今回は、《『社説集』2022年7月まとめ》中編になります。
《『社説集』2022年7月まとめ》前編に掲載したものから医学部受験生必見の記事3本を取り上げ、紹介したいと思います!
目次
注目三本
- 600-5.再生医療の環境整備 さらに加速を/2022/07/07 化学工業日報
- 600-6.米の中絶否定判決 女性の権利が後退する/2022/07/05 沖縄タイムス
- 603-6.ドクターヘリ10年 関係機関、一層の連携を/2022/07/31 秋田魁新報
その➀ 600-5.再生医療の環境整備 さらに加速を
本文
再生医療の安全に関する手続きなどを定めた再生医療等安全性確保法(安確法)の改正に向けた作業が最終段階に入った。新たに、遺伝子を直接投与する遺伝子治療を規制の対象に加えるほか、メッセンジャーRNA(mRNA)も遺伝子治療関連技術に含める予定にある。技術開発が日進月歩でモダリティ(治療手段)が多様化するなか、法規則の、より迅速な見直し・整備が求められる。
2022/07/07 化学工業日報
キーワード
- 再生医療
- 遺伝子治療
- ゲノム編集
- mRNA
解説
「iPS細胞」の活用などで注目される「再生医療」についての記事です。体の失われた機能・組織を回復する「再生医療」は、「遺伝子治療」や「ゲノム編集」のような先端技術と深い関係にあります。
今回、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に用いられた「mRNA」も、遺伝子治療関連技術に含める方針が明らかになりました。mRNAとは、DNA(からだを作る設計図)に保持されている遺伝情報のコピーです。mRNAの活用によって、開発スピードや安全性の向上が目指されています。今回の再生医療等安全性確保法(安確法)の改正は、そのような技術革新に対応する狙いがあると言えます。
その② 600-6.米の中絶否定判決 女性の権利が後退する
本文
今回の判決で各州は中絶を厳しく制限したり、禁じたりすることができるようになった。全米50州のうち、保守派が大勢を占める約半数の州で、中絶が禁止あるいは厳しく制限される恐れがある。
2022/07/05 沖縄タイムス
望まない妊娠に悩む人は少なくない。産むか産まないか、いつ何人子どもを持つかの自己決定権を指す「リプロダクティブヘルス・ライツ」は近年、女性の人権の重要な概念の一つとなっている。
今回の判断後も中絶を認める州に移動して処置を受けることは可能だが、貧困や虐待、性暴力被害など厳しい事情を背景に中絶を求める女性にとって、遠く離れた州へ行くことは困難だ。中絶禁止は女性の命や安全を脅かしかねない。
キーワード
- リプロダクティブヘルス・ライツ
解説
リプロダクティブヘルス・ライツとは、安全で満ち足りた性生活を営むことができ、生殖能力をもち、子どもを産むか産まないか、いつ産むか、何人産むかを決める権利のことです。
中絶を選択せざるをえないケースというのは、性暴力やDV被害を受けている場合も含みます。中絶を女性が選択できる権利を保障することは、人権保護の観点から当然なされなければならないと言えます。
現在世界中で取り組まれている「SDGs」では、「すべての人に健康と福祉を」あるいは「ジェンダー平等を実現しよう」といったターゲットが掲げられています。性・生殖に関する権利を守ることが目指されている中で、それに逆行する今回の判決は、大きな議論を呼んでいます。
その③ 603-6.ドクターヘリ10年 関係機関、一層の連携を
本文
高齢化が進む本県では緊急性が高い救急事案が増えるとみられ、患者を短時間で搬送するドクターヘリの役割はますます重要になるだろう。その効果を最大限に発揮するには、各地域の患者の受け入れ体制が整っていることが欠かせない。行政と医療機関が協力し、本県の救命救急体制を維持、充実させることが求められる。
2022/07/31 秋田魁新報
キーワード
- ドクターヘリ
解説
ドクターヘリとは、「医師をいち早く救急現場に連れていくヘリコプター」のこと。機内には初期治療に必要な医療機器や医薬品が装備・搭載してあり、基地病院の敷地内等で待機して出動要請に応えます。(救急ヘリ病院ネットワークHEM-Net HPより引用)
今回のような事件・事故や災害時において、「ドクターヘリ」が活躍します。現在では全国47都道府県に配備され、傷病者にいち早く医療を届ける体制づくりが進められています。救命救急科を志望する受験生には、ぜひ知っておいてもらいたいワードですね。
元記事の中でも指摘されている通り、高齢化の進展に応じ、緊急性の高い救急事案が増加することが見込まれます。また、山間部や離島といったへき地に医療を届けるためにも、ドクターヘリのさらなる充実が期待されます。