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東海大学医学部の過去問対策・出題傾向まとめ【生物編】

東海大学医学部の過去問対策・出題傾向まとめ【生物編】

 

京都医塾生物科です。
このページでは「東海大学医学部医学科」の生物の過去問について分析します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“東海大学医学部医学科”の受験を考えている方
・“東海大学医学部医学科の入試問題がどのような問題か知りたい”という方

におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年(最新の問題より) 

形式:記述式
時間: 70分
大問数:5題
配点:理科は1科目選択で100点 (1次選考は他に外国語100点と数学100点なので生物を選択した場合のウエイトは大きい)
出題範囲:生物基礎・生物

出題の傾向と特徴(6年分)

出題形式は安定していて、記述式ですが単語と記号による解答が大半を占めています。短文の記述(15字~80字)・計算問題・図表の描出も見られます。

出題内容は「代謝」、「遺伝情報の発現」、「生殖・発生・遺伝」、「生物の生活と環境」からほぼ毎年出題されています。「細胞と分子」「代謝」「環境と生態」「生物の進化と系統」は出題が少ない傾向にありますが、他分野の出題の中で尋ねられることもあるので疎かにできません。
難度ははっきり言って高いと言えます。特に実験の意味や結果の判定について問う、いわゆる「思考力」を要する問題が頻出するのがこの大学の特徴となっています。

【1 細胞と分子】

細胞そのものを素材とした設問ではなく、恒常性・酵素反応・遺伝情報などに絡めて「細胞」分野の知識を問われることが多い状況です。2019年の小腸内壁のグルコース輸送体とナトリウムポンプ、2018年の細胞分画法、2015年の細胞周期の調節などに「細胞」分野の出題が見られます。2019年の問題ではナトリウムポンプの知識だけではなく塩分調節や血糖調節など知識の横(他分野)のつながりがないと解けません。

【2 代謝】

酵素反応は種々の分野に関係しているので、毎年出題されていると言えます。「光合成」「呼吸」など代謝を大問全体で扱った例は2019年の大問4の光合成(ヒル反応・カルビン回路等)、2018年の大問2の呼吸(ミトコンドリアの酸素消費)、2017年の大問1、2(酵母菌の代謝・酵素反応とビタミン)などがあります。2019年の出題では光合成反応の知識だけではなく実験の科学史を追いながら「この実験で何が明らかになったのか」「この実験の結果はどうなるのか」を答えさせる問題となっています。代謝に限らず、生物全分野のすべての実験の意味を理解しておくことが重要です。

【3 遺伝情報の発現】

最近6年間で5回出題されている最重要分野です。出題された場合は遺伝情報だけで大問1つを構成することが多いようです。2021年には「プリオン病」「電気泳動とPCR法」、2020年には「遺伝子発現の調節」、2018年には「RNA干渉」、2017年には「トランスジェニック動物」、2016年には「ヒトゲノム・PCR法・電気泳動」が出題されています。2021年の入試問題では、遺伝情報を扱った大問1・4以外に大問2でも遺伝を扱っており、実に半数以上が「遺伝」分野からの出題でした。しかも大問1の「プリオン病」はおそらく多くの受験生が初めて耳にする内容でしょう。また大問4のノックアウトマウスの作成とPCR法による判定を扱った問題も、独自の実験内容でありかつ実験自体の信用性(コンタミネーションの有無)を判定するという難度の高い内容になっています。

【4 生殖・発生・遺伝】

最近4年間連続して出題されている頻出分野です。2021年には「遺伝病の家系分析」、2020年には「各種生物の性決定方式」、2019年には「単細胞生物・多細胞生物・細胞群体」、2018年には大問3で「細胞分裂とDNA量の変化」が、大問4で「性決定様式」が扱われました。2021年の大問2では家系図を提示し、常染色体遺伝病や伴性遺伝病について、遺伝型が不明の人の発症確率や保因者である確率を計算させる問題で、後半では「ベイズの定理」を使用して計算することが求められます。この分野では毎年多彩な問題が出されており、包括的な学習が必要です。

【5 生物の生活と環境】

この分野はここ6年間、毎年出題されています。人体に関する出題が大半ですが動物の行動を扱った出題も見られます。具体的な出題内容は、2021年(刺激の重要と反応、免疫)、2020年(筋収縮その他)、2019年(体液循環・ホルモン)、2018年(血液循環・心室の圧力と容量、血液凝固)、2017年(胃液分泌の調節、動物の学習行動)、2016年(筋収縮、肝臓の働き、生体防御)となっています。2021年は大問3で受容器と感覚神経の作用を総合的に扱っており、「リガンド依存性ナトリウムチャネル」などやや難度の高い用語も理解することが求められます。また同年の大問5も免疫に関して「Gタンパク質」を答えさせる問題があり、難度は高くなっています。本分野から2問出題された年が多く、2016年には大問5問のうち3問が本分野から出題されていますから、本分野の学習をおろそかにすると合格は望めません。

【6 生態と環境】

ここ6年間では2016年に個体群や種間関係についての記号式の空欄補充問題が一度出題され、それ以降の出題はありません。しかし本分野には他分野の基盤となる知識が含まれているので、一通り学習しておくことは必要です。

【7 生物の進化と系統】

出題頻度は少ないのですが、体内環境や生殖などの「理由付け」として進化の知識が求められており、一通りの理解は必要です。2020年には体液の浸透圧調節について脊椎動物の進化を追う形で出題されており、2018年には集団遺伝に関連してハーディ・ワインベルグの法則が扱われています。

【制限時間に対する問題量】

 問題量は多く形式も多様であり、実験系ではその全貌を素早く読み取ることが要求されます。短文記述も慣れていないと意外に時間を取って慌てることになるでしょう。

まとめ

素早く正確な解答の為には、「代謝」「遺伝情報の発現」、「生殖・発生・遺伝」、「生物の生活と環境」を中心に知識を整理・暗記し、この学部の出題傾向に慣れるために過去問演習を繰り返して解答を出す速度を上げる方法が有効です。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。