医学部専門予備校 京都医塾 » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 2022年度藤田医科大学医学部の数学過去問対策・分析

京都医塾公式ブログ

2022年度藤田医科大学医学部の数学過去問対策・分析

2022年度藤田医科大学医学部の数学過去問対策・分析

 

京都医塾数学科です。

このページでは「藤田医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“藤田医科大学”の受験を考えている方
・“藤田医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度(最新の問題より) 
形式: 第1問マークシート形式、第2、3問記述式
※マークシートには、 ア イ ウ  に32を答える場合、032として答えなければならない特殊なものがあります。注意事項はきちんと読むようにしましょう。

制限時間:100分
配点:200点(筆記試験の総得点は600点)
※英語、数学の第1問には基準点(約50%)が設けられており、それに満たない場合は、その時点で不合格となります。

出題の傾向と特徴

2017年度以降、制限時間が100分であり、第1問の小問集合が10題のマークシート形式であったものが、2022年度では11題になりましたが、難易度に大きな変化がないため、2017年度以降の6年分についての傾向をまとめます。

【頻出の出題単元】

基礎学力が入学の必要条件とされているため、第1問の小問集合では、バランスよく広い分野から出題されています。その中でも、数学ⅠAの図形考察やデータの分析、整数、数学Bのベクトルや数列、数学Ⅲの微分法・積分法、複素数平面はほぼ毎年出題されています。

また、第2問、第3問では場合の数・確率、グラフの概形図示を含む求積問題や証明問題の出題が目立ちます。

【制限時間に対する問題量】

制限時間に対する問題量は適切な量です。しかし、第1問の小問集合で基準点に満たない時点で不合格になる、かつ、小問とはいえ、複雑な計算を要求される問題も出題されるため、時間配分が非常に重要になります。そのため、過去問による練習は必ず行っておきましょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 小問集合】(難易度:易~標準)

2021年度と比べると解きづらい問題が少し減った分、やや難易度は下がりました。しかし、例年通り複雑な計算を要求される問題が出題されているため、典型的な解法で、正確な処理ができるかが高得点をとる鍵になります。
(1) 分散…\(s^{2}=\overline{x^2}-(\bar{x})^2\)を利用する典型問題です。
(2) 4次方程式…左辺は展開せず、右辺の405を素因数分解した上で解を探したほうがよい。
(3) 3個のサイコロの確率…余事象で考えるのがよい。
(4) 対数方程式…底を3に変換すれば、\(\log_3x\)の2次方程式になります。
(5) 三角関数の最大最小… \(\sin{x}+\cos{x}=t\) とおき、合成して \(t\) の範囲、2乗して \(\sin{x}\cos{x}\) を \(t\) の式で表す典型問題です。
(6) 2項間漸化式…特性方程式の解を使って、等比数列の漸化式に変形する典型問題です。指数計算はむやみに計算せず工夫しましょう。
(7) 関数の極限…\(\frac{0}{0}\)の不定形を3乗根の有理化で解消しましょう。
(8) ベクトルの内積…\(\overrightarrow{c}\) を \(\overrightarrow{a}\),\(\overrightarrow{b}\) で表し、両辺の大きさを2乗することで内積を求める問題。
(9) 4次方程式…1つの虚数解から方程式の係数を求める問題です。\(x=1+i\) を解に持つ2次方程式をつくり、その2次式で4次式を割った余りが 0 になるように係数を求めましょう。
(10) 微分法…対数微分の問題です。
(11) 積分法…\(\sin^nx\) の積分は、\(n\) が奇数のときは \(\sin{x}\) を1つだけ分けて置換積分しましょう。

≪2022年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答
他教科を得点源にしたい受験生…完答

【第2問 空間座標における格子点でつくる直方体の個数】(難易度:標準~やや難)

(1)は、3辺の長さが決まっているため、順列の問題です。ただし、それぞれ正負の2通りずつあることには注意が必要です。
(2)は、3辺の長さの和の条件から方程式をつくることで、〇とI(仕切り)を並べる問題に言い換えることができれば難しくない問題です。
(3)(4)も(2)同様、体積の条件から方程式をつくり、〇とI(仕切り)を並べる問題に言い換えることができますが、時間のことを考慮すると飛ばせばいいでしょう。

≪2022年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(3)まで
他教科を得点源にしたい受験生…(2)まで

【第3問 媒介変数で表された曲線】(標準~難)

(1)(2)の増減、極値、グラフの概形図示の問題は確実に得点したい問題です。(3)以降は難易度が高くあまり差がつかない問題ですが、(4)に関しては、誘導を適切に利用して正答したい問題です。

≪2022年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(1)(2)(4)を正答
他教科を得点源にしたい受験生…(2)まで

【総評】

例年通り、第1問を素早く、正確に処理し、第2、3問の前半で得点したい。数学を得点源にしたい受験生は第2、3問の後半を少しでも得点できれば、他の受験生との差をつけることが可能です。

まとめ

第1問で基準点をとることが大前提であるため、典型問題を素早く正確に処理できるように、使い慣れた問題集で訓練しておきましょう。また、第1問の配点が120点であることも考慮すると、数学の得意不得意で、時間配分が大きく変わってきます。そのため、過去問を解くことで時間配分をある程度考えておくことをおすすめします。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:山﨑 信

  • 役職
    数学科統括/数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    25年
  • 出身大学
    京都大学医学部
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    散歩
  • 出身地
    滋賀県
  • お勧めの本
    なし

受験生への一言
「なぜそうなるのか?」「なぜこの解法・公式を使うのか?」を意識して、自分の頭で考え続けることを意識しましょう。初めは、できないこと・分からないこと・つまずくことがたくさんあり、気持ちが折れそうになることもあるかもしれません。でも、一度でも自ら考えることで問題が解ければ、「数学って楽しい」と思えるようになるはずです。