医学部は国公立、私立問わずハイレベルな学力が要求されます。
そのため医学部を受験するにあたって、塾通いを検討している人は多いはず。
しかし、いつから通うべきか、そして、どんな塾に通えばよいのか色々な疑問が湧いてきますよね。
そこで今回は、塾と予備校の違いや、塾に通う適切な時期、そして塾選びにおいて押さえておきたい注意点についてまとめました。
目次
塾と予備校に違いはあるのか
塾と予備校、どちらも学習を効率的に行うための施設ですが、両者には対象年齢や指導形式、学費など様々な点で違いがあります。
塾や予備校の利用を考えている人であれば、これらの違いについて押さえておいて損はありません。
この項では、塾と予備校の違いについて解説していきます。
対象年齢の違い
塾と予備校には対象年齢の違いがありますが、塾がメインにしている年齢層は、小学生から高校生のいわゆる「現役生」です。
ただ、有名私立校の入学を目指している場合では、2歳から3歳程度の頃から通うこともあります。
こういった早い時期から通う子どもが増えた背景には、文部科学省が定める学習カリキュラムの中に英語が加わったことがあげられます。
一方、予備校がメインにしている年齢層は、高校生や浪人生です。
こちらでは主に大学受験のための学習をします。
予備校の中には寮が併設されているところもあり、塾に負けないくらい学習環境が整備されているといえます。
指導形式、目的の違い
基本的に塾では、学力を補強する目的で学習指導が行われます。
学校の勉強の苦手な部分を克服するために利用する人や、中学や高校の入試対策を希望する人が多いです。
指導形式については、集団授業形式を採用しています。
この授業形式では、学校の授業と同じように講師が生徒に問題を答えさせたり、生徒の方から講師に質問を投げかけるなどして授業を進行させます。
また、授業ではある程度の学力を有している子どもを除いて、基礎からしっかり学んでいくケースがほとんどです。
次に予備校の場合は前述のとおり、大学受験を目的とした学習指導が行われます。
予備校では集団で授業を行う場合と、個別で授業を行う場合があります。
当然人気があるのは個別授業ですが、生徒がお互いにライバル心を刺激しあえるよう、あえて集団授業を取り入れている予備校もあります。
また、予備校には、全ての大学に幅広く対応できる予備校の他、医学部など特定の学部に特化して対応してくれるところがありますので、自分の進路に合わせて最適な施設を選んでみてください。
講師の違い
今度は、講師の違いについて説明していきましょう。
塾では正社員の講師が教える場合と、大学生や社会人といったアルバイトの講師が教えてくれる場合があります。
正社員でもアルバイトでも優秀な講師が教えてくれますので、指導内容に関する心配は基本的にはいりませんが、受験対策として進学塾に通う場合は正社員の講師が教えてくれる塾を選ぶとよいでしょう。
予備校においては大学受験対策がメインなります。
もちろん優秀な講師が授業を担当してくれますので、十分な学習指導が受けられますが、医学部などの難関学部に挑む場合は、正社員の講師だけが教えてくれるところを選択しましょう。
余談ですが、人気のある予備校講師の中には、複数の予備校を掛け持ちして活動している人もいます。
学費の違い
最後に塾と予備校の学費の違いを見ていきましょう。
まず塾の学費に関してですが、文部科学省が平成28年度に発表した塾の年間の平均学費の調査結果によると、年間およそ約200,000円となっています。
ただしこれはあくまで平均値で、塾には特定の科目のみを教わるパターンと、全科目を教わるパターンに分かれますので、学費は個々人が受ける授業内容によって変化してきます。
一般的には一科目のみの受講であれば年間約60,000円、全科目の受講の場合は年間約350,000円の費用がかかると覚えておくとよいでしょう。
さらに、受験生の場合、夏季講習や冬期講習が加わります。
こちらの講習も受講する場合は、追加費用が発生しますので注意してください。
