京都医塾数学科の福本です。
今回は、数学A「整数の性質」の重要定理である「ユークリッドの互除法」について、図を用いて解説していきたいと思います。
<互除法の原理とは>
2つの自然数a, b について(ただし、a>bとする)
aをbで割った余りをr(r≠0)とすると、
aとbの最大公約数とbとrの最大公約数は等しい
この原理は、2つの自然数の最大公約数を見つけるために使います。
互除法の具体例
実際に互除法を利用して公約数を求めると、以下のようになります。
(例題)360と165の最大公約数を求めよ
360=165・2+30(このとき、360と165の最大公約数は165と30の最大公約数に等しい)
165=30・5+15
30=15・2
よって、360と165の最大公約数は15
このような流れで最大公約数を求めることができます。
上記の計算は、不定方程式の特殊解を求めるときなどにも役立ってくれます。
何をやっているのかよくわからない、あるいは、問題は解けるものの、なぜこれで最大公約数が求められるのか理解できない、という人は多いのではないでしょうか。
この、一見すると複雑な互除法の考え方ですが、図形を用いて考えてみると、案外簡単に理解することができます。
<公約数の関係を図で表してみよう>
互除法の説明に入る前に、まずは「2つの自然数の公約数」が「長方形と正方形」という図形を用いて、どのように表されるのかを考えてみましょう。
(例)30と15の公約数について考える
◎30と15の公約数の1つに、5がある。
1辺の長さが5の正方形は、縦, 横の長さがそれぞれ30, 15である長方形をぴったりと埋め尽くすことができる。
もちろん、1辺5以外にも、3や15あるいは1といった長さを持つ正方形は、上記の長方形をきれいに埋め尽くすことができます。
もしも、このような正方形のうちで最大のもの(ただし、1辺の長さは自然数)が見つかれば、それが最大公約数となるわけです。
このようなイメージをもって見ると、ユークリッドの互除法は「長方形を埋め尽くすことができる正方形の中で最大のもの」を見つける方法であると言えます。
<今回のまとめ>
自然数a, bの公約数を求めたいとき、
① 縦・横の長さがa, bであるような長方形を考える
② ①の長方形をぴったり埋め尽くす、1辺の長さがcの正方形を見つける(cは自然数)
③ cはaとbの公約数である
④ cの中で最大のものが最大公約数である(これを求めるのがユークリッドの互除法)
次回は、ユークリッドの互除法を「長方形と正方形」で解説していきます。