、医学博士を取るために医学部であったことは条件として含まれていません。
そのため、医学部の大学院生の中には、もともと工学部や理学部であったものの、修士の学位認定を受けたのちに医学部の大学院に入学した方も少数います。
ただし、医学博士と、医師はまったく別物なので、医学博士になったとしても、医師免許がなければ医療行為は行えません。
ちなみに、医学博士の学位を取得したからと言って、医者としての処遇が格段に良くなることもありません。
そのため、主に研究を目的として医学部の大学院に入る医者がほとんどです。
医学部の大学院は何歳から通う?
医学部の大学院に通っている院生は、一度医師としての業務を行った経験がある人がほとんどです。
医師として業務を行った年数も人によって異なり、研修医の3年の期間が完了してから、すぐに大学院に入る人もいれば、10年近く医師として勤めたのちに大学院に行く人もいます。
医学部には多浪生も多いため、何歳から大学院に通うといった明確な基準はありません。
しかし、先述の通り、医学部の大学院生の多くが、ある程度の実務経験を積んでいます。
そのことと、多浪をして医学部に入学した人が多いことを考慮すると、医学部の大学院生は30~35歳の幅の年齢の人が多く見られます。
実際に大学院に通いながら現場で医師の仕事をする方も多く、大学院生の医師も多いです。
大学院生と聞くと、学生のようなイメージを抱きがちですが、既に実務経験が豊富な方が多く、研修医を始動する立場にもある医師なので、診療技術などに関して心配する必要はありません。
医学部の大学院の難易度
ここまで医学部の大学院の概要について解説してきましたが、医学部の大学院の難易度について気になる方は多いのではないでしょうか。
前提として、大学院には大学受験のような偏差値などの、難易度を表す指標が存在しません。
また、大学院受験の問題は記述形式や自分の意見を論ずるものであり、明確な1つの答えがないことが多いのも、難易度を表す指標がない要因として挙げられます。
偏差値などの難易度がない分、各学部の偏差値と倍率からその大学院の難易度を判定することが非常に多いです。
なぜなら、学部の偏差値が高い大学には、研究設備が整っている上に、ネームバリューがあるためレベルの高い生徒が集まる傾向にあるからです。
また、医学部の大学院に進学する方は、医師としての経験を積んだ後に、積極的に学びたい意思を持って受験に臨みます。
そのため、非常に競争率は激しいものになっており、この点でも、医学部の大学院の難易度は非常に高いと言えます。
医学部の大学院に通う理由
ここまで医学部の大学院の概要や、難易度について解説しました。
ここまで読んだ方の中には、「医師として働けるにも関わらず、どうして大学院に進学するのか」という疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。
医学部の大学院に通う理由として、代表的な4つの理由は下記の通りです。
・教授を目指している
・医局からの指示
・研究医を目指している
・医療に関する知見を深める
それぞれ順番に解説します。
教授を目指している
医学部の教授になりたい場合、他学部の教授と同様に論文を発表して博士の学位を取得することが前提条件としてあります。
そのため、医学部の教授になりたくて、大学院に通うことを決める方は非常に多いです。
医学部の教授になる道は非常に険しく、論文などで医学界に影響を与えることはもちろんのこと、運やその時の大学の人事の都合に依存する部分が多いです。
険しい道であるものの、大学院卒業は教授になる必須要件であるため、多くの方が教授を目指して大学院に進学します。
医局からの指示
医局とは、医学部生として学んだ大学病院における、診療科や研究室、教室などを含めた大きなグループのことです。
研修医はそのまま大学病院で働くことが多いため、多くの医師が医局に入ります。
医局では現場と研究室で密な連携が取られており、研究に必要な人員の不足や、診療科にいる優秀な医師の情報が共有されています。
なぜなら、医学における優秀な論文を発表することが、大学の医学部のステータスや信頼性を高める要因となるからです。
このような診療科や研究室の連携の中で、優秀な診療科の医師が医局から大学院進学を指示されることも珍しくありません。
