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2022年度兵庫医科大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度兵庫医科大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「兵庫医科大学の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“兵庫医科大学”の受験を考えている方
・“兵庫医科大学の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:記述式
時間:理科2科目120分
配点:理科2科目200点

出題の傾向と特徴

 論述問題の出題があります。以前は文字数が多く、まとめるのがやや忙しかったのですが、近年では文字数が少ないものや字数制限を設けず解答欄の枠内に書く問題が増えたため易化しています。用語の説明や典型的な実験考察の論述問題に多く取り組み、正しく表現する力を身に付けておきましょう。
 一部難しい出題はありますが、偏った対策をする必要はありません。教科書を丁寧に何巡も読み返すことで基礎知識を固めておきましょう。

【頻出の出題単元】

 幅広い分野から様々な形式で出題されますので、分野の偏りはありません。

【制限時間に対する問題量】

 大問数も減少傾向にあり、少し難しい設問で足止めされるということがなければ時間に追われることはないです。解答時間の管理は徹底しましょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

 さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
 ※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 

 19問の小問集合でした。
 出題内容は順に、「制限酵素」「窒素循環」「食細胞」「免疫反応」「物理的・化学的防御」「生態系」「イオン組成」「還元反応」「葉緑体」「血液凝固」「真核生物の遺伝情報」「古細菌」「味覚」「血糖調節」「肝臓の脈管系」「動物の分類」「水生生物の浸透圧調節」「カルス」「尿素の再吸収率」と、幅広く出題されています。
 選択肢を2つ選ぶ問題もあり、1つしか選ばないといったミスがないように心掛けておきましょう。
 「尿素の再吸収率」に関しては文字式の変形が問われており、こういった問題が苦手な生徒は、是非この問題に一度触れてみてもらいたいです。

【第2問】 

 「酵母菌のアルコール発酵」に関して「日本酒造り」を絡めた出題でした。
 知識問題は教科書レベルの基礎知識の出題のみで簡単な内容でした。
 論述問題が2題ありました。
 1つの問題は「酵母を大量に得るために適切な環境」を答えるもので、基礎的なものです。
 一方、もう1つは「日本酒を出荷する前に50~65℃で加熱する理由」を問うものでした。「出荷する日本酒の発酵がこれ以上進行しないように、酵母を殺菌するため」なのは当然なのですが、この内容を教科書で勉強している内容から、日常生活へと目線を向けることができたか試されている良問です。

【第3問】 

 伴性遺伝に関する出題です。
 知識問題が7題、論述問題が1題という構成です。
 こちらも知識問題はほぼすべて、標準レベルのものです。ただ、考えられる遺伝子型を複数答える問題があり、こういった問題が苦手な生徒さんは、問題集で対策しておく必要はあります。
 論述問題の出題は、「雌性二倍体の性染色体の組み合わせ」に関するものでした。こちらに関しても、苦手な生徒さんは対策を講じておきましょう。

【第4問】 

 ヒトの心臓に関する知識問題でした。
 知識問題が6題、論述問題が2題という構成です。
 こちらも知識問題はほぼすべて、標準レベルのものです。
 論述問題の出題は、「左心房の方が右心房よりも高い圧力がかかる理由」「心房の中隔が欠損した患者の肺動脈の血圧が上昇する理由」に関するものでした。前者はまだ教科書レベルと言って差し支えないのですが、後者に関しては血液の流れをしっかり理解した上で、自分の頭で考えなければいけないという部分では、すこし難しかったかもしれません。

【第5問】 

 神経に関する知識問題でした。
 知識問題が2題、考察問題が2題、論述問題が2題という構成です。
 考察問題では、「ある地点を刺激した際の、神経細胞の興奮の波形」を考える問題であり、伝導・伝達の流れをしっかり理解した上で、自分の頭で考えなければいけないという部分では、すこし難しかったかもしれません。
 論述問題では、「ある毒により、シナプス小胞が消失し、刺激に反応しなくなった理由」を問うものでした。こちらも、神経細胞に起こる現象を俯瞰的に考え、言葉で説明しなければなりません。

【総評】

 教科書を丁寧に何巡も読み返すことで基礎知識を固め、標準難度の問題集に多く取り組むことで十分に合格点も狙えます。さらに高得点を狙うには、教科書に書いている内容をそのまま覚えるだけでなく、そこから自分の頭で考える癖付けは必要となります。
 論述問題は必ず出題されますので対策は必須です。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 6割

まとめ

というわけで、今回は兵庫医科の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。