医学部専門予備校の京都医塾です。
各都道府県に2名ないし3名の入学定員が設定されています。学生は自身の出身地で9年間地域医療に従事し、期間中3年間程度のへき地勤務にあたります。出身地の医療問題を解決する強い意志を持った人材が求められているわけですね。
自治医科大学では2021年度から小論文試験が廃止されました。
また令和5年度から、医学部の募集人員が100名から123名(栃木県地域枠3名含む)に変更されました。
面接試験は、各都道府県が主体となって行う第1次試験と、自治医科大学が行う第2次試験とに分かれています。
以下、面接試験について詳しくご紹介いたします。
自治医科大学医学部の面接について
グループ面接と個人面接が行われます。
<1次 集団討論>
形式:受験生1人 面接官6~7人
時間:15分
<2次 集団討論>
形式:受験生6人 面接官3人
時間:20~40分(それ以上にわたる場合もある)
<2次 個人面接>
形式:受験生1人 面接官3人
時間:10~20分
個人面接の内容について
<1次試験>
- 当日事前アンケートあり。志望理由 地域医療について 自己PR 併願校 部活動 ボランティア 気になるニュースなど を30分で記入
- 本学志望理由
- 修学資金制度について
- 他大と異なる点
- 地域医療について
- 理想の医師像
- 友人について
<2次試験>
- 医師志望理由
- 自治医科大学志望理由
- 高校時代の活動について
- 友人とは、あなたにとって何か
- 親友はいるか
- 孤独を感じたことがあるか、また孤独な人がいたらどうするか
- 併願校と自治医科大学のどちらが第一志望か
⇒高校時代の部活動や、友人関係についての質問は頻出のようです。また、対人関係における「孤独・疎外感」の問題もよく問われるようです。以下では、回答例を検討してみたいと思います。
「自分が孤独である」と感じた場合、一般に
1.孤独を解消するために他者と交流する
2.現状を受け入れて孤独である自己を肯定する
以上の2つのあり方が考えられます。
特に地域医療への適性が求められる自治医科大学においては、「コミュニケーション能力」のアピールにつながる内容を話したいところです。したがって、
「自己の殻に閉じこもらず、他者との交流の中で孤独を克服できた経験」を自身のヒストリーの中から探しましょう。
例えば、
「部活動で、高校3年生になってもレギュラーになれず、同学年の仲間が試合で活躍する中で、孤独感や疎外感を感じていた。しかしチーム一丸となって目標に向かううえで、自分に出来ることは試合で活躍することだけではないし、また、チームの中で前向きに努力すれば、まだ自分にはレギュラーになれるチャンスがあるかもしれないと思った。だからチームをもっと盛り上げていけるように、先頭で大きな声を出しながら練習に励んだ。少なからず周りも自分の姿勢を認めてくれたし、自分も『さみしい』という思いは感じなくなった」
以上のような回答はどうでしょうか。
ポイントは、孤独→他者との関わり→孤独の克服=成長 です。
個人面接の内容について
<グループ面接の流れ>
1.グループ面接のテーマが面接官のテーブルに掲示されている
2.特に司会は立てずに、自由に議論する旨を伝えられる
3.面接官は議論に参加してこない
<過去に出題されたグループ面接のテーマ>
- 新型コロナウイルス流行で、過剰なバッシング等、「自粛警察」なるものが横行したが、これは正義と言えるか。
- AIと医療
ここでは、「AIと医療」について、グループ面接でいかに話し合っていくか、考えてみたいと思います。
まず、AIを医療に導入すべきかどうか?という大前提の部分についてですが、これは多くの人が「導入すべき」ということで一致すると思います。実際に医療機器などには取り入れられていっているわけですし、わざわざ反対する必要はないでしょう。このような「基本的な立場」は議論のはじめに明確にしておきましょう。
議論が膨らむとすれば、「AIが活躍する分野」、「AIの活躍が限定的な分野」についてです。
例えば、AIが活躍する分野としては、「診断補助」や「手術支援」があるでしょう。AIは大量のデータが扱えるため、放射線画像診断などにおいては精度の高い予測が可能です。また、手術に関する情報を蓄えることで、最適な手術プランの提案や、手術トレーニングにも一役買うことができそうです。
一方で、地域医療の現場においては活躍が限定的と言えるかもしれません。患者やその家族と継続的な関係を築く「プライマリーケア」は、現場で患者に相対しつつその心の機微に思いを巡らすことのできる医療者がいないことには成立しません。ただし、AIによる「業務の効率化」は、診察に割く時間を確保する意味で有用ですね。また、責任関係が難しい分野もあります。例えば、「AI搭載ロボットによる自動手術」などです。自動車の自動運転と同じく、事故が起きたとき誰に責任があるのか、あるいはどう責任を分担するのか、社会的な議論を尽くす必要があります。
以上のようなトピックについて、グループのメンバーと考えてみてはどうでしょうか。