京都医塾数学科です。このページでは「兵庫医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“兵庫医科大学”の受験を考えている方
・“兵庫医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)
形式:記述式
※第2問の(1)(2)のみ「答えのみ」で解答。
制限時間:90分
配点: 150/500点
出題の傾向と特徴
【出題内容と問題の難易度】
第1問の小問集合の多くは標準的な問題で構成されています。しかし、第2問や第3問では難解なテーマからの出題もしばしば見られ、数学を得意とする受験生であっても得点することは至難な場合があります。
【頻出の出題単元】
どの単元からも幅広く出題されますが、図形に関連した問題からの出題が多い傾向にあります。
また、煩雑な計算を含む微分法や積分法の問題も多く出題されるため、数学Ⅲを含めて対策が必要です。
【制限時間に対する問題量】
第2問や第3問の難解な問題まで解き切ることを想定した場合、非常に厳しい時間設定となっています。そのため、手をつける問題を取捨選択し、効率的に得点する必要があります。場合によっては大問単位で「捨てる」という選択も考えなくてはなりません。
2021年度(最新の過去問)の分析
ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問 小問集合(確率・空間図形・積分法・整数・三角関数)】(標準)
(1)は典型的な確率の問題ですが、「確率を求める」のではなく「与えられた確率からはずれくじを求める」問題となっています。求めるべきものを文字でおくことが必要になります。
(2)は球と平面の交わりから得られる円の中心と半径を求める問題です。平面上における、円と直線の交わりの問題から発展させて考察できるかがカギとなるため、経験の有無に左右される可能性があります。
(3)は定積分の計算問題です。式の形から、適切な置換積分の方法を見抜くことは難しく、これまでの訓練量がダイレクトに影響すると言えるでしょう。
(4)は分数を約分して既約分数に書き直す問題です。分子、分母ともに大きな整数になっているため、整数の性質に関する知識を引き出す必要があります。
(5)は三角関数の最大値と最小値を求める問題です。第1問の中でも最も基本的な問題であるため、着実に得点したいです。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…全問正答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…5問中4問以上正答したい。
【第2問 数列・微分法】(やや難)
借金の返済における複利計算をテーマとした問題が出題されました。前半は借金の残高に関する漸化式を考察する問題、後半は離散的(自然数kに対して定義された残高)な対象である「数列」から一転して、連続的(実数xに対して定義された返済期間)な対象である「関数」を考察する問題となっています。共通テストの対策をしていない多くの受験生にとって見慣れない問題だったと推察されます。さらに、与えられた文字が自然数なのか実数なのかが明示されていないことで、状況設定の説明が分かりづらいものになっており、(1)から「何をすれば良いのか分からなくなる」受験生や、(3)で「関数の話に変わった瞬間についていけなくなった」受験生が多かったと思われます。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(1)(2)(3)を正答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…(1)(2)を正答したい。
【第3問 図形と計量】(やや難)
(1)は各辺の長さが与えられた三角形において、三角比の値を求める問題です。具体的な数値ではなく、すべて文字で与えられた状態で計算が必要ですが、この問題で失点は許されません。
(2)は中線定理の一般化であるスチュワートの定理という有名定理に関する証明問題です。(1)をヒントにして、異符号の値を取る三角比の値2つの比較をおこないます。この考え方自体は「円に内接する四角形の対角線の求め方」の応用にすぎませんが、不慣れな受験生が多かったと思われます。
(3)から(5)は、様々な三角形と辺の内分点に対して(2)で証明した等式を適用することで線分の長さを求める問題です。そのため(2)で正答していなくても挑戦しても良いでしょう。しかし、試験本番に問題の全体像を把握して戦略的に問題に取り組むことは非常に難しいでしょう。ただし、(3)(4)においてはベクトルを用いた別解法もあるため、第2問にほとんど手をつけられていない場合は試す価値があります。
≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(1)(3)を正答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…(1)を正答したい。
【総評】
第2問や第3問での得点が見込めないため、「第1問でどれだけ得点できるか」が重要になる問題構成と言えます。そのため、第2問や第3問に時間を使いすぎず、第1問で「解けた」と感じた問題は徹底的に見直し・検算を行い、少しでも得点を稼ごうという意識が重要になります。なお、記述式の解答形式ですが、論述が必要な問題は限られますので、まずは正しい数値を求めるという姿勢も重要になります。
まとめ
癖のある問題が多数出題されますが、そのことばかりに注目せず、典型的な問題を見抜き、問題を取捨選択して取り組めば得点は積みあがります。そのため、過去問の演習を通して問題の取捨選択の練習をすることに加え、典型的な問題は確実に正答できるよう基本問題の訓練を怠らないことが合格につながると言えるでしょう。
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