「みんなどうやって受験勉強しているんだろう」
「医学部に合格する人って、やっぱり特別なスケジュールで動いているのかな?」
…など受験に関するお悩みはありませんか?
そこで、受験生のリアルをお伝えするため、現役医学部生に自分の受験生活を振り返ってもらい、
”私と医学部受験について”の受験記を連載していきます!
連載2回目の今回は、京都医塾で化学科の非常勤講師として活躍する、
中井光樹さん(京都府立医科大学・3回生)の受験記です。
もともと別の道を目指すも、人間の精神の構築に興味を持ち医学部への再受験を決意
______なぜ「医学部」を目指したのでしょうか
「もともとは建築学を学んでいましたが、その中で人間の精神の構築に関する興味が強まったのがきっかけです。科学的な見地から、エビデンスに基づいて精神を解析する学問としては、精神医学が挙げられます。また、精神を解析して研究するのみならず、実践的な治療を行うことは、現代社会における重要な問題を解消する手助けになるとも考えられます。
少子高齢化によって、高齢者の認知症やうつ、複雑化する社会構造における若年者の精神疾患は、特に重要な問題であると思われます。このような問題を解決するにあたって、建築学的な視点をいかしつつ、研究と治療の実践を学びたいという強い欲求のもと、医学部への再受験を決定しました。」
毎日8時間程度の睡眠をとると、効率よく学習を進められた
______一日のスケジュールを教えてください。
「再受験をした際には、特に予備校や塾に通うことはなく、すべて独学による「宅浪」を実践していました。一日のうち、集中して勉強する時間は4時間に設定し、日曜日は全く勉強しない日としていました。予備校などには通っていなかったため、やや昼夜逆転していました。昼の12時に起床し、14時ころから18時までを集中して勉強する時間としていました。食後は、水泳に行き、帰ってから就寝する前に1時間ほど社会などの暗記科目の学習を日曜日以外の毎日繰り返しました。」
______ハードな毎日を過ごすため、気を付けていた生活習慣はありますか。
「食事、運動、睡眠に関しては特に注意していました。受験生は、とにかく目先の勉学や模試の結果に注目してしまうことが多いように思われます。しかし、最も重要なことは、自身の健康を維持することです。いくら勉強をしたところで、模試当日や入試当日に体調を崩してしまっては意味がありません、あるいは普段の学習時に風邪をひいてしまったりすると、勉強に取り組めない時間が発生してしまいます。
受験においては、コンスタントに淡々と学習を毎日継続することが最も重要です。したがって、勉強できる体調を常に作るようにしていました。この中でも特に睡眠時間には注意していました。適正な睡眠時間には個人差があるものの、医学的に20歳前後の若者では8時間程度が目安とされています。私の場合も、実際に毎日8から9時間程度は睡眠をとるようにしていました。こうすることで、前日に学んだ事象の記憶が整理され、効率よく学習が進みました。」
自分みたいになるな!!受験においての失敗談
______密度の濃い受験生活を送られていたと思います。なにか後輩に伝えたい失敗談はありますか?
「再受験をしていた際には、夜の3時に就寝し、昼の12時に起床するという生活を送っていました。また、学習に必要な教材費や模試受験費用は、再受験時に行っていたアルバイト代から捻出していました。実は一度だけ、模試のある時刻に起床できずに、お金を無駄にしてしまったことがあります。自分で稼いだお金だったため、非常に悔しい思いをしたのを覚えています。
模試は、普段の学習の成果を確認するとともに、形式的に入学試験を疑似体験する機会であり、受験生にとっては貴重なものです。医学的には「早寝早起き」でなく、昼夜逆転している場合でも、規則的な生活であれば問題はないとされています。しかし、規則的に毎日の起床時間が遅い場合には、すぐに直すことが難しいのは当たり前です。模試の前には、模試の開始時刻や出題範囲等を入念に確認し、これに合わせた体調や学習管理を模試の1週間以上前から確立しておくことが重要です。」
______オススメの勉強法をおしえてください。
「予備校などに通いながら学習する場合でも、独学により自宅で学習する場合でも、いずれにおいても重要な事項がひとつ存在します。それは、計画を立てることです。この「計画」は、しばしば「習慣」と混同されるので注意が必要です。例えば「毎日問題集から5題を解く」というのは習慣に当たります。この習慣に根拠を与えたものが計画です。すなわち「問題集を模試Aまでに完了させるには、毎日5題を解く」というように、目標から逆算して導かれる習慣が計画なのです。
私は3月から学習を開始したので、3月から5月は問題集A、6月から8月は問題集B、のように、1年間のどの期間にどの問題集を完了させるかを決定しました。そこからさらに、月間の大まかな計画を立て、これに沿った毎週の計画を立てるようにしていました。
あらかじめ取り組むべき内容を決めておくことで、1年の各時期に、自分がいまどのステージにいるのかを明確にできます。さらに、各問題集に対するノートには、答えの導出過程を詳細に記述し、それらノートを捨てずに保管していました。1年後には、積み上げると1m近くの高さになり、自信につながりました。
最後に、間違った問題は答えが合うまで諦めずに解きなおす習慣を身に着けてください。私は物理が特に苦手だったのですが、間違った問題は計算が合うまで最大で4回くらいは解きなおしていました。「計算ミス」という言葉がありますが、入学試験においてミスという概念は存在しません。考え方が正しくとも、計算を間違えればそれは不正解として採点されます。何度も解きなおすことはストレスにもなりますが、このストレスがあなたを強くすることは間違いありません。総じて、計画、ノートの記録、解きなおしの3点に重きを置いておけば、必ずや合格を勝ち取れるでしょう。」
______最後に、受験生へメッセージをお願いします!
「医学部は他の学部に比べて大変であるという意見をよく耳にします。実際には、それほどでもありません。私の場合、前の大学で建築学を専攻していましたが、そちらの方がよっぽど大変でした。医学部も入ってみれば、一般の大学生活と大差はありません。もちろん、長期休暇がやや短いというのは事実として存在しますし、勉学においても大量の事項を把握する必要があります。しかし、学科の試験をしっかりと乗り越え、追試験等を回避すれば、ある程度まとまった休みの時間を確保できます。
要は、メリハリをつけることさえできれば、大学生活を楽しむことは難しいことではありません。「勉強が大変だ」というのは事実です。おそらくは受験勉強よりもはるかに膨大な量を短期間で学習することになります。しかしこれは、人の生命を扱う職業上、当然のことといえます。逆にいえば、相当の覚悟がなければ、医学部で学ぶことはおろか、医学部に合格することさえも難しいでしょう。ですから、まずは医学部を受験するにあたって、医学者になろうとする覚悟をもってください。一方で、大学生活では新しい友人を得たり、アルバイトをしてみたりと、さまざまな経験があなたを待っています。その期待も胸に抱きながら、受験勉強に励んでいきましょう。」
終わりに
一度大学で建築学を学び、そこから医学部へ再受験をされた中井さんの受験期でした。人より少ない時間で、どのように勉強をするか色々な工夫がされていますね。最後には、医学部がどんなところかも中井さんの目線で教えてもらえるので、医学部生活のイメージができたのではないでしょうか。
効率よく勉強を進めるためのヒントがちりばめられていますので、ぜひ参考にしてくださいね。みなさんの健闘をお祈りしています。
次回もお楽しみに!
※個人の感想・意見を記載しております。参考になれば幸いです。