京都医塾化学科です。
このページでは「関西医科大学の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“関西医科大学”の受験を考えている方
・“関西医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2022年度
形式:記述式
制限時間:理科2科目で120分
配点:100点
出題の傾向と特徴
【毎年恒例の出題形式】
理論化学・有機化学分野が重視されており、理論化学では酸・塩基、酸化・還元、化学平衡、有機化学では糖類、アミノ酸・タンパク質からの出題が多くなっています。計算問題の割合が多いですが、その他にも論述・描図なども出題されており、出題形式が多岐にわたるので日頃から様々な問題にあたり、慣れておく必要があります。
【制限時間に対する問題量】
問題の難易度が非常に幅広いことと、上述のとおり計算問題の割合が多いことが相まって、制限時間内に全ての問題に解答することは難しい問題構成となっています。過去問などを活用して、典型的な問題に対する解答速度を速めておくことと、計算問題の立式までを手早く出来るように訓練しておきましょう。
2022年度(最新の過去問1/28分)の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問】(窒素と窒素化合物の性質と反応、溶液の濃度)
問1:周期表と物質の工業的な製法に関する穴埋め問題です。いずれも基本的な知識なので取りこぼしなく得点したい問題です。
問2:窒素からアンモニアが生成する半反応式の係数を埋める問題でした。半反応式のつくり方がきちんと定着できていれば平易な問題です。
問3:与えられた条件から熱化学方程式の熱量を答える問題です。条件から書ける熱化学方程式を組み合わせて問題の熱化学方程式をつくる問題は頻出なので、しっかりと演習しておきましょう。
問4:各窒素化合物の酸化数を求める問題です。平易な問題なので取りこぼさないようにしましょう。
問5:硝酸を製造するのに必要なアンモニアの量を求める問題です。オストワルト法をきちんと押さえておくとともに、質量%や密度の使い方にも慣れておきましょう。
【第2問】(酢酸の電離平衡とpH、エステルの構造決定)
問1:弱酸の電離度を電離定数から求める問題です。この問題では電離度が1に比べて小さいという近似が使えないことに注意しましょう。
問2:ブレンステッド・ローリーの塩基に相当する分子・イオンを選ぶ問題です。定義をきちんと押さえておけば平易な問題でした。
問3:酢酸ナトリウム水溶液のpHを求める問題です。塩の水溶液のpHの導出方法は頻出なので、必ず自分の手で導出できるようになっておきましょう。
問4:分子量からエステルの分子式を決定し、その構成カルボン酸の構造を答える問題です。有機化合物の一般式が書けるようにするとともに、各種有機反応・検出反応はきちんと押さえておきましょう。
問5:問4の条件からエステルの構成アルコールを分子内脱水し、その構造を答える問題です。問4と同様に各種反応をしっかりと押さえておきましょう。
【第3問】(酸化還元滴定、電気分解、浸透圧)
問1:滴定に用いる実験器具と溶液の調製に必要な物質の量を答える問題です。実験器具名は基本なのできちんと覚えておきましょう。また、溶液の調製に関する計算問題は頻出なので、手早く処理できるように練習しておきましょう。
問2:ファントホッフの式からデンプンの分子量を答える問題です。立式から計算まで手早く実行できるようにしておきましょう。
問3:電気分解の反応式とヨウ素デンプン反応を答える問題です。基本的な知識で解けるので取りこぼさないようにしましょう。
問4:ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムの酸化還元反応を答える問題です。この問題も取りこぼさないようにしましょう。
問5:問4の反応式からヨウ素の量を求め、そこから流れた電子→生成する水酸化物イオンの量を求め、pH計算する問題です。答えまでの道のりが長く、かつ水酸化物イオンが半透膜を通過することにも注意しなければならないので、正答に辿り着けた人は少なかったと思われます。
【第4問】(物質の沸点、原子量の基準、二酸化炭素の状態図、同位体と原子量)
問1:物質の沸点に関する問題です。分子間力の大小を比較させる問題は頻出なので判断するための知識をきちんと身に付けておきましょう。
問2:相対質量の基準を変えた際の変化に関する問題です。基準を変えた際に変わるものと変わらないものをきちんと区別しておきましょう。
問3:物質の物質量を求める問題です。平易な問題なので確実に得点しましょう。
問4:二酸化炭素の状態に関する問題です。状態図は問題になく、温度・圧力の条件が与えられているだけなので、自分で状態図の概形が書けるようになっておきましょう。
問5:同位体の存在比から原子量を求める問題です。この問題では相対質量を自分で求める必要があるので、相対質量の考え方をしっかりと押さえておきましょう。
【総評】
各大問とも小問の難易度が易しいものから難しいものまでかなり幅広いので、問題の取捨選択が難しかったと思われます。例年通り、計算問題の割合が高かったですが、立式さえできてしまえば繁雑な計算はそれほど出題されていませんでした。問題文から条件・状況を読み解き、適切な解法を引き出す速度がないと、全問に目を通しきれない問題構成となっていますので、普段の学習から、問題文の読み解き→立式の流れを手早く行えるように訓練し、限られた時間の中で多くの問題に解答できるようになっておきましょう。
≪2022年度の目標値≫
化学を得点源にしたい受験生…7~8割
他教科を得点源にしたい受験生…6~6.5割
まとめ
というわけで、今回は関西医科大学の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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