京都医塾英語科です。
このページでは「新潟大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“新潟大学医学部”の受験を考えている方
・“新潟大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
※ここでは2次試験の問題のみを扱います。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度
形式: 記述
制限時間: 90分
配点: 400点(参考:数学400点、理科400点、面接配点0)
※倍率4倍超で足切り有り
【二次試験英語の得点率目安】
・英語を得点源にしている受験生の得点率…300~320点/400点中
・合格者の平均得点率(予想)…280点前後/400点中
・合格最低得点域(予想)…250~260点前後/400点中
【2021年度の出題形式】
- 長文問題
- 長文問題
- 英作文
【制限時間に対する問題量】
語彙が標準的且つ文章自体の難易度も平易であるため、共通テストの速読対策が適切にできていれば時間は十分と言えます。近年、900字程度だった分量が1000字程度に増加していますが、概して大問2つで1000字を目安としておけばよいでしょう。ただし、該当範囲が下線の近くにないことが多いので速読と精読のバランスが問われます。また、詳細は後述しますが、下線部和訳の採点基準が非常に厳しいため減点を防ぐ意味でも丁寧に解くべきであるので、余裕ができることはないでしょう。
【出題形式】
※ここ数年で大問に大きな変移は見られません。
記述式で大問が3つ出題され、その内訳は…
大問1:下線和訳問題が2問と、下線部解釈問題(下線部に対する理由を問うものなど) が2問課されます。下線文解釈問題の文字数は40~100字程度。100字の小問が1問は出ると心づもりしておきましょう。
大問2: 大問1と同じ。
大問3: 20~30字程度の和文英訳が2問と、80文字程度の自由英作文が課されます。自由英作文の問題は英文で記載され、専門的な医療に関する内容というよりは、エッセイ形式のものが多い傾向があります。身近な話題が多く書きやすい印象です。
2021年度(最新の過去問)の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【長文問題における共通点】
まず、長文問題である第1問、第2問の共通点を述べておきます。科学や社会をテーマとした説明文が多く、テーマの偏りは見受けられません。専門用語には注釈が与えられるので読みにくさも感じないでしょう。そのため、長文問題は基本~標準レベルの単語を徹底して押さえておくことが重要となります。
問題形式ごとにみると、下線部解釈問題は、筆者が研究に基づいた事実や自身の考えを論理的に説明する流れのため、設問ごとの該当範囲を正確に当てる必要があります。なんとなく前から読んでいても時間が浪費されるだけなので、設問を吟味することから始めるとよいでしょう。また、文字数が40~100字と比較的多めです。これは厳密に出題者側の意図をくみ取り、解答に反映してもらいたいという要求によるものです。如何に過不足なく書けるかを意識してください。
下線部和訳問題は、構文把握を適切に行えば、構造は平易です。しかし、指示代名詞の内容を具体的に述べたり、文意に即して意訳しなければ減点は必至です。英作文もそうですが、可能な限り、受験英語のプロに添削してもらいましょう。自己採点の場合は、本番では最低でも1割下がることを前提としておくほうがいいでしょう。
【第1問】(難易度:やや易~標準)
通信信号をテーマとしている文章です。具体的には、緊急事態において通信信号が必要とされる中、不必要な通信が重要な通信を阻害していることを主に取り上げています。下線文和訳では、分詞の形容詞用法、分詞構文、不定詞が補語Cにくる第5文型、be動詞の処理といった動詞・準動詞関係のポイントが多くみられますが、構造の難易度は標準です。言い換えれば、構造を把握し損ねた場合に、大幅な減点がされてしまうということです。普段の学習から丁寧に構文をつけ、日本語訳が先行してしまう、所謂「フィーリング」の状態で取り組まないようにしましょう。
下線部解釈問題では、まず文字数に対する必要な情報の取捨選択しましょう。いい加減に書き始めるとタイムロスが発生するので、本文に下線を引くなどしながら該当範囲をしっかりと当てたうえで、解答を推敲しましょう。無駄な情報が入ったり、書き損じがあるとミスごとの減点率が高いため、気づいたら手元に点数が残っていないなんてことになりかねません。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…80~85%
他教科を得点源にしたい受験生…68.5~73%
【第2問】(難易度:標準)
笑顔と人間の成長を関連付けた研究を題材にしています。使用されている語彙が基本的なものが多く、比較的難易度の高い語彙も周辺から推測することが容易に可能です。反面、下線部和訳では名詞構文や指示内容の特定、否定などが絡んだものが課されており、直訳するとまず点数は入りません。パラグラフリーディングの意識を強く持ちながら、その段落で筆者が伝えている内容をまず抜けなく理解し、そのうえで下線部の単語を文意に合わせるという作業を行いましょう。そもそも、国公立医学部で下線部和訳が課される場合、この手順を踏まないと減点されますので注意しましょう。問3の下線部解釈問題は、該当範囲が比較的広く、書き損じが発生しやすくなっています。一つの段落で完結していると思い込まず、前後の段落との関連性を把握する力が要求されています。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…76~80%
他教科を得点源にしたい受験生…67%~72%
【第3問】(難易度:和文英訳はやや易、自由英作文は標準)
和文英訳は、日ごろから英作文の対策をしている方にとっては簡単に感じるかもしれません。第1文型や第3文型で書くことができ、複雑な文法も使用することなく書き上げることが可能です。しかし、和文がこなれた日本語で書かれていますので、どこまで言い換えが許容されるのかを考えながら取り組む必要があります。その基準を自分で修得することは難易度が高いため、やはり受験英語のプロに添削してもらうとよいでしょう。
自由英作はテーマが医療系ではなく、エッセイ形式なので、12月上旬ごろから市販の自由英作テキストなどを解き、使える表現を増やしておくとよいでしょう。論理性が破綻しておらず、コロケーションのミスや時制、冠詞などの表現上のケアレスミスをしなければ、失点は最低限に防ぐことができます。社会的なトピックに足して自分の意見を最低2つずつ持っておくことを意識しておけば、本番で内容を広げることができ、内容点を容易に得られます。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…76~82%
他教科を得点源にしたい受験生…70%~72%
【総評】
英語学習の早い段階から、標準程度(GMARCHや地方国公立の理系英語など)の英文でフィーリングではなく、構造把握に則った読解の訓練を積んでいきましょう。必修レベルの語彙・語法・イディオムの知識があれば読み進めることは難しくありません。しかし、高得点を取るという意味では、正しく構造を把握しながら速読・精読できる英語力がベースにない受験生は間違いなく弾き返されます。下線部和訳で高得点を取るコツは、可能な限り文法を早く完成させ、英作文の練習時間を1分でも多く作ることです。構造把握の訓練には、和訳の問題ばかりしていても限界があります。総合的に学習する習慣作りが求められていると言っていいでしょう。