京都医塾英語科です。
このページでは「慶應義塾大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“慶應義塾大学医学部”の受験を考えている方
・“慶應義塾大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2021年度
形式: 記述式+記号選択式問題
制限時間:90分
配点: 150点
出題の傾向と特徴
2018年度以降の5年分についての傾向をまとめます。自由英作文は、2019年以前は大問のなかの小問として問われていましたが、2019年からは大問4として独立し、求められる語数も100語に増えていることから、より表現力重視の出題になりました。
【毎年恒例の出題形式】
- 長文問題(記述解答式、記号選択式)
- 自由英作文
【制限時間に対する問題量】
読む英文の量だけでなく、日本語・英語問わず一定量の解答を記述する必要があるため、制限時間を考えれば全問に満足のいく解答をすることはかなり厳しいでしょう。以下の記事では、問題それぞれの難易度は「標準」や「やや難」としていますが、制限時間も含めれば全体として「難」です。
2022年度(最新の過去問)の分析
ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問】(難易度:やや難)
社会規範と犯罪・不法行為の抑止がテーマの長文問題です。医療的とは関係ない話題で、犯罪の抑止という少し硬派なテーマが扱われていますので、広くアンテナを張っていない、背景知識の乏しい受験生にとっては理解しづらい内容になってしまう可能性があります。設問文は、2021年と異なりすべて日本語のものです。出題形式は、記号選択式の内容一致問題がなくなって、和訳問題が7問、英訳問題が2問と、記述量が大幅に増えました。昨年度にも解答時間の余裕はありませんでしたが今年度の大問1はその傾向が一層強まったと言えるでしょう。もっとも、求められている解答の分量が多いとはいえ、複数の選択肢の中から本文中に書いてある内容を問う内容一致問題はありませんから、全体を通読しなくてもすみます。下線部をてきぱきと和訳・英訳していき、時間をなるべく浪費しないようにしましょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割以上
他教科を得点源にしたい受験生…4割
【第2問】(難易度:やや難)
コンゴのインターネット接続コスト高に関する問題点をめぐる長文問題です。大問1と異なり、設問はすべて英文です。コンゴの状況を実例に即して紹介し、インターネット接続に一般市民が苦しんでいるという流れになっていますから、大問1に比べれば素直にそのまま読むことはできるでしょう。ただしこちらも問題数が多く、時間は一切無駄にできません。さらに内容一致問題では、一昨年度まで出題されていた、「本文から読み取れないもの」を選ぶ問題が復活しました。これにより解きにくさは一層増したといえるでしょう。パラグラフリーディングやディスコースマーカーを駆使して要点を効率的に把握できるかどうかがポイントです。それでも時間が足りない受験生は、すべての問題にあたろうとせず、少しでも解きやすい問題のみに的を絞って解答する(数問、いわゆる「捨て問」をつくる)ようにしましょう。正直に第1問目から解いていては、本来得点できていたはずの問題までたどり着けず制限時間オーバーになってしまう恐れがあります。難易度の見極めと取り組んだ問題の正答率を上げて、単位時間当たりの得点率の最大化を目指して取り組みましょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割以上
他教科を得点源にしたい受験生…4割後半
【第3問】(難易度:標準)
例年、大問3も大問1、2と同様長文で、大問4に英作文が出題されていましたが、2022年度は、第3問に自由英作文が出題され、第4問がなくなりました。そのせいで、大問1と2の長文の長さ、分量が増加していたと考えられます。2022年度の大問3の出題形式は従来の大問4と同様、100語程度で意見を述べる形式です。出題は、「自分が慶応大学の医学部入学を認められるべきだと考える理由を述べよ」というものです。テーマとしてはオーソドックスなので、テーマに沿った解答を全体の構成を意識して書くだけで構いません。注意が必要だとすれば、出題は「慶應大学」入学ではなく、「慶應大学『医学部』」入学の理由を求めているわけですから、慶應大学全体に当てはまる特色だけを書いてしまえば、出題意図とずれが生じてしまうことです。採点基準が公表されていないため、断言はできませんが、最悪の場合、医学部もふくむ慶應大学の特色だけを書いてしまえば、「では、他の学部で構わないでしょう」という話になるので、出題意図に沿わない解答として0点になる可能性も捨てきれません。自由英作文では必ず問題文を何度か読み返して、何が求められているかを的確に把握してください。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7割以上
他教科を得点源にしたい受験生…6割
【総評】
前年度からの大きな変更点として、出題される大問(長文)が1つ減り、長文2題、自由英作文1題の構成になりました。解答開始時点で、大問数や一つの大問にかけるべき概算を確認しておかなければならないでしょう。2022年度は、大問が1題減った分、長文それぞれの解答すべき分量は増加しました。また、内容一致問題で、「本文から読み取れないもの」を選ぶ問題も復活したのも特筆すべき点です。また、テーマについても前年度から傾向が変わりました。前年度は、コロナ関連の話題も含めて、すべての大問について医療にまつわるテーマが扱われていましたが、2022年度は医療とは関係のない話題がすべてでした。入試問題としては、あいかわらず、課されている設問の内容・分量ともに、制限時間内に解くには非常に高いレベルの英語力を求められています。それだけでなく、時間をかけるべき問題とそうでない問題との見極め、社会とのつながりを意識した背景知識の活用、一定量の英語/日本語を駆使して整合性のある解答を書ききる記述力も、同時に必要です。慶應義塾大学医学部の英語には、(この記事と矛盾することはじゅうぶん承知しつつも)「傾向と対策」のような付け焼刃では対処できない本質的かつ上質の能力が求められているといえるでしょう。
まとめ
というわけで、今回は慶應義塾大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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