京都医塾数学科です。
このページでは「同志社大学(全学部日程文系)の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
形式・制限時間・配点 2022年度(最新の問題より)
形式:記述
制限時間:75分
配点:150点
近年の出題の傾向
直近3年分の出題の傾向と特徴をまとめます。
直近3年では大問を3つ出題し、大問1が小問集合で穴埋め方式、大問2,3が記述方式の出題となっています。
大問1について、2020年度では小問が2つ、2021年度では小問が3つ、2022年度では小問が4つと年々扱うテーマが増えています。それに合わせて問題文が短くなっています。読解力重視から知識重視へと力点を変えてきているように映ります。
大問2について、2年連続で漸化式が出題されています。置き換え方を与えるなど誘導が丁寧にありますので標準レベルのパターンを押さえていれば戸惑うことはないでしょう。対数関数の不等式と融合するなど計算量がありますので、知識だけで満点を取ることは難しいです。
大問3について、放物線や3次曲線の接線や面積の問題が出題されています。問題文が長く与えられる文字も多いので読解力・計算力を要求されています。
試験時間が75分であることを考慮すると大問1つに掛ける時間は25分程度です。合格最低点が全科目で7割から7割5分ですので大問1は完答したいところ、落としても小問を1つまでに留めたいですね。知識問題とはいえ公式に当てはめてすぐに答えが出るものは少なく、計算力も必要となります。教科書の章末問題など基本だけど骨のある問題をしっかりこなして素早く回答できるように練習をしておきましょう。
大問2,3の前半は公式に当てはめるだけで解けます。しっかりと得点しましょう。後半は与えられた置き換えや面積・座標を文字で置いたりと計算力が試されています。どの文字に着目するのか、式の特徴を読み取れるのかなど注意してください。
大問2を詳しく見ると、先ほども述べたように2年連続で漸化式が出題されています。その前は整数の正の約数の和の問題でした。こちらも等比数列の和になりますので「数列」に重きを置いていることが読み取れます。「数列」の等差数列・等比数列・数列の和のパターン・漸化式の基本的な形はすべてマスターしておきましょう。教科書や傍用問題集に出題されている問題は繰り返し解いて形を覚えておきましょう。また、
\( \displaystyle a_{n} =\frac{n+1}{n-1} S_{n-1} \left( n=2,3,4,\cdots \right) \)
を見たときに、
\( \displaystyle S_{n-1} =\frac{n-1}{n+1} a_{n} \left( n=2,3,4,\cdots \right) \)
と変形することで公式を利用できます。公式に当てはめやすい形を普段から意識して演習をするようにしましょう。
大問3については数学IIの「微分積分」総合問題です。接線を求めたり面積を求めたりと典型的な問いが並んでいます。ただし、文字係数で出題されるなど一筋縄ではいかないように設計されています。こちらは教科書よりも共通テスト数学IIB大問2に似ています。マーク形式ではないので見た目は違いますが、扱っているテーマは同じです。大学入試センター試験やマーク形式の問題集で練習することで問題の流れを掴むことができます。計算に自信がついたら過去問で練習するとよいでしょう。
最後に
全学部入試では出題される単元が絞られていますが、学部入試だと「空間ベクトル」や「整数」・「指数関数・対数関数」もよく出題されています。行きたい学部がはっきりしているならば、そちらの過去問にも目を通し、頻出単元を確認しておきましょう。また、近年AIやビッグデータなど騒がれていますが、関連して「差分方程式」、「再帰呼び出し」を意識した出題が増えています。同志社大学に限らず、大学入試には社会の動向が反映されています。普段より新聞やニュースなどに目を向けるようにしておきましょう。