こんにちは、京都医塾英語科の満尾です。
はじめに
さて、英語の勉強の中でも独学が難しく、負担が大きく、かつ差もつきやすいのが「英作文」であることは間違いありません。
難関大学出身の保護者様の中には「英作文だけは早めにしっかりと対策すべきだと思う」と三者面談で仰る方もいらっしゃいます。
しかし、実は医学部入試においては「必ずしも英作文をやるべきとは限らない」のです。
では、詳しく説明をさせていただきます。
「国公立医学部」では英作文は極めて重要である
まず「国公立医学部」なのか、「私立医学部」なのかという点で英作文の重要度は大きく異なります。
「国公立医学部」を志望する場合、ほとんどの大学で課題英作文か自由英作文のどちらか(または両方)が出題されます。そして、高得点勝負になることが多い医学部入試においては「英作文が勝負を決める」という展開は珍しくありません。
長年にわたって受験生を指導しておりますが、「長文読解」に関してはあるレベルを超えると「教養や言語能力」という面で生徒個々に差が出てきます。
一方で、「英作文」は体系的なカリキュラムと丁寧な添削指導を行えば、割とどんな生徒さんでも合格レベルに達することが出来ます(もちろん、それが出来る余力とかなりの努力が必要なのは言うまでもありません)。
また、当塾に来られる多くの高卒生を見ていても、「まともに英作文が書ける受験生」というのは皆無に近いです。
灘や洛南などの関西の超・進学校が英作文対策に極めて重点を置いている(加えて、彼らは個別の添削指導を求めて塾にも通う場合が大半です)ことを鑑みても、受験本番で「満点に近い解答が書ける一部の受験生」と「ほとんど点数の貰えない受験生」に分かれているであろうことは想像に難くありません。
以上より、本気で「国公立医学部」を狙うなら、絶対にしっかりと英作文対策をしておくべきです。
加えて、共通テストやリスニングの対策もやらなければなりませんので、早めの準備と膨大な量の努力が必要とされます。
「私立医学部」では英作文が出題される大学は限定される
では、「私立医学部」の受験では英作文が必要なのでしょうか?
実は、この問題には簡単に答えを出すことが出来ません。
何しろ「私立医学部」で英作文が出題される大学は決して多くないからです。
もちろん、慶應や慈恵医大、大阪医科薬科大学などの超難関レベルを受験するのでしたら英作文は非常に重要です。
しかし、「私立医学部」なら全国どこでも構わないから行きたい、という生徒さんなら、そもそも英作文を出さない大学に絞って受験することも可能です。
そういう意味では「自分は私立医学部専願だ!」と最初から考えているならば、英作文は一切にやらずに受験に臨むのもありかもしれません(私個人は、生徒さんにもよりますが、英文法の知識を運用レベルに高めるため、私立医学部を専願する受験生も夏くらいまでは簡単な英作文を練習させることが多いですが)。
大学側も「なるべく優秀な学生に来て欲しい」という気持ちはありますので、「国公立医学部との併願者」が有利になるように英作文を出している大学もあります(具体的にいえば、藤田医科大学や兵庫医科大学にはその傾向を感じております)。
とはいえ、数千人もの受験生が来る「私立医学部」の場合、細かい部分まで採点するのは難しいのか、国公立大学に比べると採点がやや甘い大学が多いように感じています。
なので、英作文を出題する私立医学部でも「夏休みくらいまで基本レベルの英作文だけ指導した」という生徒さんが合格することが珍しくありません。
逆に大阪医科薬科大学は、非常に細かく英作文を採点しているようで、私から見ても「この生徒さんは国公立医学部を受けても英作文は武器になるな」というレベルの生徒さんが合格することが多いです。
この大学は期間限定で英作文の模範解答を大学が発表しているのですが、それを見ても意図も明確で、努力の差が如実に出る問題ばかりという印象を抱いております。配点も100点中の30点が英作文にあてられており、高めです。
おわりに
まとめると、「私立医学部」の場合は、志望校を具体的に考え、受験までの学習を計画的に行うことが重要になります。少なくとも受験の1年前くらいには「英作文をやるかどうかを踏まえた受験校の選定」をしておくことが望ましいのではないでしょうか。
以上、「医学部入試と英作文のカンケイ」でした。これから医学部入試を考える生徒さんや保護者様のお役に立ったなら幸いです。