京都医塾英語科です。
このページでは「九州大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“九州大学医学部”の受験を考えている方
・“九州大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)
形式: 記述式
制限時間: 120分
配点: 200点
出題の傾向と特徴
【2021年度の出題形式】
大問数は5問で従来通りです。ただし、解答形式において、これまでは長文の小問では記号選択式の問題が含まれていましたが、2021年度は姿を消し、すべて記述式になりました。大問3の長文はそれまで日本語での解答を求められていましたが、2021年度試験では英語での解答となりました。最新年度はさらに出題形式に変更のある可能性もあり、どのような問われ方をしても答えられるような総合的な英語のちからを養成しておく必要がありそうです。また、配点の比率も、2020年までは英作文が全体の30%ほどを占めていたものが、2021年度には40%と、英作文の比重が高まっています。大問3の解答形式も英語になっていることから、ある程度の分量の英文を、負荷をそれほど感じずに読めたり書けたりできるよう自動化を意識した練習をすべきです。
大問1:長文読解(日本語で解答)
大問2:長文読解(日本語で解答)
大問3:長文読解(英語で解答)
大問4:自由英作
大問5:自由英作
【制限時間に対する問題量】
大問数は5題と多く、かつそれぞれ記述式の解答を求められるため、解答に要する時間は非常にタイトに感じられるはずです。特に英文を書き慣れていない受験生は十分な解答を作る前に時間切れになってしまう可能性もあり、対策が必要です。
2021年度(最新の過去問)の分析
ここまでは近年の大まかな傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問】(難易度:標準)
「Locusts(イナゴ)の生態について」がテーマの長文です。Locustsという単語自体がわからずとも、長文を読んでいくうちに、special grasshoppersなどと言い換えられていたり、食害の被害状況についての記述があったりするので、大量発生するタイプのバッタだということは読んでいくなかで推測できるはずです。また、設問文は、2020年までは日本語で問われていたものが、すべて英語となっているので、従来型の過去問の出題形式を想定していた受験生は多少面食らったかもしれません。問われている内容は、Q2~4はシンプルで、問いによっては解答の根拠とする場所まで指定してくれているので解きやすいです(Q2、Q4)。一方、Q1は下線部前後にすぐに答えがあるタイプの問題ではなく、文章をある程度読み進めていくなかで、複数のパラグラフの論旨をそれぞれ掬い取って解答としてまとめる必要がありますから、厄介な問題といえるでしょう。大問1のQ1がこのように解きづらいために、出題形式が変化したこととも相まって、試験会場で焦った受験生もいたことだろうと思います。このような問題に出会ったら、まずは保留にして先に進み、解ける問題を見極めてまずその問題を確実に解くことを徹底してください。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…75%
他教科を得点源にしたい受験生…55%
【第2問】(難易度:標準~やや難)
「グーグルによる監視型資本主義のメカニズム」がテーマの長文です。GoogleやYouTubeが受験生にとって身近なものとなっているとはいえ、デジタルマーケティングと資本主義のつながりというテーマ自体は硬質な内容を含むため、結果としては難しく感じられたかもしれません。問いの解答根拠となる部分は比較的下線部近くにあるので、探し出すのにそれほど苦労することはなさそうです。とはいえ、根拠とすべきか所の目のつけ所は抑えておく必要があるでしょう。例えば、Q1では、下線部(1)直前のThisの指示内容をとらえると同時に、in turnを含む一節に、下線部で問われているrepeating cycleの具体的内容の反映を読み取らねばならないなど、指示語や言い換え表現を的確に押さえる戦略的な読み方、解答の作成の仕方が求められています。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…70%
他教科を得点源にしたい受験生…50%
【第3問】(難易度:標準)
「動物保護シェルターでボランティアとして手伝いをするミリアムという女性と2匹の猫」を描いた長文です。大問1、2のような論説文とは異なり、具体的な場面をイメージする必要がある物語文であるだけに、意味内容の抽象的な理解よりも、具体的イメージを広げていく読み方をしなければなりません。普段、そのような英文の読み方をあまり経験していない受験生は、もしかするとLulabellやLutherが猫であると気づくのに時間がかかってしまうかもしれません(しばらく人名で読み進めて、違和感にあとで気づく)。そのような時間の浪費を回避するには、論説文だけでなく物語文はじめ様々の種類の英文を普段から一定量読んで耐性をつけておく必要がありそうです。問自体は非常にシンプルながら、たとえばQ1の解答根拠となる箇所は最後から2パラグラフ目に出てくるなど、問の順番と解答根拠となる箇所とが必ずしも本文の順番と一致していないために、解きづらさは感じることでしょう。とはいえ、全体の分量自体はそれほど多くないため、描写を丁寧に押さえていけば解答は十分可能でしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…75%
他教科を得点源にしたい受験生…55%
【第4問】(難易度:やや平易~標準)
オンライン教育の長所と短所とを一つずつ、100語程度でつづる自由英作文です。時事ネタでもあり、実際にオンライン授業を体験した受験生ならば、長所・短所ともに比較的思いつきやすいでしょう。語数は100語程度ですが、長所と短所にそれぞれ50語ずつ費やすなら、長所(短所)、サポート、具体例といった順番で、2、3文ずつを書いていけば比較的すぐに答案が完成します。100語程度の英作文を、うまくディスコースマーカーを使いながら全体の構成を意識して書く書き方にさえ慣れていれば、特に問題ないでしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…80%
他教科を得点源にしたい受験生60%
【第5問】(難易度:やや平易~標準)
アメリカの大学における他国出身学生の出身国別(カナダ・中国・日本)の人数と変化率をまとめた表を比較し、要約する自由英作文です。九州大学では、問5は前年度までは、和文英訳だったため、新傾向です。和文英訳の練習しかしてこなかった受験生は一瞬手が止まったかもしれません。しかし、英語での表の読み取り・説明問題は、他大学でも出題されている形式なので、ある程度英作文の練習を積んでいればそれほど動揺することもない、典型的な出題と言えます。本問で求められているのは、2001年と2014年の変化の違いを説明するものなので、こうした変化が起こる背景などを推測する必要はありません。表の説明だけで70語の英文は自然と書けてしまう(3カ国それぞれで20語程度の英文を作成する)はずです。したがって、問題の難易度としてはやや平易~標準としました。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…80%
他教科を得点源にしたい受験生60%
【総評】
九州大学医学部の問題は解答の記述量が与えられた時間に対して多いです。かつ、問いの順番が本文に書かれてある順番とは限らなかったり、問われている内容自体が少し捉えづらかったりして、時間を削られます。さらに2021年では、過去問とは異なる新傾向の出題もありましたので、それに輪をかけて難しく感じた受験生が大半だったでしょう。全体としては難化しています。解けそうな問題を確実に解いてから、余った時間で取り組みやすそうなものから取り組んでいくことで、あまり練習していない出題形式であったとしても、失点を最小限に食い止めることができるでしょう。
まとめ
というわけで、今回は九州大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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