京都医塾数学科です。
大型台風が過ぎ去り、一気に涼しくなってきました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、今まで以上に規則正しい生活を心掛けてペースを崩さないようにしたいものです。
さて、夏休み明けに模試の成績を見たりして、入試の実感が湧いてきた方も多いかと思います。また、入試が近づいてきたことにより焦りを感じている人もいるでしょう。
人それぞれ、いろんな状況や悩みがあるかと思います。ここでは、「細かなことは気にせずに学習に打ち込もう」という話をさせて頂きます。受験勉強のスタート時期や通っている高校のレベル、現在の偏差値など、細かなことを考えて必要以上に不安を感じる受験生は数え切れないほどいます。
しかし、ほとんどのことは実際の受験にとって些細なことでしかありません。いつ何時でも、本気になれば道は開けます。
以下のお話を読んで、強気のメンタルを手に入れて頂けると幸いです。
受験勉強のスタート時期や高校の偏差値なんて気にするな
“受験にはフライングもスピード違反もない”
これは、おそらく日本で一番知名度がある超有名な予備校講師の言葉です。まさに、ぐうの音も出ない正論です。この言葉を知る受験生ほど “早くスタートした人には勝てないのか” と思ってしまうことでしょう。
しかし、いくら早くスタートしても、すべての受験生が効果的な学習方法で、かつ高いモチベーションを維持しながら学習を続けられるわけではありません。そんなスーパーマンは世の中に一握りしかいません。“一握り” というのは、京都大学や東京大学のような最難関大学に入学する人の中でも一握り、くらいのイメージです。
例えば、以下の例を見てみましょう。
Aくん…中学受験で中高一貫校に進学し、物心ついたころからずっと塾に通っている。
Bくん…中高は特別進学校ではない公立高校。高3の7月末まで部活動に勤しんでいたが、部活が終わってから本格的に受験勉強を始めるため、塾に通うことになった。
…この情報だけ見ると、言うまでもなくAくんの方が有利な立場に見えるでしょう。しかし、もう少し掘り下げてみると、以下のような情報も得られました。
Aくん:中高一貫校の進度についていけず、成績は常に学年下位。自分がどこから理解できないのかがわからず、なかなか学習が進まない。現状の実力と志望校に大きなギャップがあり、志望校の過去問を見ては、その問題の質問をする。入試問題をベースに学習を考えるので、基礎からの学習を軽んじている傾向がある。
Bくん:塾に通いたいことは自らの意思で保護者に申し出た。学校の定期テストレベルの勉強はしていたが、受験勉強に関しては全くのゼロからスタートという認識があり、塾では“ここがわかりません”という質問が絶えない。基礎的な学習からやらなければならないという思いが強く、素直に基礎学習を受け入れる。
この2人は、私が想像した架空の人物なので、その未来はわかりません。しかし、ここから確実に力をつけていくことになるのはBくんでしょう。もしかすると、スタート時期が大幅に違うにも関わらず、受験時にはBくんの方が力をつけているかもしれません。
“有名進学校に通っている”と聞くと、それだけ皆が天才に見えるかもしれませんが、実際、進学校だからといって、皆の成績が良いわけではありません。むしろ、進学校は上位層を最難関大学に通して合格実績を出すために、上位層に合わせた進度や難易度で授業が進んでいくので、上位層でない生徒は苦しみやすい側面もあります。(もちろん、ついてこられない生徒へのフォローはあるかと思いますが、学校の先生の時間も有限ですし、なかなか手厚いフォローは難しいと推測されます。そして、理解不能な授業を毎日聞き続けることは、苦痛で非効率的なものでしょう。)
また、“環境的に勉強せざるを得ない”くらいの気持ちで消極的に勉強している人と、“将来のために勉強したい”とか“勉強が楽しい”と思って積極的に勉強している人には、学習効果にとてつもない差が生じます。さきほど述べたように、世の中にスーパーマンは一握りしかいません。案外、多くの受験生が似たようなレベルで戦っているのです。
