「病気を診ずして病人を診よ」、とは東京慈恵会医科大学を創設した高木兼寛氏が、今から130年以上も昔に打ち出した、同校の建学の精神です。
高木氏は、医学的力量はもちろんのこと、人間的な力量をも兼ね備えた医師こそが必要だとして、こちらの精神を医療人育成のうえでの第1目標としました。
彼の持つ高い志の甲斐もあり、東京慈恵会医科大学には過去から現在に至るまで高度な人材が結集し、日本の医療を日々支えています。
そして、受験においても、同校でぜひ医学を学びたいとする若者が毎年、狭き門の突破へと挑みます。
今回は、そんな東京慈恵会医科大学医学部の受験生の方に向けて、同医学部の基本情報や試験の対策方法など解説していきましょう。
目次
東京慈恵会医科大学の基本情報
まずは、東京慈恵会医科大学医学部の基本情報について解説していきます。
こちらの項では、東京慈恵会医科大学医学部のキャンパスの場所や入試定員、そして学費などを取り上げて解説していきましょう。
キャンパスの場所
東京慈恵会医科大学には、西新橋キャンパスと国領キャンパスの2つのキャンパスがあります。
ここでは、それぞれのキャンパスへのアクセス方法を紹介していきましょう。
まずは、西新橋キャンパスへのアクセス方法です。
西新橋キャンパスへお越しの場合は、都営三田線の御成門駅で下車し、「A5出口」から出てください。
その後、日比谷通りを北進すると約3分で到着します。
また、国領キャンパスへお越しの場合は、京王線に乗車後、国領駅で下車してください。
柏江通りを、南方向へ10分ほど進むと左手にキャンパスが見えてくるでしょう。
「小田急バス狛江営業所」が、よい目印となるはずです。
入試定員
東京慈恵会医科大学医学部の2023年度における入試定員数は、男女合わせて105名と発表されています。
2021年度から2022年度にかけては微減傾向にありましたが、本年度では横ばいの募集人員となっています。
学費
東京慈恵会医科大学医学部の学費は、6年間総計で22,500,000円です。
内訳は入学金が1,000,000円、授業料が各年度2,500,000円、2年次以降の施設拡充費が1,300,000円となっています。
また、上記学費納入分のほかにも、学生会経費が100,000円、保護者会の会費が210,000円、臨床実習の前後に実施される各種試験の受験料が45,000円分、それぞれ必要です。
東京慈恵会医科大学の特徴
続いて、東京慈恵会医科大学医学部の特徴についても解説していきましょう。
歴史と教員数の豊かさ、そして高い国家試験合格率など複数の観点から魅力を掘り下げていきますので、ぜひご覧ください。
歴史のある大学
東京慈恵会医科大学は、創立から130年以上もの歴史を経ている国内屈指の伝統校です。
長い歴史と向き合う中、同校の校風として脈々と受け継がれてきたのが冒頭でもお伝えした建学の精神です。
「病気を診ずして病人を診よ」という医療人としてのスタンスは、全人的な医療を貫くための基本的な心構えとして、医学部全体に共有されています。
教員数の多さ
東京慈恵会医科大学医学部には、豊富な教員数を取り揃えているという特徴があります。
同校では、2020年5月1日現在、総勢1,835名の教員と研究者を教員として採用。
彼らを各部門へと効果的に配置し、学生への医学的指導を徹底しています。
加えて、5,000名ほどの一般職員もサポートに動員することで、約7,000名規模の教育体制も実現しています。
そんな東京慈恵会医科大学医学部は、学生数に対する教員数が世界一であるとして、イギリスのタイムズが提供しているメディアでも特集を受けました。
教員から直接指導を受けることを「アクティブラーニング」とも言いますが、東京慈恵会医科大学医学部では教員数を十分に確保することで、このアクティブラーニングの機会を学生に数多く与えています。
高い国家試験合格率
高い国家試験合格率も、東京慈恵会医科大学医学部が持っている特徴の1つです。
同医学部の医師国家試験の合格率は例年高い水準で推移しており、2022年度の試験では、108名のうち106名が無事に通過し、98.1%という高実績を残しました。
それ以外の年でも、2021年度では合格率97.5%、2020年度には95.4%など、いずれの年度においても100%に迫る合格率を打ち立てています。
まさに、充実したカリキュラムで学生を指導・教育する東京慈恵会医科大学医学部ならではの合格率と言えるでしょう。
東京慈恵会医科大学の難易度
次に、東京慈恵会医科大学医学部の難易度についても解説していきます。
ここでは、偏差値と倍率、両方の観点から同医学部の難易度を解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
偏差値
まずは、偏差値についての解説です。
東京慈恵会医科大学医学部の偏差値は、70.0となっており、私立大学の医学部としては極めて高水準にあると言えるでしょう。
同水準の偏差値の医学部としては、私立大学医学部の中でも最高峰となる偏差値72.5を要する慶応義塾大学や、70.0の順天堂大学など、指折りの難関校が名を連ねます。
偏差値67.5の医学部へも目を向けても、昭和大学や東邦大学、大阪医科薬科大学など、医学部の受験生であれば誰もが知るであろう名門校が並びます。
このような現状を踏まえると、東京慈恵会医科大学への受験の厳しさは、誰の目にも明らかです。
受験の際は、出題傾向をしっかり掴むのはもちろんこと、基礎力についても深く習得しておく必要がるでしょう。
倍率
偏差値の後は、倍率についてもチェックしていきます。
東京慈恵会医科大学医学部における2022年度から2020年度までの一般入試の倍率は、一貫して一桁台となっているのが特徴です。
医学部の入試では、二桁台の倍率のところが多い中、東京慈恵会医科大学は低い水準を維持していると言えるでしょう。
ちなみに、2021年度と2022年度との大きな違いは、東京都地域枠が撤廃されたことにあります。
同募集枠については、残念ながら今後の募集の見通しは立っておりません。
そのため、入学希望者の方に会っては一般入試で合格できるよう、学習に励んでおく必要があります。