研究医を目指している
医師にも大きく分けて、「臨床医」と「研究医」の2つに分けられます。
臨床医は実際に患者の前に立って、医療行為を行う医師のことです。
一方で研究医とは、博士の学位を取得した後に、大学や研究機関の中で研究を続ける医師のことです。
新たな治療法の開発などに興味がある方の中には、実際に研究医を目指す方もいます。
研究医になるためには、大学院に進学し、博士の学位を取ることが前提条件です。
なぜなら大学院で、具体的な研究手法や正しい論文の書き方などを学ぶからです。
近年、研究医の不足が起きており、国公立大学医学部の中には、効率よく研究医になれる独自のカリキュラムを持っている大学もあります。
学部在学中に研究医に興味のある方は、この独自カリキュラムを利用するのも手段の1つと言えるでしょう。
医療に関する知見を深める
大学院では、最新の医学論文を読む機会などが多く、必然的に医学に対する知見が深まります。
その他にも、研究をするなかで、臨床医として働いているだけでは触れることのできない病気のメカニズムを知れることも珍しくありません。
このように大学院に進学し、学ぶことで、より医療に関する知見を深められます。
また、大学院で論文を書くためには、膨大な量の論文などを調べる必要があります。
その中で、適切な情報を引き出す能力が養われるため、大学院卒業後も、自ら医療に関する知見を深めていくための方法が分かります。
医学部の大学院に進学するメリット
ここまで、医学部の大学院に入る理由について解説しました。
医学部の大学院に入ることで、実際に下記のようなメリットを得られます。
・博士号を取得できる
・専門分野に関する知見を深められる
・研究や発表に勤しめる
それぞれ順番に解説します。
博士号を取得できる
医学部の大学院に入り、研究を重ねて論文を発表することで、博士号を取得できます。
長期にわたって医局に所属して、より良い立場の医師として働いたり、自分の医師としての選択肢を広げたりするためには、博士号の取得は必要不可欠です。
開業医を目指す医師の場合は、博士号を取得することで信頼性を高めたいという方もいるでしょう。
研究医や教授を目指す医師以外にとって、博士号の取得によって実務上で得られる恩恵は多くありません。
ただし、組織でより良い立場で働いたり、信頼性を高めたりするために、博士号の取得は有効であると言えるでしょう。
専門分野に関する知見を深められる
医学部の大学院では、1つの専門分野に対して、自ら研究を行った上で論文を書いて発表する必要があります。
もちろんその研究過程では、専門分野に関する多くの論文を読み、知識を蓄えることが必要です。
このような医学部の大学院における学習過程において、専門分野に関する知見を深められます。
専門分野に関する知見を深めることで、再度医師として現場に戻ったときに、より多様な見方で目の前の患者や病気に向き合えるでしょう。
また、日々進化する医療の情報を適切にキャッチする能力が身に付くため、専門分野の知見を深めることは、実務上でも大きなメリットとなります。
研究や発表に勤しめる
医学部の大学院は非常に多忙であるものの、研究や発表を行うことに集中できます。
医局によっても異なるのですが、働きつつ研究を進める期間と、研究1本に集中する期間が分けられていることが多いです。
働きつつ研究を進める期間であっても、研究に有益だと考えられる役職やポジションに就いて、働くことが多いため、自分の興味のある分野の学習や経験を積むことに集中できます。
さらに、研究1本に集中する期間では、完全に現場から離れて論文を書くことに集中できる時間を作れます。
研究や発表を行い、医学の発展に貢献したい方にとって、理想的な環境と言えるでしょう。
まとめ
今回の記事では、医学部の大学院の概要や難易度とともに、医学部の大学院に入る難易度やメリットについて解説しました。
医学部の大学院は入るときも入ってからも、非常に高いレベルの学力や研究技術が求められます。
しかし、医学部の大学院を卒業し、博士の学位を取ることで、医師としての選択肢が非常に広がるため、大学院を目指す医師も多いです。
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