英作文でも使える?「成人年齢引き下げ」について
皆さん、こんにちは、こんばんは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。
本日よりスタートしました、【英作文でも使える?】シリーズ(化を狙っています)は、
・社会情勢に触れ、その趣旨を学ぶ ・英作文に必要な、良い点/悪い点を考える習慣をつける一助となる |
ことを目指しております。「自身ならどう考えるか?」というキーワードを念頭に置いてご覧いただければ幸いです。
さて、法務省の発表によると、民法改正にともない、今年2022年の4月より「成人年齢」が“20歳→18歳”に引き下げとなりました。1896年の民法制定時に「成人年齢は20歳から」と決まってから実におよそ130年ぶりの改訂で話題となりました。とりわけ、現役高校生や中学生でいらっしゃる皆さんにとっては大ニュースと呼ぶにふさわしいものだったのではないかと思います。
現在、未成年の方は、生年月日によって新成人となる日が、次のようになります。
生年月日 | 新成人となる日 | 成人年齢 |
2002年4月1日以前生まれ | 20歳の誕生日 | 20歳 |
2002年4月2日から2003年4月1日生まれ | 2022年4月1日 | 19歳 |
2003年4月2日から2004年4月1日生まれ | 2022年4月1日 | 18歳 |
2004年4月2日以降生まれ | 18歳の誕生日 | 18歳 |
成人=20歳であるのが当たり前だと思って過ごし、成人から大分と時間が過ぎた私としては、私生活に影響が全くないのだけれども少し不思議な感覚です。なお、成人式の時期や在り方に関しては法律による決まりはなく、各自治体の判断で成人式は実施されているので、「どの年齢を対象に」「どの時期に」実施されるのかは、議論の余地が残るところとなっているようです。知人から聞いた話ですと、実施時期は先例通りとしながらも、名を改め「20歳を祝う会」として実施されるという噂もあるようで、「何とも可愛らしい名前だな」と個人的に思ったりもしています。
趣旨
では、どういった経緯でこのような改正に至ったのでしょうか。やはりきっかけとしては、2015年に選挙権が満18歳以上へと引き下げられたことが大きいようです。若者にも国政の重要な判断に参加してもらうという意図があったようですが、こうした中で、私法の一般法である民法でも、18歳以上を大人として扱うのが適当ではないかという議論がなされ、成年年齢が18歳に引き下げられることになりました。また、世界的にも成年年齢を18歳とするのが主流となっており、国際化の流れに則り、世界基準に合わせた形になっています。
- よいと思われる点
成人年齢が引き下げられたことによる恩恵はどのようなものがあるのでしょうか。ここでは3つのポイントに絞って説明していきます。
①自分の意志で行動できる幅が広がる
いわゆる未成年者は、保護者の同意がなければ「契約行為」が出来ないことになっています。クレジットカードを作ったり、携帯電話の契約をしたり、賃貸借契約を交わしたり、はたまた愛する人と結婚したり、、色んなことが自分の意志だけでは決められないようになっています。こういった行為を「自分の意志だけで」決定に至ることができます。移り変わりの激しいこの情報化社会においては、素早い判断がカギとなる状況も少なくないため、大きな武器となり得るでしょう。(当然何でもかんでも許されるわけではなく、飲酒や喫煙、ギャンブルはこれまでと変わらず20歳までは禁止されていますよ。)
②自身の行動に責任を持つようになる
簡単に言うと「大人になって自覚が出る」という感じになるのでしょうか。大人として、一人前の人間として扱われることを意気に感じて、これまで以上に何か物事に打ち込める人は意外に多いものです。「ほめられて伸びる」タイプの人は大いに納得してもらえるかもしれませんね。
③経済成長を促進する可能性がある
成人年齢の引き下げとともに、現在18歳の方や19歳の方が非課税対象から外れることになります。例えば遺産相続にかかる税なども、きっちりかかってきます。個々人の感情としてはマイナスイメージを受けるでしょうが、国全体としては「税収が増える」ことになり、その分だけ国家財政が潤うので、経済の成長を促す、つまりは「国が豊かになる」可能性も秘めています。
- よくないと思われる点
しかし、成人年齢引き下げについては、否定的な意見があるのも事実です。表があれば、必ずその裏がある。世の摂理です。ここでは2つのポイントに絞ります。
①社会モラルの低下
成人になったとはいえ、中身は高校生。お世辞にも社会経験が豊富とは言えない“大人”が増えるのではないかという見方もあります。もし彼らが、自身の行動に責任を持てない、未熟な大人となってしまうのであれば、犯罪や事故が増えるおそれもあるかもしれません。
②契約の取消が出来ない
実は、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合、原則として契約を取り消すことができる法律があるのです。これを未成年者取消権と呼ぶのですが、この法律によって、未成年者はさまざまな消費者トラブルから守られています。このように未成年者が不当に損をしないように、国は様々な配慮をしてくれています(父権思想やパターナリズムと言います。よく聞く言葉なので覚えておくといいかも。)。しかし、成人年齢引き下げによって、18歳の方からこの権利が奪われることになります。未成年じゃないから当然ですね。しかしこれによって金銭関係のトラブルが増えるのではないかといった懸念がなされています。
最後に
このように、世の中で起こっていることを様々な方向から考えることで、生きた情報に変わります。
「みなさんならどう考えますか?」
是非ともご自身の価値観に照らして、腑に落ちるまで向き合ってみてください。それが力となります。
それでは、本日は以上です。お疲れさまでした。