医学部専門予備校京都医塾です。
地域医療のスペシャリストを育成する自治医科大学。
新型コロナ対策で活躍する政府の分科会会長尾身茂氏の出身校としても注目されますね。
各都道府県に2名ないし3名の入学定員が設定されています。学生は自身の出身地で9年間地域医療に従事し、期間中3年間程度のへき地勤務にあたります。出身地の医療問題を解決する強い意志を持った人材が求められているわけですね。
自治医科大学では2021年度から小論文試験が廃止されました。
以下では、都道府県ごとに行われる第1次試験を突破したあとに行われる第2次試験の面接についてご紹介いたします。
目次
自治医科大学(第2次試験)の面接について
グループ面接と個人面接が行われます。
・グループ面接
受験生4~6人 面接官3人
20~40分(それ以上にわたる場合もある)
・個人面接
受験生1人 面接官3人
10~20分
個人面接(第2次試験)の内容について
過去の質問
・医師志望理由
・自治医科大学志望理由
・高校時代の活動について
・友人関係について
・親友はいるか
・孤独を感じたことがあるか、また孤独な人がいたらどうするか
・併願校と自治医科大学のどちらが第一志望か
⇒高校時代の部活動や、友人関係についての質問は頻出のようです。また、対人関係における「孤独・疎外感」の問題もよく問われるようです。以下では、回答例を検討してみたいと思います。
・自分の「孤独・疎外感」の場合
→「自分が孤独である」と感じた場合、一般に
1.孤独を解消するために他者と交流する
2.現状を受け入れて孤独である自己を肯定する
以上の2つのあり方が考えられます。
特に地域医療への適性が求められる自治医科大学においては、「コミュニケーション能力」のアピールにつながる内容を話したいところです。したがって、
「自己の殻に閉じこもらず、他者との交流の中で孤独を克服できた経験」を自身のヒストリーの中から探しましょう。
例えば、
「部活動で、高校3年生になってもレギュラーになれず、同学年の仲間が試合で活躍する中で、孤独感や疎外感を感じていた。しかしチーム一丸となって目標に向かううえで、自分に出来ることは試合で活躍することだけではないし、チームの中で前向きに努力すれば、まだ自分にはレギュラーになれるチャンスがあるかもしれないと思った。だからチームをもっと盛り上げていけるように、先頭で大きな声を出しながら練習に励んだ。少なからず周りも自分の姿勢を認めてくれたし、自分も『さみしい』という思いは感じなくなった」
以上のような回答はどうでしょうか。
ポイントは、孤独→他者との関わり→孤独の克服=成長 です。
グループ面接(第2次試験)について
★グループ面接の流れ
1.グループ面接のテーマが面接官のテーブルに掲示されている
2.特に司会は立てずに、自由に議論する旨を伝えられる
3.面接官は議論に参加してこない
過去に出題されたグループ面接のテーマ
・新型コロナウイルス流行で、過剰なバッシング等、「自粛警察」なるものが横行したが、これは正義と言えるか。
・新型コロナウイルスが蔓延する中で、感染拡大防止か経済活動か、どちらを優先させるべきか。
・東京オリンピック・パラリンピックについて、日本における成功とは何か。
「自粛警察」について回答の方針を考えてみたいと思います。
まず、「自粛警察についての自分の理解を示す」ことが必要です。
「自粛警察」とは、緊急事態宣言下の自粛要請に応じない個人や店舗に対して、私的な取り締まりを行うことを指すと考えられます。
以上の理解は「議論の前提」となります。前提を示したうえで、次に「賛成/反対の立場を提示」します。
「自粛警察」については、公共の利益を守らんとする動機から発した行動であるにせよ、例えば飲食店の扉にスプレーで落書きをするなどの行為は、個人の持つ権限を明らかに逸脱したものであり、到底認められるものではありません。「反対」が正解であることは明らかです。
おそらく議論の参加者全員が「反対」に回ります。では、それで話が出つくしたことになるでしょうか?
もちろんそうではありませんね。
「自粛警察」は、しばしば許されない行動を伴いますが、その動機はまるきり悪であるとは言えません。感染拡大防止の観点から、違法・不法ではないものの社会通念上許容され難い行動があった場合の対処として、どこまでが容認されるべきかというのは、大きな問題です。
また、「自粛警察」を行ってしまう心理にも関心を寄せるべきです。
大なり小なり、自身にも似たような経験はありませんか? 例えば、不倫をした芸能人について、掲示板やSNSでバッシングする内容の書き込みをするなど…… 「制裁」は公的な権力によって行われるべきですが、つい私的な制裁を行いたくなる心理が人間にはあるのかもしれません。
その分析や対策を、グループのメンバーと考えてみてはどうでしょうか。
自治医科大学(第2次試験)の面接のポイント
・個人面接に向けて、「友人関係」にかかわる回答を整理しておくこと。
・グループ面接では、自分の立場を明らかにしたうえで話すようにしよう。
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