京都医塾数学科です。
このページでは「東北医科薬科大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
- “医学部受験に興味がある”という方
- “東北医科薬科大学医学部”の受験を考えている方
- “東北医科薬科大学医学部の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)
形式: マークシート形式
制限時間:70分
配点: 100点(筆記試験の総得点は400点)
出題の傾向と特徴
形式に加え、2017年度以降の5年分についての傾向をまとめます。
【毎年恒例の出題単元】
場合の数・確率と微積分方が毎年のように出題されています。場合の数では2019年度の塗り分け問題のように、書き出して過不足なく数え上げることが必要になることもありますので、時間がかかることを厭わずに手を動かすことができるように訓練しておきましょう。
微積分も2019年度以外出題されており、誘導にのって正確に計算する力が要求されます。
【頻出の出題単元】
上記の場合の数・確率、微積分以外には、図形的に考える問題が多く出題されています。2019年度のように2次曲線(楕円とその接線)が出題されたこともあります。必要な図を素早く描けるようにしておきましょう。
【制限時間に対する問題量】
大問3題に対して70分ですので、私立医学部の問題としては標準的かと思います。ですが、場合の数の書き出しや積分計算など、途中の計算でそれなりに時間を取られます。そのため、基本的な計算については素早く正確にできるように訓練をしておきましょう。
2021年度(最新の過去問)の分析
ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第Ⅰ問 積分と数列の融合問題】(難易度:標準)
三角関数の定積分と数列の融合した問題です。ある程度経験がないと途中からどうしてよいか手が止まる人もでてくるのではないでしょうか。
(1) ここは数学が得意でない方でもゴリゴリと計算して取りきって欲しい問題です。2乗の形を半角の公式で変形するなど、三角関数の積分の基本的な内容で解けます。
(2) n個の項の積分と身構えてしまうかもしれませんが、積分区間のπや0を代入すると同じ値が繰り返されるのが見えてきます。この分野が得意でない受験生でも(2)までは何とか得点できるようにしましょう。
(3) n個の項を含む括弧を展開するので、経験が少ないとここで困惑する受験生もでてくるのではないでしょうか。実は(1)(2)がヒントになっていて、展開した時に現れる項の多くは不定積分後にπや0を代入すると値が0になるので、最後は自然数の2乗の和の形に落ち着きます。
(4) (3)までできているのであれば、代入して計算するだけです。奇数の時、偶数の時が一致するので、その一致した値が極限値になります。
数学を得点源にしたい受験生の方は完答したいです。
数学以外を得点源にしたい受験生は、 (1)(2)をゴリゴリ計算して頑張りましょう。
【第Ⅱ問 整数】(難易度:やや難)
問題を読んだとき、書かれている文章や記号、数式が何を示しているか分かるかどうかで、難易度の印象が変わる問題です。分かる人からすれば、穴埋め形式でもありますし、比較的容易に解答できるのではないでしょうか。
(1) Σを見ると、直ぐに公式を考える方がいますが、本来Σ記号は数列の和をまとめて書くときの記号です。分かりにくければ、実際に書き並べてみましょう。そうすれば、与えられた式が1から30までの整数をランダムに並び替えたものの和を問うている、つまり、1から30までの整数の和を問うているだけということが分かります。
(2) 今回は証明ではありませんが、不等式の証明でよく使う解法に左辺-右辺を計算して、正負の確認をするものがあったことに気付ければなんとかなります。左辺-右辺をlのある項はlで、mのある項はmでくくってみましょう。共通因数が見えてくれば、さらに共通因数でくくるだけ。積が負なら、2つの( )はどちらかが負、どちらかが正です。l-mは負ですから、答えは自然と見えてくるのではないでしょうか。
(3) おそらく(2)を利用するんだろうな、と推測出来たら手を動かしましょう。キツイなと思ったらとばして第Ⅲ問の計算に時間を使いましょう。
(2)よりa<b、s<t(a、b、s、tは正の数)であるときat+bs<as+bt、言葉で書くと「小×大+大×小よりも小×小+大×大の方が大きい」ことが分かります。
ここから、大きい順どうしをかけたもの(大×大)の和が積の和の中で最大になることが分かります。同様に、今の式を逆にみると、順番が一番小さいもの×一番大きいもの、二番目に小さいもの×二番目に大きいもの…とすると積の和の中で最小になります。
後は計算を頑張りましょう。
(4) (3)が正答できていれば、方針がたつでしょう。大きい順、小さい順に並べることを考えてみてください。
数学を得点源にしたい受験生は(2)までを素早く正答し、時間があれば(3)(4)にも取り組む。
数学以外を得点源にしたい受験生は(1)を書き出して正答する。(2)は時間をかけて試行錯誤して正答にたどりつければよいでしょう。
【第Ⅲ問 三角関数の最大】(やや易)
(1)(2)は問題なく計算できるのではないでしょうか。(2)で三倍角の公式を覚えていないと加法定理から導く必要があり時間がかかりますが、それでも求めること自体はできると思います。
(3) (2)の変形によって、f(θ)はtの3次式に置き換えられたので、tの3次方程式を解くことになります。因数分解しましょう。因数定理を用いなくとも、必要なところを括ればみえてくるレベルですので、スムーズに計算したいですね。tに置き換えているので、tの範囲を確認することを忘れないでください。
(4) 微分して増減表をかきましょう。例題レベルの式ですから、素早く正確に計算したいです。最大値を求めるときに次数下げの工夫をすることが好ましいですが、思いつかないならさっさと代入して計算を頑張りましょう(さすがに、数学を得点源にしたい生徒の方は次数下げできるようにしておいてください)。
数学を得点源にしたい受験生は全問完答しましょう。
数学以外を得点源にしたい受験生も、時間をかければ完答できる問題ですから、Ⅰ・Ⅱの後半を後回しにして、ここに時間をかけて取りきって欲しいです。
【総評】
時間配分を意識できているかが大きな分かれ目になる出題です。第Ⅲ問は誘導もついており、数学Ⅲの微分としては難しくない部類のものです。ですから、ここは数学以外を得点源にしたい生徒の方でも、確実に取りきらなければなりません。そのためには、時間にゆとりが欲しいところです(焦ると、普段できている計算でもミスしたり、パニックになって手が止まることがあります)。したがって、第Ⅰ問・第Ⅱ問の後半で「???」となったら、すみやかにとばす。もっといえば、試験開始直後に全体をみて、第Ⅲ問から解き始めるくらい思い切った方が上手くいくように思います。
まとめ
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。