京都医塾生物科の廣瀬です。
医学部受験を考えている受験生にとって、「ヒトの身体のしくみ」を学ぶ、という観点で考えると、「生物」という科目は魅力的で、興味深い科目になると思います。一方で、ヒトと関係無さそうに見える、植物ホルモンや生態系、進化・分類といった分野を学ぶ際には、「どうしても興味が持てなくて…」と勉強に苦しんでいる生徒が一定数いることも事実です。
そこで、直接目にする機会を作ることができる生き物を通して高校生物で学習する内容に触れていくことで、教科書で学ぶ事柄を少しでも身近に感じられるようにしてみようと思います。
実物を見て学ぶ~アレンの法則~
今回は、京都市動物園で飼育されているフェネックを。
砂漠地帯に生息するキツネの仲間です。体重は成体でも1~2kgという、非常に小さい種です。かわいい。
これが他のキツネの仲間と並べられ、比較されて教科書に登場するのが、「アレンの法則」の説明の場面ですね。
アレンの法則とは、恒温動物は寒冷地方に生息する種ほど耳や尾などの突出部が小さくなる、というものです。身体から突出した部分が大きくなるほど、体積に対しての表面積が大きくなり放熱量が増大します。暑い地域では放熱量を大きくすることで、一方寒い地域では放熱量をできる限り抑えることで、それぞれの環境に適応している、と考えられているわけです。
この法則を頭に入れた上で、改めてフェネックをじっくり見てみましょう。フェネックは砂漠地方に生息する種ですので、暑い地域に適応しているはずです。つまり、突出部が大きい、ということになります。
顔のサイズに対して、正面から見た際の耳の面積が非常に大きくなっていることがわかりますね。ちなみに、耳の中の毛が長いのは、耳の中に砂が入らないようにするためだと言われています。
鼻や口にかけてのラインも細く長く飛び出ており、手足が細く長いことも、「突出部が大きい」ことの影響であると考えられます。
尾も同様に細く長いのが特徴です。一般的なキツネのイメージとは異なり、途中で膨らんでいる様子もありません。
これと比べて、日本で見られるような普通のキツネはどうかというと、という話までしたかったのですが…。
京都市動物園には、ホンドギツネもいるにはいるのですが、私が「寝ていない」キツネに遭遇したことが一度もないので、ちゃんと正面から捉えられた写真が無いのです…。
これに関しては、またいずれ機会があればということで。
まとめ
今回は「実物を見て学ぶ高校生物~アレンの法則~」で フェネック を紹介しました。
直接目にする機会を作ることができる生き物を通して高校生物で学習する内容に触れていくことで、教科書で学ぶ事柄を少しでも身近に感じられるようにして、生物に興味をもってみてください。
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