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【6月 物理編】医学部合格に向けた学習アドバイス【浪人生向け】

【6月 物理編】医学部合格に向けた学習アドバイス【浪人生向け】

京都医塾物理科です。

 6月に入り、雨の多い日が続きます。暗い天気も相俟って、気持ちも不安定になってきているという受験生も少なくないのではないでしょうか。そんな時期に、改めて「医学部に合格できる物理の勉強方法」についてお伝えしようと思います。今回は、一度は挫折を味わった浪人生を想定して、医学部合格に向けた物理学習のポイントについてお伝えしようと思います。

 今月は、
・模試でチェックすべき分野
・熱力学の勉強のヒント
・波動の勉強のヒント

をお届けします!

模試でチェックすべき分野

 さて、5月には多くの模試が実施されました。皆さんは、「力学」の問題を満足に解けたでしょうか?この時期、力学以外の分野の出来については、まだ気にする必要はありません。全体の点数は、もちろん力学以外の分野の出来も含めて決まるので、普通はその点だけを見て一喜一憂することでしょう(ともすれば、周りの大人たちもそうかもしれません)。しかし、繰り返しますが、現時点で重要なのは、力学「だけ」です。全体的に満遍なくまずまずの点数が取れている答案と、力学がほとんど取れていて他が0点近い答案は、ほぼ同じ点数になりますが、価値が高いのは圧倒的に後者です。なぜならば、力学の出来こそが、ここまでの勉強の成否を測る大きな指標になるからです。点数よりも、力学部分の答案の中身を分析してください。そして、必ず解答・解説と照らし合わせながら復習し、理解を確実にしていってください。

 また、力学全単元の基礎固めや模試の丁寧な復習まで完了したという人は、是非とも、力学の入試問題にチャレンジしてみましょう。臆することはありません。いずれは本番で挑戦するものです。「十分な基礎固め」という準備運動を行った後であれば、どんどん解いていくべきです。もちろん、そういった問題を解いてどのような感想を持つかについては、人それぞれかと思います。中には、「あれ、思ったより解けるぞ」という人もいるでしょう。そうであれば、ここまでの基礎固めの効果がきちんと出ていると言えます。力学に自信を持てさえすれば、後はその力学で培ってきた勉強の方法論を、他の分野でも繰り返していくだけです。大きなハードルを1つ超えたと思ってください。

熱力学と波動の勉強のヒント

 6月は多くの塾や予備校で、熱力学や波動を扱っていることと思います(どちらを先に扱うかは塾や予備校次第かもしれませんが、学校教科書の収録順序は「熱力学→波動」なので、先に熱力学を扱うのが一般的かとは思います)。力学の基礎固めに一区切りがついているという人は、塾や予備校の進度に合わせて、これらの分野の基礎固めを始めていきましょう。それぞれの分野について、一言アドバイスを贈ります。

 熱力学は、高校物理の全5分野中で最もコンパクトな分野です。一度、定理や公式の成り立ちを「理解」してしまえば、問題の題材となるパターンも他に比べて少ないため、得意にしやすい分野です(既に得意にしている人も一定数いるのではないかと思います)。逆に言えば、熱力学にまだまだ苦手意識を持っているという人は、「どういったときにどの公式を使えばよいのか分からない」と感じているのではないかと思いますが、これは登場する公式をただ丸覚えしているためです。一度、各定理や公式がどのようにつながっているのかを、教科書やノートを参考にしながら、手元に書き起こし、整理してみましょう。つながりが見えさえすれば、自然と使うべき式も選択できるようになります。

 波動は、熱力学の次にコンパクトな分野です。しかし、「何となく波は苦手だ」という声も、多く聞かれます。一つの原因を推察すると、高校物理の教育の現場では、波に関する様々な現象について、その発生の仕組みからの説明が薄いまま、発生した現象そのものが持つ特徴に絞って話が進められることが少なくありません。そのため、「よく分からないけど、とりあえず結果と公式を覚えよう」と理解を諦める人が多いように感じます。こうなると、実験にほんの少し工夫がなされたり、公式そのものの導出に関わるテーマが問題で取り上げられたとき、途端に点数を大きく崩してしまいます。最たる例はドップラー効果で、公式は使えるものの、その導出ができないという人は、経験的にかなりの多数派であると感じます。この状況を克服するためには、現象自体の発生の仕組みに目を向けるしかありません。教科書やノート、場合によっては参考書も併用しながら、発生の仕組み、およびそこからの定理や公式の導出を、可能な限り理解するように努めましょう。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。不安を抱える受験生の皆さんにとって、少しでも役に立つことが書いてあると思っていただければ幸いです。壁にぶつかることも多いでしょうが、とにかく基礎・基本を大事にして、弛まず努力を続けていってください。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:佐藤 寛之

  • 役職
    物理科統括/物理科講師
  • 講師歴・勤務歴
    14年
  • 出身大学
    京都大学理学部
  • 特技・資格
    作業に没頭できること
  • 趣味
    散歩
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    高橋昌一郎「理性の限界」

受験生への一言
まず、目の前の問題が「解けない」という事実にこだわりましょう。解説を読んで理解した気になってはいけません。解けていない原因はほぼ間違いなく、基礎が理解できていないからです。自分でよく考え、それを先生に質問し、友達にも説明してみましょう。やがて、その一つ一つが大きな力へと結実していきます。