一方、予備校の場合は年間約600,000円から800,000円の費用がかかります。
塾に比べるとかなり割高に感じるかも知れませんが、受験対策のプロから指導が受けられたり、志望校の出題傾向に関する情報などが得られます。
また、医学部専門予備校となると、年間何百万と学費が掛かります。
しかし、私立の医学部の出題傾向は大学ごとに全く異なるため、とてもじゃありませんが個人の力だけでは対応しきれません。
コストこそかかるものの、予備校を利用するメリットも大きいと言えるでしょう。
医学部専門塾へはいつから通うべきか
「受験勉強はいつ頃から開始すればいいの?」
この疑問は受験生であれば誰もが抱える悩みの一つでしょう。
医学部は狭き門ですから、適切な時期から学習を開始して受験戦争を勝ち抜きたいところです。
この項では、医学部専門塾へ通い始めるのに適した時期について、現役生のケースと浪人生のケースに分けて解説していきましょう。
現役生の場合
現役生の場合、医学部専門塾へ通う適切な時期は個々人が持つ能力、志望校や併願の有無、そして家庭の経済事情など様々な要素によって分岐してきます。
説明を加えつつ、それぞれの要素について下に箇条書きでまとめましたのでご覧ください。
塾通いを始める適切な時期は、個々人の能力により変化
医学部専門塾へ通う適切な時期は、個々人の能力によっても変わります。
これまでの勉強過程や、得意教科、不得意教科で、基礎が定着しているかなど様々な要因が考えられます。
また、これまであまり勉強をしてこず、医学部合格を目指すだけの偏差値が足りない人もいると思います。
しかし、偏差値40からでも合格に導いた実績のある塾もあります。
早めに対策をすることが必要になりますが、学力に不安がある方も医学部専門塾を検討してはいかがでしょうか。
塾通いを始める適切な時期は、志望校や併願の有無により変化
一口に医学部と言っても大学ごとに入試難易度が異なりますので、本人の志望校によっても通い始めるのに適した時期は変わってくるでしょう。
いわゆる「難関大学」を突破するためには、他の医学部よりも高レベルな学習が必要ですし、また併願も視野に入れるなら大学ごとの対策も重要になります。
どの偏差値の大学を受験するのか、そして併願の有無によっても塾通いを始める適切な時期は異なってくるのです。
塾通いを始める適切な時期は、経済的な事情でも変化
塾通いを始める適切な時期については、各家庭の経済的な事情も絡んでくるでしょう。
子どもを塾に通わせると毎月学費を支払う必要がありますから、家庭の台所事情によっては塾通いを始める時期を遅くせざるを得ない可能性もあります。
このように塾通いを始める時期については、個々人の能力や各家庭の経済的な事情など色々な要素が絡み合うため一概にいつがベストとは言えません。
ただ、一般論で言うと塾通いを始める時期は、早ければ早いほどよいでしょう。
なぜなら早い時期から学習を開始すれば、それだけ多くの勉強時間が確保できるからです。
医学部を突破した人の中には小学生時代から塾に通い、英才教育を受けてきた人も少なくありません。
一般的に5,000時間の勉強が必要と言われていますが、高校一年生の時から勉強を開始すれば必要な学習量を満たせるはずです。
医学部合格者のほとんどは高校生活の早い段階で履修範囲を終わらせていますので、効率よく勉強して、押さえるべきところはしっかり押さえるよう心がけてください。
上記のような家庭の経済事情など特別な理由が無い限りは、今すぐにでも塾に通い始めることをおすすめします。
医学部専門塾を検討している現役生が注意しなければいけないこと
医学部専門塾を選ぶにあたって、現役生が注意しなければならないことにはいったいどんなものがあるのでしょうか。
医師になる夢を掴むために通うわけですから、塾選びのポイントを押さえ自分に見合った施設に通いたいところでしょう。
ここでは医学部専門塾を選ぶ際の注意点について4点取り上げて解説します。
生徒別のサポートがきちんとされているか
