京都医塾化学科です。
このページでは「東京女子医科大学の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“東京女子医科大学”の受験を考えている方
・“東京女子医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2022年度
形式:マークシート・記述式併用
制限時間:理科2科目で120分
配点:100点
出題の傾向と特徴
【毎年恒例の出題形式】
例年、第1問に総合問題として正誤問題が多く出題されています。「正誤をすべて選べ」という出題がほとんどなので、分野を問わず知識面については丁寧に学習しておく必要があります。また、有機化合物の構造決定問題も頻出なので、問題集を使ってしっかりと練習しておく必要があります。
【制限時間に対する問題量】
化学の制限時間を60分と考えると、問題量はかなり多いです。標準レベルの問題がほとんどなので、典型的な問題については手早く正確に解く練習をしっかりとしておくとともに、過去問を使って、解ける問題から確実に解いていく練習も積んでおきましょう。
2022年度の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問】(総合問題)
問1:原子の構造に関する正誤問題。用語の定義を丁寧に押さえておけば答えられる問題でした。
問2:元素の性質に関する正誤問題。展性・延性が最大になる金属は金であることはやや細かい知識だが、他の選択肢がそれほど難しくないので得点しておきたい。
問3:化学結合・結晶に関する正誤問題。基本的な知識で対応できる選択肢が多いので、それ以外の選択肢に惑わされないようにしたい。
問4:凝固点降下に関する問題。電離の式をきちんと書いて、確実に正解したい。
問5:平衡定数に関する問題。濃度で計算することと、固体は平衡定数の式に含まないことに注意したい。
問6:酸・塩基に関する正誤問題。引っかかりやすい文章が多いので、一つ一つの選択肢を丁寧に検証すること。
問7:気体の蒸気圧・希薄溶液の性質に関する正誤問題。やや細かい知識も問われているので、そこに惑わされないようにしたい。
問8:状態図に関する問題。基本的な知識で対応可能なので、得点したい問題。
問9:捕集した気体の物質量を計算する問題。水上置換なので、水の飽和蒸気圧に注意。
問10:沈殿形成に関する問題。沈殿形成は頻出の暗記事項なので、確実に押さえておきたい。
問11:鉛蓄電池に関する問題。放電時の電解液中の水素イオンの変化を反応式から判断し、グラフを選ぶ問題。一つ一つの知識を複合させれば答えに辿り着けるが、受験生にはやや難しく映ったかもしれない。
問12:炎色反応、金属単体と水の反応、pH計算が絡んだ複合問題。いずれの知識も一つ一つは基本なので、押さえておきたい。
問13:電気分解に関する正誤問題。電気分解時の反応についてはいずれの選択肢の知識も異本的なものなので、分からないものがあればきちんと復習しておきたい。
問14:沈殿形成に関する問題。いずれの選択肢の反応も基本的なものなので得点したい問題。
問15:電気分解に関する問題。反応については基本だが、質量変化を計算する必要があるので、あまり時間を掛け過ぎないようにしたい。
問16:フェーリング反応に関する問題。アルデヒドと生成する酸化銅(Ⅰ)が1対1であることは反応式を含めて押さえておきたい。
問17:異性体に関する正誤問題。基本的な知識で対応可能な問題。
問18:酵素に関する正誤問題。酵素がタンパク質からできている生体触媒であり、様々な性質をもっていることがわかっていれば平易。
問19:アスパラギン酸の多段階電離に関する問題。近年、頻出の問題なので、電離式とその際のアミノ酸の構造は書けるようになっておきたい。
問20:高分子化合物の重合に関する問題。基本的な知識で対応可能な問題。
【第2問】(糖類)
問21:単糖の鎖状構造に関する問題。基本知識なので確実に押さえておきたい。
問22:光学異性体の数を答える問題。落ち着いて不斉炭素の数を数えて正解したい。
問23:還元性を示す官能基を答える問題。基本的な問題だが、ケトースについてはヒドロキシケトン基全体を答える必要があるのでそこには注意。
問24:糖類の分子式を答える問題。グリコシド結合を作る際に水分子が抜けることに注意。
問25:高分子のモル計算の問題。平均分子量に惑わされないようにしたい。
【第3問】(反応速度・化学平衡)
問1:反応速度式を求める問題。表から適切な数値を用いて、濃度の何乗に比例するかを読み取ることができるようになっておきたい。
問2:問1ができていれば数値を代入するだけなので、平易。
問3:反応速度の増減と、平衡の移動に関する問題。2つの項目を混同しないようにしたい。
問4:エネルギー図に関する正誤問題。触媒の影響や活性化エネルギーなどの基本知識を確実に覚えておけば平易。
問5:触媒の有無による違いをグラフで描図する問題。触媒によって変わるものと変わらないものをそれぞれ確実に押さえておきたい。
【第4問】(有機化合物の構造決定)
問1:元素分析結果から、分子式を求める問題。水蒸気・二酸化炭素の質量が計算しやすい数値に設定されているので、確実に正解したい。
問2、3:化合物の構造を決定する問題。各種有機反応や検出反応を確実に覚えておき、構造決定の練習を積んでおこう。
問4:ヨードホルム反応の化学反応式を書く問題。近年、頻出の問題なので段階を踏んで反応式が書けるようになっておきたい。
問5:カルボキシ基の検出であることが身抜ければ平易。
【総評】
第1問の中にやや難の正誤問題があるものの、全体的には基本~標準レベルの問題が割合としては多い。問題数が合計35問と多いので、解ける問題から確実に解いていくことを意識し、制限時間内に全ての問題に目が通せるように時間配分を考えて取り組みましょう。
≪2022年度の目標値≫
化学を得点源にしたい受験生…7~8割
他教科を得点源にしたい受験生…6~7割
まとめ
というわけで、今回は東京女子医科大学の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。