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慶應義塾大学医学部の一般入試の過去問対策・出題傾向のまとめ【英語編】

慶應義塾大学医学部の一般入試の過去問対策・出題傾向のまとめ【英語編】

京都医塾英語科です。

このページでは「慶應義塾大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“慶應義塾大学医学部”の受験を考えている方
・“慶應義塾大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方

におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度 
形式: 記述式+記号選択式問題
制限時間:90分
配点: 150点

出題の傾向と特徴

2017年度以降の5年分についての傾向をまとめます。自由英作文は、2019年以前は大問のなかの小問として問われていましたが、2019年からは大問4として独立し、求められる語数も100語に増えていることから、より表現力重視の出題になりました。

【毎年恒例の出題形式】

① 長文問題(記述解答式、記号選択式)
② 自由英作文

【制限時間に対する問題量】

読む英文の量だけでなく、日本語・英語問わず一定量の解答を記述する必要があるため、制限時間を考えれば全問に満足のいく解答をすることはかなり厳しいでしょう。以下の記事では、問題自体の難易度は「やや難」としていますが、制限時間も含めれば全体として「難」です。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:やや難) 

米国における移民に対する医療サービスの問題点がテーマの長文問題です。設問文は、日本語のものも英語のものもあります。出題形式は、長文中の語句補充問題、説明問題、和訳問題、本文中の内容と合致するものを英文の選択肢から選ぶ問題など多様です。制限時間を考えると、時間的余裕は全くありません。テーマは医療系の話ではあるので、医学部志望者にとってはどこかで読んだことのある内容かもしれません。ただし、「移民」が絡むため、広くアンテナを張っていない、背景知識の乏しい受験生にとっては理解しづらい内容になってしまう可能性があります。毎年、慶應義塾大学医学部では、医療系の話題が長文で出題されていますので、過去問演習のなかで医療系の話題にできるだけ多くあたり、知らないトピックがあれば背景知識も含めて調べておくなどの準備をすることで、解きやすくなるでしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割以上
他教科を得点源にしたい受験生…4割

【第2問】(難易度:やや難) 

パンデミックによる孤立の弊害がテーマの長文問題です。設問文は日本語のものが主体ですが、内容一致問題は英文を読んで答える形式です。出題形式は、第1問同様に、長文中の語句補充問題、説明問題、和訳問題、内容一致問題が出題されています。前年度まで出題されていた、内容一致問題の「本文から読み取れないもの」を選ぶ問題がなくなりました。集団から孤立する弊害を、歴史的な事実や、生理学的な反応、囚人などの社会的な実例を交えて説明する長文で、具体例に目を奪われると余計な時間を浪費させられてしまうことになります。空所補充は内容を見ずともイディオムや動詞の語法の知識で解けるものが多いので素早く確実に解きたいです。他の問題について、英語が得意でない受験生は、時間のかかりそうな問題は後回しにして解きやすそうなものをつまみ食いする意識で、難易度の見極めと取り組んだ問題の正答率を上げて、効率よく得点できるように取り組みましょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割以上
他教科を得点源にしたい受験生…4割後半

【第3問】(難易度:やや難) 

新たな腸チフスワクチンの登場について書かれた長文問題です。設問文はすべて英語で、内容一致問題や、文補充問題、設問文の続きに続く文を選ぶ問題、説明問題が出題されています。このうち、問1~問4までは記号選択問題、問5は日本語で解答するよう条件がついている記述式問題です。大問1、2に比べると解答に要する記述量は格段に減っています。英語の苦手な受験生はここで大問1、2よりも得点したいです。記述量が減っているぶん、パラグラフごとの要点をつかみ、解答根拠となる箇所を的確に見つけられる要領の良さと、本文・設問文問わず一定レベル以上の速度で読める能力とが求められています。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7割以上
他教科を得点源にしたい受験生…6割

【第4問】(難易度:やや難) 

COVID-19を背景とした在宅勤務がはじまっているなかで、その長所と短所とを、100語程度の英語で書く自由英作文の問題。出題形式としては標準的ながら、大半が本格的に働いたことのない受験生にとって、「在宅勤務」について考え、さらにその長所と短所とをあげるのはやや難しい可能性は残ります。新聞やテレビなどで何らかの意見を目にしていれば、それに沿って書くこともできるかもしれません。制限時間は相変わらず厳しいので、日ごろから100語程度の英語で、あるトピックについて意見を述べる(あるいは長所・短所をあげる、賛否を明らかにする)練習を重ねて、添削指導によって及第点の英文を書けるようにしておく必要があるでしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7割以上
他教科を得点源にしたい受験生…4割

【総評】

コロナ関連の話題が4つの大問のうち2問出題されており、医療と関係のある時事性の高い話題には常に目配りしておくべきです。また、これまでの年度の出題では、医療と関係のない話題も出題されていましたが、2021年度はすべての大問が医療系の内容だったのも大きな変化です。入試問題としては、あいかわらず、課されている設問の内容・分量ともに、制限時間内に解くには非常に高いレベルの英語力を求められています。それだけでなく、時間をかけるべき問題とそうでない問題との見極め、社会とのつながりを意識した医療系の背景知識の活用、一定量の英語/日本語を駆使して整合性のある解答を書ききる記述力も、同時に必要です。慶應義塾大学医学部の英語には、(この記事と矛盾することはじゅうぶん承知しつつも)「傾向と対策」のような付け焼刃では対処できない本質的かつ上質の能力が求められているといえるでしょう。

まとめ

というわけで、今回は慶應義塾大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

受験生への一言
ぜひ、京都医塾へお越しください。