京都医塾生物科です。
このページでは「愛知医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“愛知医科大学医学部”の受験を考えている方
・“愛知医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方
にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。
目次
概要
【形式・制限時間・配点】2023年度
形式: 記述式
制限時間:2科目100分
配点:2科目200点
出題の傾向と特徴
問題の難易度は、「基本的~やや難」です。基本問題で完答し、やや難しい問題でどれだけ得点できるかで合否が決まるでしょう。
問題の形式は、基本用語の穴埋め問題、計算問題、記述問題、実験考察問題、グラフ作成の問題、などがバランスよく出題されています。
【頻出の出題単元】
医学関連分野が頻出 ・・・ 具体的には、細胞、代謝、遺伝子の発現、バイオテクノロジー、遺伝、発生、人体(刺激の受容と行動、恒常性)
【制限時間に対する問題量】
1科目あたり50分なので、基本問題を素早く確実に正答しつつ、やや難しい問題を考察するための時間を確保しましょう。しかし、熟考している余裕はないので、「それ以上考えても解決が見えそうになければ」思い切って次の問題に移る判断力も必要です。
2023年度(最新の過去問)の分析
さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
【第1問】 「生態分野」
(A問題)森林の階層構造
1本の木の中でも、様々な高さに葉が付いています。この問題では、「葉が付いている高さによって光合成や呼吸の速度などがどのように変化するか」をグラフから読解し、5mと15mの高さでの光-光合成曲線を描いてそれらの相違点を示す、という小問が出題されました。
森林の階層構造と光-光合成曲線を関連付けて考える能力、与えられたデータから自力でグラフを描く能力、が要求されている問題です。
実験データを解釈する際に「自分でグラフを描いてみること」は、科学実験の結果を解釈するための基本的な活動ですので、普段から問題を解く際などに「自分でグラフを描いてみる」経験を積んでおくとよいでしょう。
(B問題)シカの生命表と個体群管理
日本では、シカの捕食者であったニホンオオカミが人間の活動によって絶滅したこともあって、シカの個体数が増加して生態系の破壊が進行しています。この問題では、生態系を保全するためにシカの生命表を作成して分析し、捕獲除去する計画について検討しています。
生態分野は私立医学部では表面的な知識問題しか出題されないことが多いですが、愛知医科大学の入試問題では、生態系で見られる様々な現象の本質を洞察する能力を問う問題が出題されている、と言えるでしょう。
【第2問】 「分子遺伝分野(遺伝暗号)」
リード文でT4ファージのrⅡB遺伝子の突然変異の話題が出てきますが、この突然変異に関する小問は問4だけで、その他の小問は遺伝暗号に関する基本的な理解を問う問題です。
ただし、「生物にはあるがウイルスにはない特徴」を答えさせたり、「tRNAの種類がアミノ酸の種類より多い理由」を答えさせたりする小問があって、これらは表層的な知識暗記では太刀打ちできないので、生物の様々な現象について学ぶ際には、「何故そうなっているのか」という観点から学習を進めておくとよいでしょう。
【第3問】 「代謝分野」
会話文の下線部から、代謝の広い範囲にわたって小問形式で出題されました。
各小問の内容は、「ツンベルク管の実験」、「競争的阻害」、「代謝における酸化還元反応の意味」、「電子運搬を行う補酵素の働き」、「光リン酸化と酸化的リン酸化のしくみの共通点」、「血液から筋肉への酸素供給の仕組み」、などでした。
いずれの小問も、「何故そうなっているのか」という観点から生物を学習できているかを問う問題になっています。
【総評】
基本問題で完答し、記述問題では問われている内容を的確にとらえて簡潔に記述できれば、高得点も狙えるでしょう。高得点を確実に取るには、普段から、「何故そうなっているのか」という疑問と興味を持って学習を進め、簡潔な日本語で記述する練習を積んでおくとよいでしょう。記述問題が苦手な人は、自分の答案を受験生物の指導ができる先生に見てもらった方が学力が速く伸びるでしょう。
≪2023年度の目標値≫
生物を得点源にしたい受験生… 8.5割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割
まとめ
というわけで、今回は愛知医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。