こんにちは、京都医塾化学科の安逹です。
日本の輸出資源とは
突然ですが、皆さんは日本から世界に向けて輸出されている資源があることをご存知ですか?日本は石油や石炭をはじめ、多くの資源を輸入に頼っていることは多くの人がご存知かと思います。ところが、ヨウ素だけは日本から海外に向けて輸出されており、なんと世界のシェアの内、およそ30%を占めています。
ヨウ素の採れる地域
日本で最も多くのヨウ素が採れるのは千葉県です。日本で採れるヨウ素の内およそ75%が千葉県産ということですから単純計算で世界に輸出されるヨウ素のおよそ20%が千葉県産ということになります。
ヨウ素とは?
ここまで話してきたヨウ素は、高校化学でも登場する物質です。ヨウ素は原子番号53のハロゲン元素で、その名前はドイツ語のJod(ヨード)に由来しています。非金属元素で黒紫色の固体で、固体から気体へと変化する昇華性を有している、といった内容は高校の授業で聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
入試問題の中では、上記の特徴を聞く問題やヨウ素滴定実験、ヨードホルム反応やヨウ素デンプン反応、さらには水素との反応でヨウ化水素を生成する反応で、反応速度・化学平衡の問題まで、登場する場面は多岐に渡ります。
ヨウ素の使い道
さて、そんなヨウ素ですが、以下のような場面で活躍しています。
①レントゲン造影剤:血管や各種臓器の診断に用いられています。ヨウ素原子には大きなX線吸収能があり、1929年に医師ストックが尿路系のレントゲン造影に成功、その後さまざまな方法が確立されてきました。ヨウ素は医療画像診断で圧倒的支持を得ているとのことです。
②殺菌剤:うがい薬にも用いられています。ヨウ素は電気陰性度が大きく、強い酸化力をもつので、殺菌効果が高く、様々な商品に使われています。
③導電性ポリマー:2000年に白川英樹氏がノーベル化学賞を受賞したことでも有名な「電気を通すプラスチック」です。有機ELや有機系太陽電池など電気・電子材料への応用が期待されている導電性ポリマーはその製造にヨウ素が欠かせません。
などなど、意外なところまでヨウ素は多岐に活躍しています。
最後に
今回はヨウ素を取り上げてみましたが、高校化学で登場する物質は受験勉強の場だけでなく、日常生活の中にも数多く登場します。そうしたことを知ることで、化学の世界に興味がわいてくるかもしれませんよ?