最初に取り上げる塾選びの際の注意点は、生徒別のサポート体制に関する事項です。
医学部の受験では苦手科目の克服が必須ですが、生徒別のサポート体制が不十分な塾では学習が思うように進みません。
例えば、大学生アルバイトの講師場合、生徒の質問の難易度が高い場合、これに答えられないことがあります。
そういったケースでは、アルバイトが正社員の講師に質問の答えを確認しに行くという手順を踏みますが、その間に学習時間を大きくロスしてしまうでしょう。
歴史ある医学部専門塾ではほとんどの講師が正社員であるため心配いりませんが、新しくできた塾の場合、アルバイト講師が大勢在籍していることがあるので、どんな講師が教えてくれるのかあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
また、授業体制についても問い合わせておく必要があります。
一般的に塾は講師と生徒の距離が近く質問がしやすいとされていますが、クラスの人数次第では講師一人の受け持つ生徒の数が多く、サポートが手薄になることがあります。
質問したい時や進路相談に乗って欲しい時にサポートが受けられなければ、塾に通っている意味が薄れてしまうでしょう。
自習時間が確保できるか
二番目に取り上げる塾選びの際の注意点は、自習時間がしっかり確保できるかということです。
授業のコマ数を宣伝文句にしている塾がありますが、実を言うとコマ数が多すぎると逆に問題が発生してしまいます。
なぜなら、復習の時間が削られてしまうからです。
人間の記憶は学んだことを一時的に覚えておく「短期記憶」と、学んだことを長期間覚えておく「長期記憶」に別れていますが、自習時間が取れない塾に通うと授業で覚えたことを長期記憶に定着させられません。
塾を選ぶ際は自習時間を取れるよう、授業のコマ数が多すぎないところを選ぶとよいでしょう。
部活や学校行事との両立が可能か
三番目に取り上げる塾選びの際の注意点は、部活や学校行事との両立が可能かということです。
医学部受験には一日あたり十時間の勉強が必要と言われていますが、部活や学校行事が忙しいと十分な学習がとれません。
とはいえ、部活や学校行事は現役生とって学校生活の一部ですから、いつも休むわけにもいかないはずです。
塾を選ぶときは、このような現役生ならでは悩みに配慮してくれるところを選択するとよいでしょう。
例えば、個別指導をしてくれる塾であれば生徒のタイミングに合わせて授業の開始時間を調整してくれます。
また、最近では授業内容を収録した動画がレンタルできる塾も出てきています。
部活や学校行事にともなう生徒の悩みに対応してくれる塾を選びましょう。
移動時間が無題になっていないか
最後に取り上げる塾選びの際の注意点は、移動時間が無駄にならないかという点です。
遠方にある医学部専門塾を選択した場合、当然ですが移動時間が長くなってしまいます。
移動時間中は満足に学習ができませんから、長ければ長いほど他の生徒と差がついてしまうでしょう。
塾を選択する際は、移動時間がかかりすぎない範囲で選んでください。
まとめ
塾と予備校の違いには対象年齢や指導形式、そして目的など色々な違いがあります。
塾の対象年齢は主に小学生から高校生、場合によって幼児期からなのに対し、予備校には高校生や浪人生が中心となって通います。
また、塾では学力の補強や進学のための学習が行われますが、予備校では大学受験のための学習が行われるのが特徴です。
医学部専門塾へ通う適切な時期は、能力や志望校など様々な要素によって左右されるため、個人によって変化しますが、より多くの学習時間を得るためにも、なるべく早い時期から通いましょう。
この時、塾選びの際に注意したい点は、生徒のサポート体制に関することや十分な自習時間が確保できるかということ、そして部活や学校行事への配慮をしてくれるかということです。
もちろん、移動時間についても把握しておきましょう。
医学部の受験は競争が激しく難関と言われていますが、塾などを利用してしっかり勉強すれば対応できるはずですので、自分を信じてトライしてみてください。