医学部専門予備校 京都医塾 » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 2022年度東海大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾公式ブログ

2022年度東海大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度東海大学医学部の生物過去問対策・分析

 

京都医塾生物科です。

このページでは「東海大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“東海大学医学部”の受験を考えている方
・“東海大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:記述式
時間:理科1科目70分
大問数:5題
配点:理科1科目100点

出題の傾向と特徴

 記述式です。名称を答える問題や選択問題、計算問題が混在しています。基本的な典型問題も出題されますが、基礎知識をベースにした初見の考察問題も様々な分野で多数出題されています。出題形式は安定していて、記述式ですが単語と記号による解答が大半を占めています。短文の記述(15字~50字)・計算問題・図表の描出も見られます。難度は高いと言えます。理科は1科目でよいので、特に生物を選択する必要性はありません。

【頻出の出題単元】

 「代謝」、「遺伝情報の発現」、「生殖・発生・遺伝」、「生物の生活と環境」からほぼ毎年出題されています。「細胞と分子」「代謝」「環境と生態」「生物の進化と系統」は出題が少ない傾向にありますが、本年度は植物生態が出題されており、他分野の出題の中で尋ねられることもあるので疎かにできません。
 難度ははっきり言って高いと言えます。特に実験の意味や結果の判定について問う、いわゆる「思考力」を要する問題が頻出するのが本学部の特徴となっています。

【制限時間に対する問題量】

 時間が70分と長いので完答できないというほどではありませんが、問題量は多く形式も多様であり、実験系ではその全貌を素早く読み取ることが要求されます。短文記述も慣れていないと意外に時間を取って慌てることになるでしょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

 さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 

 呼吸についての問題。リード文の空欄補充は選択肢が多く、語句を入れて問題用紙上で文章を完成させてから問2以降に進まないと何についての文章か分からなくなる危険があります。ATPを構成する各分子の名称、クエン酸回路の酸の名前など細かい知識を問われる問いと、炭水化物・脂肪・タンパク質を含む食材について呼吸商と窒素排出物量からそれぞれの比率を推計させる問いがあり、知識・思考力の双方が問われる問題に仕上がっています。

【第2問】 

 ヘモグロビンを素材として、酸素解離曲線の変化、鎌状赤血球貧血症のメカニズム、最後はハーディ・ワインベルク平衡(ハーディ・ワインベルグ平衡)とそこからの「ずれ」の原因を問う出題となっています。知識というより推理力や判断力が要求され、また本学の特徴である「グラフの読み取り」が重要な要素となります。またマラリア原虫の分類上の位置などやや細かい知識が問われる要素もあります。

【第3問】 

 メンデル遺伝の問題で、二遺伝子雑種と染色体地図を扱っています。乗換え状態にある染色体の各部の名称を答えさせるなど、難度はそれほど高くないのですが正確な知識と計算力が要求されます。

【第4問】 

 岡崎フラグメントの存在を示した実験を主題とした難問です。2種類の放射性同位元素を1回の実験で用い、さらに密度勾配遠心法を組み合わせるという複雑な実験デザインになっています。実験の個々の部分は教科書にある知識で理解できますし、各小問が正解へ誘導する役割をしていますから、落ち着いて考えれば正解に達することが出来ます。そのためには実験を図に描いて問題文中の情報を整理することが有効です。

【第5問】 

 植物生態・物質生産の問題です。必要な知識は平易なものですが、生態の問題にしては計算量が多くなっています。問2で、イネは熱帯地方原産の作物ですが、一般的にイネ科の単子葉類は低温や乾燥に強いとされています。問6と問7でバイオームを選びそこなうとその後の問題の解答がすべて変わってくるので注意しましょう。

【総評】

 難問もありますが、教科書レベルの知識で解ける問題も見られます。基礎的な暗記事項は細かいところまで完璧に覚えておきましょう。素早く正確に解答する為には、「代謝」「遺伝情報の発現」、「生殖・発生・遺伝」、「生物の生活と環境」を中心に知識を整理・暗記し、本学の出題傾向に慣れるために過去問演習を繰り返して解答を出す速度を上げる方法が有効です。特に、見慣れない考察問題に取り組む力を養っておく必要があります。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割

まとめ

というわけで、今回は東海大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。