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自治医科大学の入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

自治医科大学の入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

 

京都医塾数学科です。このページでは「自治医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“自治医科大学”の受験を考えている方
・“自治医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度 
形式:1次試験はマークシート形式、2次試験は記述式です。
制限時間:1次試験は80分、2次試験は30分です。
配点:1次試験は25点(筆記試験全体の配点は100点)、2次試験は12.5点(筆記試験全体の配点は25点)です。
自治医科大学の1次試験の数学は「80分・マークシート形式」というスタイルが続いています。
また、2021年度より、2次試験で記述式の学力試験(数学・英語)が課されるようになりました。

出題の傾向と特徴(5年分)

直近5年分の出題の傾向と特徴をまとめます。

【1次試験に関して】

1次試験は、マークシート形式で25問が出題されています。前半は一問一答形式で、0~9の整数のうち1つを答えるようになっています。後半は、小問が3つ~5つある大問が、1問~3問並んでいます。高校数学の様々な分野から広範囲に渡って出題されており、苦手分野を作らないことが重要になります。多くの問題が、教科書の章末レベル~入試の基本レベルの難易度ですので、入試数学のある程度パターン化された解法は、使いこなせるようになっておきましょう。

【2次試験に関して】

2021年度の2次試験の記述式の問題は、数列・極限・微分法の融合問題でした。証明問題を2問含む小問4問からなり、誘導に従えば、最後まで完答できるようになっています。とはいえ、思考力を問われる問題が出題されています。1次試験より時間に余裕があるので、粘り強く取り組みましょう。

【制限時間に対する問題量】

1次試験は、25問に対して80分と、1問当たり3分強の時間しかありません。出題される問題の難易度はそう高くはありませんので、教科書の章末レベルの問題を素早く解ききる力が要求されます。中には、計算が煩雑であったり、答えを出すのに時間がかかったりする問題もあるので、解くのに時間がかかる問題を見極める力も必要です。また、丁寧に問題を解ききることももちろん重要ですが、前半部は0~9の整数が答えになりますので、整数問題などでは、答えの予想を立てるのも有効になります。

2021年度の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、2021年度の入試問題(1次試験)を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【一問一答形式(1~15)】(易~標準)

1:数と式 3次式を1次式で割った余りを考える問題です。剰余の定理を用いましょう
2:対数関数 対数関数の2次方程式を考える問題です。対数の性質および2次方程式の解と係数の関係を利用しましょう。
3:整数 \(n\) と \(n^2-2n+3\) が素数となる \(n\) を考える問題です。素数を2(偶数)とそれ以外(奇数)に分けて考えましょう。素数を扱うときには必須の考え方です。
4:整数 \(x+2y+3z=10\) となる自然数 \( (x,y,z)\) の組を調べ上げる問題です。
5:複素数平面 3つの複素数 \( (xi,4+3i,2+2i) \) が同一直線上にある条件を調べる問題です。図形と方程式またはベクトルの考え方を利用しましょう。
6:三角関数 係数が三角比の式の値を求める問題です。
7:図形と方程式 原点と点A \((t,1)\) を結ぶ垂直二等分線の \(x\)軸との交点から三角形の面積を考える問題です。
8:図形と方程式 三角形の内接円を考える問題です。三角形の面積Sは、\(\displaystyle S=\frac{1}{2}r(a+b+c)\) を利用しましょう。r は内接円の半径、\(a,b,c\) はそれぞれ三角形の3辺の長さです。
9:三角関数 \(\sin\) についての2次方程式から、解の存在範囲を考える問題です。2次方程式の解の存在範囲の問題は、2次関数のグラフをイメージして、「判別式・軸の位置・端点の符号」を考えるようにしましょう。
10:確率 袋A(白玉4個、赤玉1個)、袋B(白玉3個、赤玉1個)、袋C(白玉2個、赤玉1個)、袋D(白玉1個、赤玉1個)から、それぞれ1個ずつ取り出し、赤玉が2個以上取り出される確率を考える問題です。余事象を考えるようにしましょう。
11:微分法 \( (nの1次式)^{(nの1次式)}\) が最小になる自然数 \(n\) を考える問題です。自然対数をとって、微分することを考えましょう。増減表から求めたい \(n\) の値が判断できます。
12:二次曲線 楕円外の点から引いた2本の接線のそれぞれの接点の \(y\) 座標の差を考える問題です。楕円の接線の方程式から、楕円の方程式を利用して、接点の \(y\) 座標についての2次方程式を作りましょう。その後は、解と係数の関係を用いて、\(y\) 座標の差を立式しましょう。それを微分すると、増減表から求める値が判断できます。
13:対数関数 \(x,y\) についての2変数の対数関数の最大・最小を考える問題です。\(x,y\) の条件式から1文字消去を行い、3次関数の最大・最小を考えることになります。定義域に注意する必要があります。
14:微分法(数学Ⅱ) 定義域付きの文字係数の3次関数の最大値・最小値から係数を考える問題です。微分して増減表が書くことになります。
15:積分法(数学Ⅲ) 定積分計算を行う問題です。被積分関数が \(\cos×(\sinの式)\) の形になっているので、\(t=\sin\) として置換積分を行いましょう。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…15問中12問。
他教科を得点源にしたい受験生…15問中10問。

【大問形式(16~18)】(易)

\(\sin\)と\(\cos\) の対称式の問題です。与えられた条件式 \(\displaystyle\frac{1}{\sin x}+\frac{1}{\cos x}=2\sqrt{2}\) と \(\sin^2 x+\cos^2 x=1\) を利用して \(\sin\)+\(\cos\) と \(\sin×\cos\) の値を求めましょう。それらの値から2次方程式の解と係数の関係を利用して、\(\sin\) と \(\cos\) の値が求められます。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答。
他教科を得点源にしたい受験生…完答。

【大問形式(19~22)】(易)

正四面体について、空間ベクトルを利用して考える問題です。2直線の交点の位置ベクトルを考える、典型的な問題になっています。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答。
他教科を得点源にしたい受験生…完答。

【大問形式(23~25)】(標準)

一般項が与えられた数列の和を考える問題です。一般項が \((-1)^{(n+1)}・n^2\) になっているので、奇数番目と偶数番目を分けて考える必要があります。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…23,24。
他教科を得点源にしたい受験生…23のみ。

【総評】

例年通り、教科書章末レベル~入試基本レベルの問題が25問出題されました。時間があれば、多くの受験生が満点に近い点数を取れるでしょう。しかし、実際の試験時間内に、すべての問題を解ききるのは困難なので、解くべき問題を見極め、それらの問題を“素早く正確に”解くことが大事になります。

まとめ

学生募集要項には、入学までに身につけることを望むこととして、「数学の基礎的な知識・思考法を用いて問題解決する能力と技能」とあります。まずは、数学の基本的な解法を使いこなせるようになりましょう。そのうえで、それらの解法を用いたうえで、素早く解けるように、問題演習を繰り返して練習しておきましょう。

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投稿者:杉多 孝文

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    5年
  • 出身大学
    京都大学医学部
  • 特技・資格
    柔道初段
  • 趣味
    スポーツ観戦、読書
  • 出身地
    兵庫県
  • お勧めの本
    神様のカルテ

受験生への一言
「分かるとできるは全然違う。できるようになるまでやる。」それが大事です。