医学部専門予備校京都医塾です。
以下では、順天堂大学医学部小論文・面接試験(一般A方式)について、ご紹介します。
順天堂大学は、福岡堅樹さんの合格でも話題になりましたね。医学部の中でも合格難易度の高い大学として有名ですが、小論文・面接もなかなか癖の強い出題内容になっています。
順天堂大学医学部の小論文について
順天堂大学医学部の入試では、1次試験で小論文が課されます。
制限字数:800字以内
制限時間:70分
形式 :資料分析型小論文
写真を見て考察をする、という他大学には見られない特殊な形式の小論文が出題されます。
2021年
「添付の写真を見て、あなたがアザラシだったら何を思うか」
2020年
「絵を見て感じることを書きなさい」:絵画『Runaway』(Norman Rockwell)
制限字数が800字と、医学部小論文としては比較的多くの記述量を求められます。70分という時間もきついでしょう。書き始める前によく文章構成を練っておかないと、字数不足に陥るか、もしくは支離滅裂なものになりそうです。また、出題者の意図や解答条件が明確でない分、主体的に社会一般の問題や医療問題につなげる発想力・論理力が求められます。もちろん、その前提として、社会問題や医療問題に関する知識も必要です。
では、ここで2015年度1/22日分の問題を取り上げてみましょう。
「キングクロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べなさい」
よくある受験生の間違いは
・いきなり「あなたの感じるところ」から入る
・感想に終始する
・会話文などを交えた小説と化し、伝えたい内容(主張)が薄くなる
・医療ネタにつなげようとするあまり、写真と関係のない内容になる
順天堂大学医学部の小論文に関しては、
1.写真に示された情報を分析し、言語化する
2.問題設定をする
3.問題解決を提示する
以上のステップを踏んで記述するようにしましょう。
まずは提示された写真を言葉にしてしっかりと受け止めること。
その上で、医師としてふさわしい問題意識を自身が持っていると明確にアピールすること。
課題を無視した独りよがりの論や、出題者にとってどうでもいい感想にならないよう、留意することが大切です。
本問であれば、例えば、以下のような構成はどうでしょう。
1.情報の分析と言語化
暗く閉鎖的な地下通路の階段を一人上っていく男性がいる。階段の手すりには二つの赤い風船がくくりつけられている。男性は黙々と上り続けている。
2.問題設定
階段は社会的な成功を暗示している。風船は、彼の周囲の人間が、彼に向けて示した好意である。男性は社会的な成功と引き換えにQOL(人生の質)を低下させている。
3.問題解決
私=医師(を目指す身)にできることは、風船の存在を指摘すること=QOLを向上することである。
上の骨組みに少し肉付けをしてみました。
1.暗く閉鎖的な地下通路の階段を一人上っていく男性がいる。階段の手すりには二つの赤い風船がくくりつけられている。男性がそれに気づいたか、気づかなかったかは定かでないが、少なくともその存在を捨て置いて黙々と階段を上り続けている。
2.階段を、出世や所得の向上を含めた社会的な成功であるとする。男性はそのような社会的な価値を追うことに躍起になるあまり、それ以外の価値に対する無関心に陥っているのかもしれない。風船が彼の家族や友人が差し伸べた彼に対する好意だとしたら、それを無視することで、男性は人生の質を豊かにするための大切な機会を失ってしまっている。
3.階段を上り、目的地に向かうことも大切だが、それは労苦に満ちた作業である。むしろふと立ち止まり、そばにある風船に目を向けることこそが、人生に彩りをもたらす。男性が風船の存在を忘れているか、無視しているのなら、私にできることは、そこに確かにあることを示すか、追いかけてでも届けてあげることであろう。それが、全人的なケアと呼べるのではないか。
ここからもう一段、具体例や社会的背景などを加えて主張をサポートすれば、小論文の解答として成立するようになります。
なお、医療用語としては「QOL」や「全人的(医療)」といった言葉を用いていますが、用語を使用することにこだわりすぎる必要はないでしょう。
順天堂大学医学部の面接について
面接時間:20分程度
形式 :個人面接(受験生:1人 面接官:4人)
過去の質問例
・医学部志望理由
・大学志望理由
・併願校、共通テストの得点率
・臨床医か、研究医か。
・地域医療について
⇒順天堂大学医学部のホームページをよく読んでおきましょう。
・小論文について
⇒特に小論文について、書いた内容についての要約や説明を求める質問は頻出です。
順天堂大学医学部小論文・面接試験のまとめ
・筆記試験の結果を重視するが、面接や小論文の結果も考慮する旨が説明されている。
・小中高の通知表や「情熱を傾けたもの」を面接に持参する。
・小論文は独特のものなので、必ず練習しておくこと。
・面接では持参したものや小論文について掘り下げて問われる。
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