京都医塾生物科です。
このページでは「愛知医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“愛知医科大学医学部”の受験を考えている方
・“愛知医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2022年度
形式: 記述式
制限時間:2科目100分
配点:2科目200点
出題の傾向と特徴
問題の難易度は、基本的~やや難。基本問題で完答し、やや難しい問題でどれだけ得点できるかで合否が決まるでしょう。
問題の形式は、基本用語の穴埋め、実験考察問題、計算問題、記述問題などがバランスよく出題されています。
【頻出の出題単元】
遺伝子の発現、バイオテクノロジー、人体(反応と行動、恒常性)。
【制限時間に対する問題量】
1科目あたり50分なので、基本問題を素早く確実に正答しつつ、やや難しい問題を考察するための時間を確保しましょう。しかし、熟考している余裕はないので、それ以上考えても解決が見えそうになければ思い切って次の問題に移る判断力も必要です。
2022年度(最新の過去問)の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。なお、「教科書レベルの知識は身に付いている」という前提で書いています。
【第1問】 動物の幼生と系統樹の推定
(テーマ)
新口動物に属する棘皮動物の幼生と旧口動物に属する環形動物の幼生の特徴を比較し、クラゲのような放射相称の体の動物からヒトやミミズのような左右相称の体の動物が進化した時期の系統関係を考える問題です。
(問1~問4)
進化、眼、細胞内共生説に関する基本問題です。教科書レベルの知識があれば満点が取れる問題です。
(問5)
この問題で合否の差がつくでしょう。リード文には水腔動物、半索動物、ディプリュールラ幼生、珍無腸形動物など、受験生は知らないであろう用語が出てきますが、教科書レベルの知識を元に読解できる文章になっています。
設問文では、珍無腸形動物が分岐した時期や共通祖先における幼生の有無に関して、今後の研究で明らかになるかもしれない事実が2通り提示され、それぞれの事実が立証された場合に、どのような系統樹(=仮説)が推定されるか、が問われました。
このような、「研究によって明らかになった事実が、どのような仮説を支持するか」という解釈を受験生に行わせる問題は、今後も大学入学共通テストをはじめ、様々な入試において増加していくでしょう。生物学や医学などの科学は実験事実に基づいて仮説を検証していく活動であり、医学部入学後や医師として働き始めた後も役に立つ、非常に重要な考え方です。この問5で問われていることをよく考えて、その思考法・姿勢を身に付けて下さい。
【第2問】
(テーマ)
腎臓の働きに関する基本的な問題です。会話文ですが、「○○と考えた場合は、~~になるはずだよ。」のような仮定や条件に注意しなければならない会話文ではないため、読解には何の困難もないでしょう。
(問1~7)
再吸収量の計算問題や硬骨魚類の浸透圧調節に関する記述問題も含めて、小問は全て教科書レベル~典型基礎問題ですので、完答したいところです。
【第3問】
(テーマ)
DNA複製に関する典型基礎問題です。
(問1~3)
教科書レベルなので完答しましょう。
(問4)
DNAの半保存的複製に関する典型的な記述問題です。「二本鎖DNA、2本の一本鎖DNAに解離、鋳型鎖、相補的な塩基を持つヌクレオチド、新生鎖、半保存的に複製される」等のキーワード・キーフレーズを適切に使って記述できるように練習しておきましょう。
(問5)
数列のn項目を求める問題です。細胞分裂のように同じ過程が繰り返される現象は数列で表現されることが多いので、数列が苦手な人は数学の問題集でしっかり勉強しておきましょう。
(問6)
DNA複製の分子機構に関する典型的な記述問題です。「逆平行、5’末端、3‘末端、伸長方向」等のキーワードを適切に使って記述できるように練習しておきましょう。
(問7)
RNAポリメラーゼも、DNAポリメラーゼ同様に5’末端から3‘末端へとヌクレオチド鎖を伸長させます。その理由は大学レベルの知識になりますが、ヌクレオチド鎖を構成する前に単独で存在するヌクレオチドのリン酸部分はATPのような三リン酸になっており、この高エネルギーリン酸結合が切れた時に放出されるエネルギーによって隣のヌクレオチドと結合するからです。詳しく知りたい方は、「核酸合成、高エネルギーリン酸結合」等で画像検索してみて下さい。
(問8~10)
PCR法と電気泳動法に関する基本的な問題です。問10のような、実験法の原理を説明する記述問題は、口頭では説明できても文章では上手く書けない受験生が多いので、できれば生物の先生などの添削してくれる人に見てもらうとよいでしょう。
【総評】
2022年度は易化したと言ってよいでしょう。しかし、平易な問題であっても記述問題が多いので、記述な苦手な人は苦戦したと思います。2023年度は反動で難化も予想されますので、特に遺伝子の発現、バイオテクノロジー、人体(反応と行動、恒常性)分野に関しては少し難しめの問題集で実験考察問題、計算問題、記述問題を解いて考え方・解き方を身に付けておくとよいでしょう。
≪2022年度の目標値≫
生物を得点源にしたい受験生… 9割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割
まとめ
というわけで、今回は愛知医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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