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2022年度岩手医科大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度岩手医科大学医学部の生物過去問対策・分析

 

京都医塾生物科です。

このページでは「岩手医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“岩手医科大学医学部”の受験を考えている方
・“岩手医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

オススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式: マーク式
制限時間:2科目で120分
配点:2科目で150点 (75点×2)

出題の傾向と特徴

 標準的な難易度の知識問題、実験考察問題、グラフ読解問題が多く出題されています。マーク式ですが選択肢が6~8個と多めなので、選択肢を絞り込むためには正確な知識と読解力が必要です。

【頻出の出題単元】

遺伝子発現、バイオテクノロジー、人体(反応と行動、恒常性)、発生

【制限時間に対する問題量】

 考察問題とグラフ読解問題が多いので、「考察慣れ」していれば時間内で解き切れるでしょう。「考察慣れ」していない人は、実験考察問題をたくさん解いておく必要があります。

2022年度(最新の過去問)の分析

 さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
 ※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。なお、「教科書レベルの知識は身に付いている」という前提で書いています。
 

【第1問】 膝蓋腱反射、必要条件

 膝蓋(しつがい)腱反射に関連した問題が出題されました。
 小問3は、膝(ひざ)の下を叩くと「太ももの前面にある伸筋」には運動神経から興奮が伝わり、「太ももの後面にある屈筋」には運動神経から興奮が伝わらないように抑制される結果として膝蓋腱反射が起こることを、知識として知っているかリード文から読解できれば簡単だったでしょう。
 小問4では、「軸索末端から神経伝達物質が放出されるための必要条件」に関する仮説の真偽を、実験の条件と結果の組合せから判断する問題でした。ここで出てきた「必要条件」は高校数学で「十分条件」と同時に学ぶ考え方と同じであり、生物入試でも「ある現象が起こるために必要な条件」を判定する問題は頻出です。「必要条件」を考えるのが苦手な人は、小問4に示された「実験条件と結果の組合せを示す表」から「条件の有無や結果を集合として示したベン図」を描いてみると分かりやすいと思います。

【第2問】 免疫

 免疫に関する典型的な問題が出題されました。
 小問1では自然免疫に関する出題でしたが、リゾチームが細菌の細胞壁を破壊し、ディフェンシンが細菌や菌類の細胞膜、ウイルスの脂質膜(エンベロープ)を破壊することは知識として覚えておきましょう。リゾチームは細胞「壁」、ディフェンシンは細胞「膜」、です。
 小問3では、樹状細胞が提示する抗原に特異的に反応するヘルパーT細胞とキラーT細胞を活性化することを知っている必要がありました。本問では問われていませんが、樹状細胞は抗原をMHCクラスⅠ分子によってキラーT細胞のTCRに、MHCクラスⅡ分子によってヘルパーT細胞のTCRに、提示することも知っておいた方がよいでしょう。

【第3問】 ショウジョウバエの初期発生

 ショウジョウバエの初期発生で働く遺伝子に関して出題されました。
 小問4では、母性効果遺伝子である「野生型のビコイド遺伝子B」と「機能を失った変異型のビコイド遺伝子b」に関して、両親の遺伝子型がBBやBb、bbの時に、どのような胚になるか、が問われました。ビコイドの遺伝子(DNA)は母親の卵巣内にある哺育(ナース)細胞において転写され、そのmRNAが卵巣内で隣接している卵へと送りこまれます。ですから、遺伝子型がBbの母親が作る卵の遺伝子型にはBとbがありますが、いずれの卵も正常に発生します(Bがbに対して優性)。そして、父親の持つビコイド遺伝子は、その精子で受精した胚の発生には影響を与えないので、父親の遺伝子型がbbであっても母親の遺伝子型がBBかBbであれば正常発生します。
 ビコイドの遺伝子が母親の体細胞でのみ発現することはリード文にも書かれているので丁寧に読解すれば気付けますが、このことの重要性に気付けない受験生も多いと思います。この問題は時々出題されるので、上記の「文章による説明」が分かりにくかった方は資料集などで「哺育細胞で転写されたmRNAが卵細胞に送りこまれる図」を見てイメージを掴んでおきましょう。

【第4問】 酵素反応、ゴルジ体

 「酵素反応のグラフ」と「ゴルジ体における物質の輸送」が出題されました。
 小問3~4では、酵素反応に関して、「どんな条件の時に反応が速く(遅く)なるか」、「阻害物質の阻害効果の大きさは基質濃度によってどう変わるか」が出題されました。解けなかった方は、酵素反応が起こっている様子をイメージして、問われていることの意味をよく考える必要があります。酵素反応のイメージができない方は、資料集などで酵素と基質、そして酵素と阻害物質がどのように出会って反応が進む(阻害されるのか)、を図で確認しておきましょう。

【第5問】 遺伝子発現、変異

 アクチン遺伝子の発現と変異について標準的な問題が出題されました。
 遺伝子突然変異は私立医学部入試においても頻出テーマですので、類題をたくさん解いておき、典型問題であれば速答できるようにしておきましょう。

【総評】

 2022年度も、平易な知識問題や標準的な実験考察問題を中心に出題されました。実験考察問題を解くのが苦手な方は、実験考察問題を集中的に解いておき、生物実験における典型的な思考パターンを身に付けておくとよいでしょう。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 9割
他教科を得点源にしたい受験生… 8割

まとめ

というわけで、今回は岩手医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。