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2022年度東邦大学医学部の化学過去問対策・分析

2022年度東邦大学医学部の化学過去問対策・分析

京都医塾化学科です。
このページでは「東邦大学医学部の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“東邦大学医学部”の受験を考えている方
・“東邦大学医学部の化学がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 
形式:マーク式
制限時間:2科目で120分
配点:75点(2科目で150点)

出題の傾向と特徴

【毎年恒例の出題傾向】

 2020年度以降、2022年度入試までの3年間では、出題される形式はほぼ固定化されています。
大問1:小問集合で、理論化学~有機化学までが幅広く出題されています。このうち、無機化学に関する問題が1,2問含まれています。
大問2:理論化学の大問です。(A)~(C)などのように、2~3題に分けて出題されており、中和や酸化還元、熱化学方程式、化学平衡など、入試頻出の単元から多く出題されています。
大問3:有機化学の大問です。こちらは(A)と(B)の2問に分かれており、(A)で有機化合物、(B)で高分子化合物に関する出題がされています。
 2023年度入試で出題の形式が変更される可能性はありますが、傾向としては無機化学が小問集合で数問出題される程度と、非常に少ないことが挙げられます。そのため、東邦大学医学部を目指す受験生の方々は、理論化学、有機化学に注力した方が効率よく得点を伸ばせる可能性が高いです。当然ですが、無機化学が出題されないわけではありませんので、無機化学の知識確認や暗記は怠らないように注意しましょう。

【制限時間に対する問題量】

試験時間に対して問題量は多く、あまり時間的な余裕はありません。知識を素早く引き出せる状態にして、知識問題を素早く終わらせることを意識しておきましょう。難易度としては、基本~標準レベルの問題が多く、難問は少ないため、基本~標準レベルの問題ではケアレスミスに気を付けて失点をしないように意識しましょう。各大問に使う時間配分は、過去問演習を通して予め大まかに決めておき、その時間配分から大きく崩れないよう、解き進めることを意識しましょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(小問集合)

理論化学と無機化学に関する小問集合です。問1~問4までは平易な問題が続いているため、これらの問題は確実に正答しておきましょう。問5で金属の密度が問われていましたが、軽金属に分類されるものや、その中でもリチウム、ナトリウム、カリウムの3つは密度が水よりも小さい(密度1.0g/cm3未満)であることは覚えておきたい知識です。

【第2問】(理論化学)

 理論化学に関する大問で、(A)と(B)の2題に分かれていました。
 (A)では酸化還元滴定に関する問題でしたが、標準的な酸化還元滴定とは異なり、過剰量のシュウ酸を加え、余ったシュウ酸を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定するという、中和の逆滴定のような問題でした。実験操作を順に辿っていき、どのような反応が起きたのか、何をするつもりで操作を行ったのかを正確に把握しておく必要があります。
 (B)では化学平衡に関する問題でした。問6~問9までは標準的な問題が続いているため、ミスなく正答しておきましょう。問10のみ、問題文に記してあった近似計算をしなければ正答にたどり着けないため、非常に難易度が高いです。化学で得点を稼ぎたい人はチャレンジしてもよいですが、一旦は飛ばしてしまうのが得策でしょう。

【第3問】(有機化学)

有機化学に関する大問で、(A)と(B)の2題に分かれていました。
 (A)では有機化合物の構造決定に関する問題でしたが、教科書のどこにも書いていないような未知の反応(ピナコール転移、と呼ばれる反応です)が出題されていました。この反応によって生成した化合物Bに関しては、元素分析で組成式、分子式を求めた後、問題文の反応や検出反応を確認しながら、先に問5の選択肢にて化合物Bを決定しなければ問題を解き進めることが難しい内容でした。基本的には、マーク式の問題で選択肢から解答を考えるのはご法度なのですが(解答を基に問題に取り組む癖がついてしまうと、化学に関する思考力低下、解法を思い出す力の低下に繋がります)、この問題に関しては選択肢から考えることしかできないため、そういう問題だと割り切って先に問5を解くことができれば、問2以降も解き進めることができた可能性が高いです。
 (B)では、デンプンとセルロースの2つの高分子化合物に関する出題でした。ほとんどの問題が良く問われる知識問題や計算問題のため、ミスなく正答しましょう。また、問8のアミロペクチンやグリコーゲンのメトキシ基(-OCH3)による枝分かれ数を求める問題は、様々な大学で頻出される問題ですので、まだ扱ったことのない受験生はこの機会に十分に理解を進めておきましょう。

【総評】

2022年度は大問2と大問3にてそれぞれ難易度の高い、思考力が問われる出題が見られたため、これらに考え込んで時間をかけてしまうと、時間がより厳しい問題でした。特に、上述したように、大問3で化合物Bの構造式を、先に選択肢を見て考えるという機転を利かせなければならなかったため、柔軟に対応できるようにしておきましょう。

≪2022年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 6.5割

まとめ

というわけで、今回は東邦大学医学部の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです! 京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

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投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。