こんにちは、京都医塾 国語科の内海です。今回は、「熟語との向き合い方」についてお話したいと思います。
例題に挑戦
まず本記事を読むにあたって、以下の例題に答えてみてください。
<例題>(参照:2004年度 第3回 全統マーク試験)
「偏屈で」の意味として最も適当なものを、①~⑤のうちから選びなさい。
- ねじけていて
- 図々しくて
- 悪意に満ちて
- うたぐり深くて
- 思い上がっていて
答を選びましたか??
答は…①です。正解できたでしょうか?
ちなみに、この設問の正答率はあまりよろしくないです…。
「言葉」との距離
なぜ、この「偏屈で」の意味を言い当てる問題で正答率が落ちてしまったのでしょうか? そのカギは、5つの選択肢の内容にあると感じます。
今回用意された5つの選択肢は、全て「マイナス」の意味を持つ表現が含まれています。もちろん、具体的な意味は異なっているのですが…その「具体的な意味」に迫ろうとしなければ、これらはかなり“似て”見えると思われます。
たとえば、 “丸く” て “橙色” の果実である「みかん」と「柿」。これらは、近くで見れば違いが明確なのですが、近くに寄らず遠くから眺めているだけだとかなり似て見えるはずです。
そのため、この似た者同士の情報をはっきりと区別するためには、「近くに接近する」必要があります。そして、この発想は上記の<例題>を初めとした現代文の設問においても当てはまります。それでは、「熟語(の意味)」へ正しく「接近」するためにはどのような戦略が有効なのでしょうか?
「熟語の意味」への接近方法
まず、「熟語の意味」への接近の仕方は “一つに限られているわけではない” ということをお伝えしておきます。あくまで、内海が個人的に有効と思っているものの内の一つを紹介致します。
私は、「熟語に含まれる漢字の『訓読み』」を利用して、「熟語の意味」を考えることが多いです。
例えば、今回の「偏屈」ならば、
「偏」… かたよる
「屈」… かがむ
となります。
この二つの訓読みを単純に足し合わせると、「偏屈」の意味は、「かたよっており、かがまっている(≒ おれまがっている)状態」であると推測できます。これを踏まえれば、【例題】に並ぶ5つの選択肢のうち、「① ねじけていて」が最も適当とわかるはずです。
このように、「多くの漢字の読み・意味」を知っているだけでなく、「すでに知っている漢字の知識を能動的に組み合わせる」ことが出来るようになれば、非常に効率的に言葉・熟語の知識を蓄積することができます。
そして、これを実現する技能こそが真の「語彙力」だと考えます。
最後に
いかがでしたか? 漢字の持つ意味を最も明瞭に教えてくれる「訓読み」をうまく利用すれば、皆さんの語彙力はどんどん増強されるはずです。ある漢字について得た知識は、その漢字だけに留まらせずに、新奇の単語の学習にも能動的に役立たせる習慣を持ってみてください。
ちなみに…漢字の意味を教えてくれる「訓読み」の「訓(くん)」は、音読みです。