インドネシアでは4月になると、全国一斉に「全国統一高校卒業試験」が行われます。もちろん、この試験に合格できなければ留年となり卒業はできません。また、試験結果は「学力評価証明書」に記載され大学進学にも関わってくるので、高校3年生は懸命に勉強して試験に臨みます。そして、この試験に合格すると、いよいよ大学入試も本番を迎えることとなるのです。
ところで、インドネシアでは私立大学よりも国立大学の方が様々な面で優れていると、一般的に考えられているので、受験生の多くが国立大学合格を目指します。そこで以下、国立大学の入試制度について紹介しましょう。
国立大学入試の方法は主に3つに分かれています。第一に「国立大学入学選考」(SNMPTN : エスエヌエムぺーテーエヌ )と呼ばれる方式があります。これは名前の通り全国の国立大学が、高校から推薦された受験生の高校時代の成績(高校1年生前期~高校3年生前期)に基づいて選抜を行うもので、日本の推薦入学制度とほぼ同じ制度です。この方式で合格した学生は学費も低く設定されているため、それだけ競争率も高くなります。同試験は毎年4月に実施され、合格発表は5 月となります。
第二に、「国立大学受験統一試験」(SBMPTN:エスベーエムぺーテーエヌ )と呼ばれる方式があります。これはマークシート方式により実施される試験で、日本の「共通テスト」に近いものですが、問題の難易度は非常に高くなっており、最難関のインドネシア大学でさえ、最低合格ラインは30~40%ということです。毎年6月に実施され、合格発表は 7月です。
第三に、各国立大学がそれぞれ独自に実施する試験(筆記試験)があります。主にSNMPTNやSBMPTNで合格できなかった学生たちがチャレンジするもので、この試験方式で合格した学生に対しては、入学後の学費が高く設定されています。毎年7月に実施され、合格発表は8月です。以上のような国立大学の入学試験の他、私立大学の入学試験および推薦入学試験があります。
国立大学志望者は、最初にSNMPTN、次にSBMPTN、最後に各大学の試験と、チャレンジの機会が計3回与えられています。また、最初に述べたように、インドネシアでは国立大学の人気が高く、競争率もそれに応じて高いので、中学や高校1、2年次から塾や予備校に通う生徒も数多くいるということですが、この辺りの事情は日本と非常に似ています。