皆さん、こんにちは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。
本日は、経済分野で目にする「三面等価の原則」について説明したいと思います。
経済活動の基本と三面等価
我々の経済活動は大きく分けて「生産」「所得(分配)」「支出」の3つに分かれます。ある “企業” がクリームパンを作っているとします。これが「生産」ですね。このクリームパンを世に売り出すわけなんですが、それを我々(経済学的には “家計” と表現します)は購入し、その対価として代金を払う。これが「支出」です。一方、 “企業” はクリームパンを製造するのに人手が欲しいはずです。 “家計” は自らのもつ労働力を用いて、企業の要望に応えることになります。当然、タダ働きというわけにはいかないので、 “企業” は “家計” に対価を支払います。これが「所得(分配)」。この3つを軸に経済は循環しています。さらに、経済学を考えるうえで前提条件がありまして、それは、 “企業” も “家計” も「貯金をしない」ということ。この例でいうと、獲得した賃金は、すべてクリームパン購入にあてられることになります(という感じで考えていくのが経済学なんです)。とすれば、「生産」=「支出」になることは当然として、 “家計” が “企業” に対し「支出」したものは、労働力の対価として支払われるはず。よって「支出」=「所得(分配)」という関係になっていることがわかると思います。経済全体として、「生産」=「支出」=「所得(分配)」という構図になっている、このことを「三面等価の原則」と呼ぶのです。まあ当たり前っちゃ当たり前ですよね。
国民所得を評価するうえでの三面等価
国民所得は様々な角度から、ある国の経済状況を正確に把握しようと努めています。上記の三面等価の原則がここでも見られます。つまり「生産国民所得」=「支出国民所得」=「分配国民所得」という関係性が成り立つわけです。この法則は、経済分野の問題で問われたりするものなので、受験生にとってはこちらのほうが大事なんですね。
- 生産国民所得=国民総生産(GNP)
GNPは以下のような式で求められます。
GNP=GDP(国内の総生産額-中間生産物(原材料など):つまりは「付加価値の合計」)+海外からの純所得
「付加価値の合計」というのは、(1)小麦農家が食品加工会社にお米を1キロ300円で売却し、(2)食品加工会社は10個のおにぎりを生産し、1個50円(合計500円)でコンビニに卸し、(3)コンビニは1個100円(合計1,000円)で売るというケースを想定すると、(1)で300円、(2)で500―300=200円、(3)1000―500=500円の合計、1,000円になるという風に考えてください。海外からの純所得は、「外国から受け取った所得」-「外国に支払った所得」のことを指します。
- 支出国民所得=国民総支出(GNE)
GNEは以下の式で求められます。
GNE=消費+投資+固定資本減耗(減価償却費)+経常海外余剰
・・・めっちゃ面倒ですね。固定資本減耗とは、「機械設備の消耗などによる、資産価値の減少分」を指します。例えば10年間持つ冷蔵庫を20万円で購入したとしたら、1年あたり、「2万円分」の価値が減少していくというように考えるのです。その分「支出」として数えるのです。分配国民所得は、あまり問題に問われることはありませんが、GNPの式とGNEの式が等しくなるということは、出題されうるので余裕があれば押さえておいてください。
最後に
経済分野は苦手な印象をお持ちの方も多いでしょうが、一つひとつ用語をしっかりと押さえていけば、必ず攻略できますので、その一助にしてみてください。
本日はここまでにしておきます。以上です。お疲れさまでした。