▼東京慈恵会医科大学医学部の入試データ
・2020年度
入試日程 | 倍率 | 募集人員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般 | 5.9 | 105 | 1864 | 1708 | 316 |
東京都地域枠 | 19.8 | 5 | 99 | 92 | 5 |
・2021年度
入試日程 | 倍率 | 募集人員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般 | 7.0 | 105 | 1625 | 1412 | 233 |
東京都地域枠 | 15.4 | 5 | 77 | 66 | 5 |
・2022年度
入試日程 | 倍率 | 募集人員 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 |
一般 | 7.4 | 105 | 1860 | 1708 | 251 |
東京慈恵会医科大学の入試対策
最後に、東京慈恵会医科大学の入試対策についても見ていきましょう。
こちらの項では、英語や数学などの各科目を取り上げて、傾向と対策について解説していきます。
後半では、小論文と面接に関する解説もしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
英語
英語は試験時間60分間、記述・マークシート形式で行われます。
大問は、例年3問前後で課される傾向が多く見られます。
こちらの試験は和訳、内容真偽、空所補充、脱文挿入、英訳など幅広い分野から出題されるのが特徴です。
対策としては、語彙力の向上に努めることから始め、慣れてきたら読解系の難問にも徐々にチャレンジしていくのがおすすめです。
医療科学系の論文は課される可能性が高いので、読解系の演習に取り入れつつ実力を強化していってください。
とにかく文脈を意識して読みとる力を養いつつ、英文への理解を深める努力を惜しまずに勉強しましょう。
数学
数学は90分間で記述、穴埋め式の試験が課されます。
大問は4題ほど出されるのが一般的で、難易度については上位私立大学レベルに相当します。
頻出分野となっているのは、微分・積分と確率、空間把握です。
こちらの分野の中でも、微分と積分は難易度がとりわけ高いため、難関医学部レベルの問題だけに絞って、演習をくり返しこなしていく必要があるでしょう。
空間把握については、図形を把握する洞察力が必要とされます。
制限時間のわりに問題数が多い傾向が強いため、模擬テストなどでは、あえて完答を狙わずに解けそうな問題を続けざまにクリアしていくのがおすすめです。
物理
理科2科目は、120分間で実施されます。
物理は記述式で行われ、例年3題前後の大問で構成されています。
幅広い範囲からの出題になりますが、原子や電磁気、熱力学が出題されやすいので、こちらの分野はよく勉強しておきましょう。
また、物理では標準難度の問題が多く見られる中、時おり高難度の問題が出題されますので油断大敵です。
見慣れない設定の問題でも対応できるよう、色々なタイプの問題も解いて慣れておきましょう。
加えて、計算に時間を要する問題も多く出題されますから、計算力も身につけておいてください。
化学
化学は、記述と穴埋め式で試験が行われます。
問題数は例年4つの大問で構成されていますが、質も量もハイレベルとなっているので、相応の準備が必要です。
いわゆる定番問題の解法習得は当然として、応用問題も随時習得していきましょう。
文章の題意をくみ取り、考察力を鍛える訓練に注力しておくと試験に大変役立つはずです。
東京慈恵会医科大学の過去問はもちろん、東京大学や東京医科歯科大学の入試問題を解いておくと、柔軟な思考力が養えますのでおすすめです。
生物
生物も化学と同様、記述と穴埋め式での試験が実施されます。
生物では、例年4題課されるのが定番です。
計算問題、論述問題ともに複数題出されていますので、両方に精通しておく必要があるでしょう。
一般的な計算問題と論述問題の演習を反復して行い、より短時間で正答できる力を養ってください。
他大学よりも、生物の進化と分類に関する出題が多く見られますから、より重点的に学習しておきましょう。
小論文・面接
小論文試験は60分以上90分以内、字数は1,800字以内の条件で実施されます。
ある物事に対し自分の意見を考え、他者に伝える力が問われます。
気の向くままに論述してしまうと、試験の後半になってから文章に矛盾が生じる可能性がありますので、事前に構成をメモしてから書き出しましょう。
面接は、MMIで行われます。
MMIとは、複数の課題を使った面接試験の総称です。
こちらの方式の面接試験では、個別面接を通じて論理的思考力が評価されていきます。
面接時間は7分を6回と、やや長丁場となりますので、事前に練習を行い複数の回答を用意しておきましょう。
まとめ
創立から130年以上もの歳月が経つ、東京慈恵会医科大学。
同校では建学の精神を今なお大切にし、学生を真の医療人にすべく、日々教育に励んでいます。
とくにアクティブラーニングの実践には力を入れて取り組んでおり、これを達成すべく学生数に対する教員数では世界一の水準を維持し続けています。
数ある医学部の中でも特段に質の高い指導が受けられるとあって、在学生からも大変な評判です。
また、大学のこういった姿勢は医師を志す若者からも高い共感を得ており、同校の医学部には毎年たくさんの受験生が詰めかけます。
しかし、同校医学部の偏差値は70.0と、他の私立大学の医学部と比較しても高難度。
受験を控えた人たちの中には、自らの学力と照らし合わせて不安を抱く方もいるはずです。
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もちろん、東京慈恵会医科大学医学部への合格者を輩出した実績もありますので、同校を志望する人には特段におすすめです。
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