医学部専門予備校 京都医塾 » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 2022年度藤田医科大学医学部の英語過去問対策・分析

京都医塾公式ブログ

2022年度藤田医科大学医学部の英語過去問対策・分析

2022年度藤田医科大学医学部の英語過去問対策・分析

京都医塾英語科です。
このページでは「藤田医科大学の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“藤田医科大学”の受験を考えている方
・“藤田医科大学の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度(最新の問題より) 

形式: マークシート+記述
制限時間:90分
配点: 200点

出題の傾向と特徴

【毎年恒例の出題形式】

①文法・語法問題(マーク式)
②並べ替え(マーク式)
③長文読解(マーク式)
④長文読解(マーク式)
⑤長文読解(記述式)
⑥英作文(記述式)

【制限時間に対する問題量】

2022年度入試問題の新傾向としては、マーク式の長文問題が1題追加されました。制限時間は、長文問題が1題少なかったそれまでの年度と変わらないため、以前よりもさらに時間的な制約が厳しくなったと言えます。藤田医科大学の長文読解では、一見すると受験生にあまりなじみのない内容が出題されることもあり、問われている問題の根拠となる箇所を要領よく探し出せないと時間を浪費してしまう可能性があります。また、英作文もそれなりの長さ、難易度の問題が数題出題されることから、時間的な余裕はほとんどありません。

2022年度(最新の過去問)の分析

ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:やや易~標準)

文法問題です。2022年度の文法問題はどれも高校英語の標準的な問題集や単語帳をこなしていれば、1度はふれたことがあるはずの問題ばかりのはずです。英語が得意な受験生は満点を十分目指せます。“Just because SV doesn’t mean that SV”「SVだからといって、SVというわけではない」や、“what has becomes[became] of A”「Aはどうなったのだろうか」、“within one’s means”「収入の範囲内で」、“at one’s disposal”「~の自由に」など、定型表現の知識が多く問われた年度でした。これらの設問以外で失点した受験生は、単語帳や標準的なレベルまでの文法問題の練習がそもそも足りません。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6問中5~6問正解
他教科を得点源にしたい受験生…6問中4問以上正解

【第2問】(難易度:標準)

語句整序の問題です。「30度にも及ぶ急坂」を、slopes as steep as 30 degreesと並び替えられるかどうか(問2)や、「そうしてもらえると本当にありがたいです」という日本語から、That would be nice of youという、英語らしい表現(日本語を直訳しようとするとすぐには出てこない形)を書けるかどうか(問3)は、語句整序問題が苦手な受験生なら少し考えるかもしれません。しかし、総じて標準レベルです。それぞれの問題で、すぐにつなげられそうな語はつなげて、余った語句どうしの順序を考えるのに少し時間を使う程度でしょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中3~4問正解
他教科を得点源にしたい受験生…4問中2問以上正解

【第3問】(難易度:やや易~標準)

「アマゾン川流域の生物保護とそれによる地域社会への恩恵」に関する、対談形式の長文問題です。詳細な背景知識を持ち合わせない受験生がほとんどだと思いますので、解答の際には、背景知識よりもむしろ、英文の読解力、速読力、選択肢を絞り込む技術が問われています。
先に設問文を読んで問題分析すれば、内容に大きく関わる設問は4問中1問で、ほか3問は、発言者の職業を推測する問題が1問、空所補充の問題が2問という構成です。見た目より早く解けそうなことに気づくでしょう。そのような安心感をもって取り組めば短時間で全問正解も十分可能です。ただし、標準的な英文読解がおぼつかない受験生が本文を読もうとすると、冒頭の2文でいきなり躓いてしまう可能性もあります。“Snaking through the waters of the Amazon are river giants. These creatures are three meters in size weighing up to 200 kilograms.” 1文目がVing be Sの語順になっていること、前文のSを受けているのが2文目の主語であるThese creaturesですから、非常に自然な英文です。「蛇」の話は一切していません。構文的な読解力が問われていると言えるでしょう。解答根拠となる箇所さえ見つかれば、選択肢と丁寧に照合すればよいだけですから、さほど難しくはありません。大問1、2の知識問題で得点を落としてしまった人は、大問3で満点を目指して挽回したいです。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中4問正解
他教科を得点源にしたい受験生…4問中3問以上正解