(世の中には「最難関大学を100回受験しても100回合格するだろう」というスーパーマンもいますが、そのような受験生は、早い段階から自らの意思で積極的に学習を続けることができた人達でしょう。しかし、そのような受験生は本当に一握りの存在なので、他の受験生の合否とはほとんど関係のないところで合格していきます。普通の受験生は、合格ラインの前後で一発勝負の熾烈な争いに加わるしかありません。)
模試の成績はブレる
模試の成績(偏差値)は高いに越したことはありません。しかし、あまりそれにとらわれ過ぎてもいけません。“受験は一発勝負”という観点では、模試で結果を出せることは大変素晴らしいことですが、単発の模試結果だけでネガティブorポジティブになりすぎないようにしましょう。たまたま最近学習した問題がたくさん出題されて、妙に成績が出ることもありえますし、その逆も然りです。まだまだ発展途上の受験生にとっては、模試というのは本番よりも圧倒的に運に左右されやすいものです。
数学の大問1題が解けた or 解けなかった違いで偏差値は10前後は増減することが多いです。(それが凡ミスで解けなかっただけだとしても)模試で解けなかった問題は「今、出題されてラッキーだった」くらいの気持ちで復習をすることが、何よりも効果的な模試の利用方法です。
ここまでの内容には、“凡ミスで解けなかったことも実力のうち”という意見もあるでしょう。もちろん、本番のことを考えると正論ではあります。しかし、“全く手が出なかった”人と“凡ミスさえなければ完答だった” 人は、模試の段階で全く同じレベルと言ってもいいのでしょうか。確かに入試本番は同じように扱われますが、志望校決定や現在の到達度を測るという意味では、そんなに簡単に考えてよいものではないでしょう。後者の受験生は、模試偏差値が少し届かなかった志望校に対して悲観的にならないといけないのでしょうか。少なくとも、私はそうは思いません。
偏差値という数値は「どのように失点したのか」とか「解けるようになるためには何が必要なのか」といった細かいことは教えてくれません。模試結果における大問ごとのアドバイスも、細かな分析はしてくれません。
そう考えると、受験生の真の力を判断できるのは、学校や塾で受験生自身をよく知っている先生です。例えば、京都医塾ではこまめな小テストや定期的な実力テストを実施し、模試成績だけで判断しないクラス編成や学習指導を行っております。ここには、ただ模試を受けるだけでは得られないサービスが多くあります。同じ点数・偏差値の模試結果でも、答案は人によって多種多様ですし、それに対してかける言葉も学習アドバイスも千差万別です。
自身を知るためには、他人のアドバイスが必要です。何事も一人で抱え込まないようにしましょう。
9月の勉強のポイント(9月にすること)
最後に、毎月恒例の学習アドバイスをお送りします。
8月までにⅠA~Ⅲの基礎学習を終えていない方は、(URL)等で基礎学習のスケジュールを確認しましょう。(8月URL)にも書きましたが、遅れていていも大丈夫だというメンタルで、今からでも基礎学習をやり切ってください。
8月までに基礎学習を終えた方は、ここからもう少し難しい問題に挑戦していきましょう。
多くの参考書では「A問題・B問題」とか「☆の数で難易度を表す」といったように、段階が示されているはずです。1周目にやり切れなかった段階の問題にチャレンジしていきましょう。
目安としては、9月・10月で少しずつでも全単元に触れるようなスケジュールを立てましょう。また、その際に1周目の学習内容を振り返る習慣をつけましょう。はっきり言えば、1周目だけの学習で内容は定着しているはずがありません。2周目の1段階上の問題は少しずつでいいので、1周目の内容に抜けがないかの確認も重要だと思って学習しましょう。極端な話、1周目の内容が100%になっていれば、入試で相当戦えるはずです。2周目の問題が多すぎるor難しすぎると感じた場合は、1周目の復習をしながら、信頼できる先生に「最低限、2周目にやった方が良い問題」を選んでもらいましょう。
さいごに
今月は長くなりましたが、一言でまとめると「受験はメンタルスポーツ」だということです。
本当にメンタルによって本番の出来が左右されるくらいにはギリギリのところで戦っている受験生が世の中の大半を占めます。おそらく、アナタもその一人なのでメンタルを安定させるような思考を心掛けるようにして残りの期間を戦ってほしいと思います。