こんにちは。円町校数学科の玉島です.
遠い昔,玉島がまだ若き高校生の頃に学校の先生から次のような問題をもらいました.
「二桁の整数で2乗すると下3桁がすべて一致するものを求めよ.」
細かな言い回しは忘れましたが,意味は変わらないはずです.実際,平方数を並べてみましょう.
\( \displaystyle 1,4,9,16,25,36,49,64,81,100,121,144,\cdots \)
ご覧の通り1の位は必ず\( 0,1,4,5,6,9 \)の何れかになっています.求める値の2乗の値は
\( 000,111,444,555,666,999 \)
のどれかになるはずです.「なーんや、多少調べたらすぐ分かるやろう」と思ったのが間違いでした.例えば\( 666 \)となるときを考えます.一の位が6ですから元の二桁の整数は\( 10a+4 \)または\( 10a+6 \)のどちらかの形になるはずです.ただし,\( a \)は1から9の何れかの整数です.
\( \displaystyle \left( 10a+4 \right)^2 =100a^2+80a+16 \)
\( \displaystyle \left( 10a+6 \right)^2 =100a^2+120a+36 \)
すると十の位が既にややこしくなってきました.それでもいくつかの場合を調べて頑張ると
\( 38^2=1444 \)
が見つかります.しかも二桁の整数で2乗すると下3桁がすべて一致するのはこの数だけであることが分かります.当時は暇だったのでしょうか?よく頑張ったなと思います.しかも,結構感動をして
「へーっ!1444しかないんや。なんか\( 12^2=144 \)に似てるし、おもろいな」
とか,昼過ぎの授業で時計を見ると
「14:44か!あっ、\( 38^2 \)や.いいタイミングで時計を見たな.きょうはいいことあるかも.」
などと,幸せな性格です.それだけなら誰にも迷惑をかけないのでよいのですが,私の場合は友人に
「下3桁が一致する平方数って1444しかないねんで.こないだ証明してん!」
とうれしそうに話しかけたりするんですよね.友人は苦笑いをしながら
「へーっ….それはスゴいな.面白いね」
と答えてくれたものです.当時は「苦笑い」という言葉は知っていましたが,実際の現象として知覚できていなかったので気付かずにいたのです.その友人達も帰省をするといまでも一緒に遊んでくれます.
こう思い出していくと偏った趣味を持った人間に長く付き合える友人は心が広いとつくづく考えさせられます.
友人というのはいろんなタイミングでできるのでしょうが,私の場合は高校・大学時代の友人との付き合いが一番長くなっています.趣味が数学とPCというように一番尖っていた頃に仲良くできたのは「趣味が近い」ではなく心の広い人が友人になってくれたからではないかと最近思うようになりました.それゆえ感謝の気持ちを抱きつつ,今後も付き合っていきたいと思います.
ところで1444ですが,インターネットで調べるとやっぱり調べている方がいますね.さらに平方数の下4桁が一致するのは100の倍数しかないようです.そう考えると1444のレアさが際立ってきます.心が広い友人はもちろん大事ですが,面白い数字と仲良くなると計算をしていても楽しくなります.計算量が多くていちいち心が萎えるよりも,「今日はどんな数が現れるかな?」と思う方が学習時間を有意義に過ごせませんか?一つでも楽しみを増やした方が人生の幸せが増えます.例えば4桁の数字で好きになれそうな数字を探してみてください.