【第4問】(難易度:標準)

「脳トレーニングプログラムは効果があるかないか」についての長文問題です。設問は4問中2問が長文中の語句補充問題、残り2問が内容に関する設問となっています。英文も問いも標準的ですので、それほど時間はかかりません。ただし、全体の論調としては、「脳トレーニングの効果は確かめられなかった」という結論をとらえることが大切です。この前提を捉え損ねて、「脳トレーニングをすれば、さまざまな能力が上がるに違いない」という思い込みで読んでしまうと、本文の内容を大きく読み違えてしまい得点は伸び悩むでしょう。当たり前といえば当たり前ですが、内容一致問題については、本文と問題文とを丁寧に照合することが必要です。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中3問以上正解
他教科を得点源にしたい受験生…4問中2問以上正解

【第5問】(難易度:標準~やや難)

「医療におけるAI利用の問題点」について書かれた長文問題です。大問3、4の長文に比べると、英文の語彙レベルや内容の難しさはやや上がります。ただし、テーマはAIの医療利用という頻出テーマのうちの一つですので、部分的には内容理解に困難を感じるところもあるかもしれませんが、丁寧に読めば十分理解可能です。注も豊富につけられているので、語彙のしんどさもそれほど感じないでしょう。設問は、問1~問3まで、本文に登場した順番で各パラグラフのキーワードをスキャニングしていけば解答作成の根拠となる場所を比較的簡単に発見できますから、オーソドックスと言えるでしょう。ただし、問4以外はすべて記述解答を求められているため、解答時間を30分ほどは確保したいです。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…70%以上の得点
他教科を得点源にしたい受験生…50%以上の得点

【第6問】(難易度:標準)

何もヒントが与えられないまま、課題文を英作するとなると、どのような単語を使い、正確な綴りは何かに迷うところも少なくありません(利き手、ゴリラなど)。ただし、下線を引かれている英文の前後をみてみれば、作文に使える語句が見つかるため、構文的な方針さえ立てられれば見かけよりも難しくないはずです。構文的な方針というのは例えば、(2)では、「~に有意な差はなかった」という日本語から、“There was no significant difference in which ~..”という、大枠となる表現を思いつくということです。これにさえ思い至れば、比較的時間をかけずとも答えられてしまいます。ただし、このような定型表現を思いつくこと自体、英作文のトレーニングを添削込みで時間をかけてこなしておかなければできないことでしょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…70%以上の得点
他教科を得点源にしたい受験生…50%以上の得点

【総評】

2021年度と比べて、長文問題が1つ増えたのが新傾向でした。ただし、問題の方向性は従来通りで大きく変わりません。大まかに言って、英語を得点源にしたい生徒で70%以上の得点を目指し、他科目を得点源にしたい生徒では、52~53%あたりまでで踏みとどまるのが現実的です。英語を通した論理的な思考力を、文法、語彙、構成力、読解力、表現力など様々な角度から、総合的に問おうとする出題に見えます。こうした志向を踏まえれば、特定の単元に絞って付け焼刃の「傾向と対策」に走るよりも、えり好みせずさまざまな分野の練習を日ごろからこなし、自力を養っておくことが肝心でしょう。特に、比較的基礎~標準レベルの知識を問う前半戦(2022年度の形式では大問1~4)では、出来る限り高得点を目指せる力を養っておくことが死活的に重要です。

まとめ

というわけで、今回は藤田医科大学の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

受験生への一言
ぜひ、京都医塾へお越しください。