今回は、《『社説集』2022年7月まとめ》後編になります。
《『社説集』2022年7月まとめ》前編に掲載したものから医学部受験生必見の記事3本を取り上げ、紹介したいと思います!
目次
注目三本
- 600-2.KDDI障害 発生後の対応にも課題/2022/07/06 南日本新聞
- 601-6.政治の多様性 男女均等へ一層の努力を/2022/07/13 神戸新聞
- 602-4.元五輪理事疑惑 全容解明する必要あり/2022/07/22 京都新聞
その➀600-2.KDDI障害 発生後の対応にも課題
本文
障害が発生してからの利用者への周知にも課題が残った。
2022/07/06 南日本新聞
総務省がKDDIに連絡要員を送ったのは発生日の夜になってからだ。金子恭之総務相や高橋社長の会見は3日午前で、発生からおよそ30時間が経過している。事態の重要性を考えれば、もっと早く状況を知らせるべきだった。どのサービスに障害が生じ、どんな代替手段があるのか。高齢者らも念頭に丁寧な情報発信が求められよう。
政府は「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、光ファイバー回線など高速通信網を全国に普及させる考えだ。生産性向上などが期待できる一方、通信インフラへの依存度はさらに高まる。
事業者の指導を含めて、想定されるリスクへの備えを急がなければならない。
キーワード
- インフラストラクチャー
解説
「インフラ」という言葉があります。インフラストラクチャー(infrastructure)の略であり、わたしたちの社会生活や産業の基盤となっている施設のことをいいます。
7/2、KDDI(au)で大規模な通信障害が発生し、携帯電話の利用者など最大3915万回線に影響が出ました。混乱は、緊急通報や企業活動など幅広い分野に広がりました。緊急通報には、救急医療や消防への連絡も含みます。
ネット回線はいわゆる「通信インフラ」であり、個人や機関をつなぐさまざまな連絡手段の基盤となります。今後、社会のデジタル化が加速していく中で、回線がダウンした場合のリスク回避は大きな課題となるでしょう。
(余談ですが、今回のブログの執筆担当は、登山を趣味としています。今回KDDIの回線がダウンしたため、同行者との連絡が取れず、山行が雨で中止になったことを知らずに現地に行ってしまいました。このようなミクロな影響も諸処で生じているものと思われます笑)
その② 政治の多様性 男女均等へ一層の努力を
本文
女性候補を増やすには、人材発掘や育成など息の長い取り組みが欠かせない。参院選では「顔で選んでくれれば1番を取る」などと女性候補の容姿に触れた政治家がいた。同僚議員や有権者、選挙スタッフからのセクハラも相次ぐ。防止策と啓発に本腰を入れる必要がある。
2022/07/13 神戸新聞
共同通信が昨年実施した全女性国会議員へのアンケートで、立候補や活動の障壁について「政治は男性のものとする固定観念」との回答が最も多く、「家庭・子育てとの両立」「セクハラ」などが続いた。
少子化対策や格差是正をはじめ、政策の実効性を高めるには、多様な視点で議論を積み重ねることが肝要だ。女性の政治参加を阻む壁を直視し、取り除かねばならない。
キーワード
- 男女共同参画社会
解説
男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。
世界経済フォーラムが算出する「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は146カ国中116位に甘んじています。先進国としては大変に低い水準にあり、ジェンダー間の不平等改善に向けた意識が低いと言えます。
女性の社会進出がよりいっそう進むよう、「政治は男性のものとする固定観念」など、見直していくべき課題は多いと思われます。
医療においても、女性の離職率の高さが問題視されています。「家庭・子育てとの両立」など、「医師の働き方の改革」も強く求められていくでしょう。
その③ 元五輪理事疑惑 全容解明する必要あり
本文
昨年の東京五輪・パラリンピック大会に関連して、納得しがたい事態が起きている。
2022/07/22 京都新聞
組織委員会の高橋治之元理事が代表を務める会社が、大会のスポンサーである「オフィシャルサポーター」を務めた紳士服大手AOKIホールディングスとコンサルタント契約を結び、計約4500万円を受領していたとみられることが分かった。
東京五輪・パラリンピック特別措置法は、組織委の理事ら役員や職員を「みなし公務員」と定めており、職務に関連して賄賂を受け取れば、刑法の収賄罪に当たる可能性があるとされる。
東京地検特捜部は、同ホールディングス前会長の青木拡憲氏から任意で事情を聴くなどし、捜査を始めている。
キーワード
- 利益相反
解説
2022年9/1現在、高橋氏は受託収賄容疑、青木氏は贈賄容疑で逮捕されています。五輪組織委理事は高い公益性が求められるため、「みなし公務員」にあたります(「みなし公務員」とは、例えば大学事務職員など、公務員ではないが、その職務の性質上、公務員に適用される刑法の規定の一部が適用されるものをいいます)。
高橋氏は、五輪組織委理事という立場にありながら、職務に関連して具体的な依頼を受け、賄賂を受け取ったため、受託収賄容疑で逮捕されるに至りました。このような、公的な職務に服する者が私的利益を追求した結果、公的な利益を損なうような行為を、「利益相反」と呼びます。
医療の世界においても、例えば「臨床研究」において、利益相反が生じないか、常に配慮する必要があります。